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アガサ・クリスティ

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 今年のノーベル文学賞もまた、村上春樹さんの受賞とはならなかったようで・・・
 春樹さんの小説について私がどういう感想を抱いているか、このブログを読んでくださっている皆さまは、よく御存知かと思います。
 好きなわけないですよね。悪口ばかり書いていますものね。あはは(汗)・・・
 
 でも、春樹さんがノーベル文学賞を取ることに反対ではありません。どうせたいした連中が受賞しているわけじゃありませんからね。トルーマン・カポーティがノーベル文学賞のことを「あんなものはジョークだ」と言っておりましたけど、ホントそうですね。
 今回受賞したカナダの女流作家アリス・マンロー? 知らんわ、そんな人。
 
 考えてみれば、これまでだって必ずしも優れた作家が受賞してきたわけではありません。
 セリーヌは受賞していませんものね。それからカフカも。プルーストも。
 わけのわからない詩人を選ぶくらいなら、ビートルズのジョン・レノンやポール・マッカートニー、ザ・ドアーズのジム・モリスン、ボブ・ディランあたりに賞を与えればいいのに、それも今のところ無いでしょう? 彼らの方がずっと優れた詩人なのにね。
 
 そして私が、この人にノーベル文学賞を与えなかったのをどうしても許せないのが、今回取り上げるミステリーの女王アガサ・クリスティです。
 
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 おそらく純文学作家ではないので受賞対象にならなかったのでしょうけど、バカな話です。
 受賞した純文学作家と称する連中の作品なんか、どんどん忘れ去られ、誰からも読まれなくなるばかりじゃないですか。
 それに反してクリスティの作品は、世代が代わっても新たな読者を次々と獲得し、永遠に愛読されるのですよ。どちらがノーベル文学賞に相応しいか? そんなの子供でも分かりますよね?
 
 私が初めて読んだクリスティの作品は「オリエント急行殺人事件」でした。中学生の時です。
 パリとイスタンブールを結ぶオリエント急行が大雪に行く手を阻まれ停車していた晩、一等客車内で殺人事件が起きる。大雪のため犯人が外へ逃げることはありえない。また客車は一等と二等では完全に区切られている。したがって犯人は一等客車の誰かに間違いない。いったい犯人は誰か? 偶然、同じ一等客車に乗り合わせた名探偵エルキュール・ポアロの犯人探しが始まる・・・・
 ビックリしましたねぇ。こんなの絶対に犯人が分かるはずないじゃん、と思いました。そして、何て頭のいい女性だろう、このクリスティという人は、と舌を巻きました。
 
 以前「黄色い部屋の秘密」という当ブログの記事に書きました通り、私が中学や高校の頃は角川書店が仕掛けた横溝正史の金田一耕助シリーズが空前の大ヒットとなり、その影響でちょいとした推理小説ブームが起こっておりまして、私も有名な推理小説作品を何冊か読みました。
 ヴァン・ダインの「グリーン家殺人事件」、クロフツの「樽」、ディクスン・カーの「帽子収集狂殺人事件」、イーデン・フィッツボルツの「赤毛のレドメイン家」、ウイリアム・アイリッシュの「幻の女」、A・A・ミルンの「赤い館の秘密」など。
 そして、これらの中で最もビビッと来たのが、先程の「黄色い部屋の秘密」と、エドガー・アラン・ポーの作品と、そしてクリスティなのでした。
 
 クリスティの作品には「密室の殺人」みたいな大掛かりなトリックは登場しないんですよね。その代わり犯人の隠し方が実にうまい。その頭の良さにただただ脱帽するばかりです。
 推理小説の命は、やはり作者の頭の良さですよ。頭の悪い奴に推理小説は書いてもらいたくありません。バカの書いた推理小説ほどうんざりする読み物はありませんからね。
 
 クリスティの作品の主役たち。
 
 まずは、みなさんよく御存知の、名探偵エルキュール・ポアロ。
 ちびで小太りの中年男のくせに、とてもおしゃれで着る服は一流のスーツばかり。そのスーツにほこりが付くのを極端に嫌がる。そしてエナメルの靴がいつもピカピカしていなければ我慢できない。薄くなった髪の毛をポマードできっちり固め、ピンと張ったカイゼル髭をたくわえている。
 会話の途中に必ずフランス語を交え、何かあるとすぐ「灰色の脳細胞が」と言い始める、気取ったベルギー人の私立探偵です。
 
 田舎に住むおばあちゃん、ミス・マープル。
 ミスというからには、ずっと独身だったのでしょうか? お話好きで、特に他人のゴシップ話が大好物。いわゆる「年寄りの知恵」で難事件を次々と解決してゆく。クリスティ本人のキャラをそのまま移し替えて出来たような名探偵です。
 
 他にも謎の人生相談屋パーカー・パインや霊界からやって来た(?)名探偵ハリー・クィンらが活躍します。
 
 「オリエント急行殺人事件」の他で、特に私のお気に入りの作品。
 
 「ABC殺人事件」
 Aで始まる名前の町のイニシャルがA・Aの人が何者かによって殺害される。次はBで始まる名前の町のイニシャルがB・Bの人が。そして、その次はCで始まる名前の町で・・・
 「えー? こういう無差別殺人で推理小説が成り立つの?」という当然の疑問を見事にクリアした傑作です。素晴らしい。
 
 「アクロイド殺し」
 あまりにも有名な作品なので、私は読む前に本書のカラクリを知っておりました。ネタバレさせた人間は呪われよ。クリスティの犯人隠しの妙技が味わえる作品ですね。ぜひ皆さんは予備知識ゼロでお読みください。
 
 「そして誰もいなくなった」
 無人島にある屋敷に10人の男女が招待される。10人以外の人間はいないはずの島で、何者かによって、マザーグースの歌詞通りに、次々と招待客が殺されていく。残された招待客が逃げようとしてもボートが壊されている。姿を現さない犯人は一体どこにいるのか?
 こんなの絶対に犯人が分かりません。クリスティの最高傑作ですね。まだ読んでいらっしゃらない方は必ず読んでください。神話レベルのすごさです。
 
 クリスティはメアリ・ウェストマコット名義で何冊か純文学作品を発表しています。
 「春にして君を離れ」などです。
 正直こちらはたいしたことありません。やはり餅は餅屋ですね。純文学はヴァージニア・ウルフあたりにお任せしておきましょう。
 
 1976年にクリスティはお亡くなりになるのですけど、その前年に作中でポアロが死ぬという噂の「カーテン」が発売されました。クリスティは自分が死んだ後もファンに楽しんでもらえるように、生前「カーテン」と「スリーピング・マーダー」という2作の長編を用意していたのですね。そのうちの「カーテン」が世に出たのです。
 当時、私は中学生でしたけど、すごく話題となりましたよ。「カーテン」はベストセラーとなり、私も買いました。感想は・・・うーん、やはり「ABC殺人事件」の方がいいかな。あはは(汗)。
 
 クリスティの作品はいくつか映画化されています。
 しかし、原作の小説を読んだ方が百倍面白いです。もともと推理小説は映像化に向かないんですよね。原作を超えるミステリー映画なんかありませんものね。
 その中で、いちばんマシな映像化作品が、マレーネ・ディートリッヒ主演の「情婦」(1957)です。老弁護士を演じたチャールズ・ロートンが素晴らしかったです。
 
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 私が中学生の時に公開された「オリエント急行殺人事件」(1974)も、オールスター総出演の忘れ難い作品ですけど、内容的にはたいしたことありませんでした。
 当時人気絶頂で、このブログで何回もお話した通り私が好きで好きでたまらなかった、1970年代最高の美女、ジャクリーン・ビセットが出演しているという点だけですね、今や見所は。
 
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 ただ、NHKが2004年に放送したアニメ「アガサ・クリスティの名探偵ポアロとマープル」は、けっこう好きでした。里見浩太朗さんがポアロ、八千草薫さんがミス・マープルの声を担当して、アヒルのオリバーが可愛かったアニメ。山下達郎さんが歌うテーマソングもステキでした。
 
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 以上、映像化作品の方はどうでもいいですけど、クリスティの代表作は読んでおいてくださいね。
 外国の小説、特に登場人物の多い推理小説を読むと、外国人の名前に慣れていない人は、読んでいる途中で誰が誰だか分からなくなってしまい、「あれ? これ誰だったっけ?」という感じで、いちいち巻頭の登場人物紹介のページへ戻ることになり(私が実際そうでした)、面倒くさいと言えば面倒くさいのですけど、それでも面白さはハンパじゃありませんから、がんばって読んでくださいね。
 必ずや深い満足感が得られますよ。 

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