Quantcast
Channel: 行政書士ふじまるの趣味のページ
Viewing all articles
Browse latest Browse all 201

ウッドストツク/愛と平和と音楽の三日間

$
0
0
 今日から9月。もう夏も終わりですね。
 
 今年の夏、私のブログではエロい映画とホラー作品を特集いたしましたけど、夏といえばエロとホラーの他に何か忘れているものがありませんか?
 え? 花火?
 いや、そんなんじゃなくってさぁ・・・ほら・・・あるでしょう? ヒントは氷・・・
 カキ氷じゃない!
 ロックですよ、ロック。夏といえばロック・ミュージックでしょうが、普通。
 
 と、さも自分はロックに詳しいようなフリをしておりますが、実はぜんぜんそんなこと無くて、中学や高校の頃、ちょっと進んだ連中がディープ・パープルやボストンやレッド・ツェッペリンの音楽に夢中になっている横で、私ときたらNHK大河ドラマと宇宙戦艦ヤマトにハマっていたわけですから、いかに私がクラスメイトから浮いた存在だったか分かるというものです。
 オタクはいつの時代も孤独なんですよねぇ・・・ぐっすん(涙)・・・
 
 そんな音楽オンチの私にロックの素晴らしさを教えてくれた映画が、今回ご紹介する「ウッドストツク/愛と平和と音楽の三日間」(1970)です。
 私はこの作品を、大学生の時、もちろんリバイバル上映で、高田馬場の映画館で観ました。「レッド・ツェッペリン狂熱のライブ」(1976)が同時上映でした。
 
イメージ 1
 
 この「レッド・ツェッペリン狂熱のライブ」も素晴らしかった。
 青池保子さんの傑作マンガ「エロイカより愛をこめて」の登場人物のモデルにもなったツェッペリン。ボーカルのロバート・プラントが絶叫する横で、ジミー・ペイジがネックが2本もあるギターを弾きながら右に左にキックバックして、ジョン・ボーナムがドラムを叩きまくって・・・いやー、カッコ良かったですねぇ。特に最初の曲「ロックンロール」が、ノリノリの気持ちにさせてくれました。
 ロンリー、ロンリー、ロンリー、ロンリーナイト♪
 
 で、いよいよ「ウッドストツク/愛と平和と音楽の三日間」のお話です。
 
 これは1969年8月15日から17日までの三日間、ニューヨーク州サリバン郡の田舎町で開催された、今や伝説となった野外コンサート「ウッドストック・フェスティバル」の模様を記録したドキュメンタリー映画です。
 ドキュメンタリー映画ですから、必ずしもコンサートのシーンばかりではありません。会場を設営する経過から、主催者の青年へのインタビュー、アメリカじゅうから続々と集まってくる若者たちの様子、突然の喧騒に戸惑う地元の人々の姿、などの映像が半分くらいを占めています。中でも会場内のトイレを掃除するおじさんへのインタビューが、私には印象的でした。
 
イメージ 2
 
 このコンサートを主宰した人間に政治的な意図は無かったようですが、ベトナム戦争が泥沼化し、世界中で学生たちが革命を口走り、ヒッピー文化など新しい価値観が台頭する時代の中で、いつの間にかこのコンサートは自由と平和を希求する反体制運動のシンボルに祭り上げてしまいます。
 そのため当初は1万人から2万人程度を予定していた観客数は40万人に膨れ上がりました。
 主宰者側にも制御不能となり、途中から無料の誰でも観れるコンサートに変わった結果、ウッドストック・フェスティバルは、ますます自由と平和のための集会的な意味合いを強めていくことになります。
 
 ところで、このコンサートがおこなわれたのは今から40年以上昔の話ですから、現代人の眼から見ると、大半の音楽は古くさくなってしまっています。
 しかし、中にはいま観ても新鮮で輝きを失っていないものがいくつかありますので、それらをちょいとピックアップしてみますね。
 
 
 まずはサンタナ。
 
 「哀愁のヨーロッパ」や「ブラックマジックウーマン」などのヒットで知られるカルロス・サンタナ率いるグループですが、「ソウル・サクリファイス」でのドラムの中間ソロが素晴らしいです。マイケル・シュリーヴさんとおっしゃるんでしょうか、童顔で泣きそうな顔をしたドラマーが、ものすごい連打を見せてくれます。ギターのカルロス・サンタナが霞む迫力でした。
 
イメージ 3
 
 
 次にザ・フー。
 
 冒頭でご紹介したレッド・ツェッペリンと同じくボーカルとギターが並んで前列に出るスタイルのグループ。
 コードを手に先に付いているマイクをぶん回すボーカルのロジャー・ダルトリーの横で、ギターのピート・タウンゼントが腕をグルグル回転させ、空中高くジャンプします。とにかくパフォーマンスが派手なグループでした。
 下の写真はウッドストックの時のものではありませんが、こんなふうにイメージしてくだされば、まず間違いありません。高く飛んでおりますでしょう?
 
イメージ 4
 
 ウッドストック・フェスティバルでピート・タウンゼントは白いつなぎみたいな服を着ていましたけど、日本のダウンタウンブギウギバンドのつなぎファッションは、ここからヒントを得たのでしょうか?
 
 ラストの「サマータイムブルース」の演奏が終わると、ピート・タウンゼントはギターを床に叩きつけて破壊します。
 そして壊れたギターを観客席にポン。
 キャー、カッコいい! しびれるう!
 
 この時代、コンサートの最後にギターを壊すのが流行ったんですよね。後で登場するジミヘンなんかギターを燃やしていましたからね。いったい何の意味があるんでしょうね? 
 
イメージ 5
 
 ちなみに、1985年のNHK紅白歌合戦に初出場した吉川晃司さんが、興奮して歌の最後にギターに火をつけ壊し始めたものですから、さあ大変。次の河合奈保子ちゃんが出るに出れなくなり、現場は大混乱。その結果、吉川さんは10年間NHK出入り禁止処分となりました。今は「八重の桜」で西郷隆盛を演じています。
 
 
 ジャニス・ジョプリン。
 
 彼女の出演シーンは公開された映画には入っていませんでした。現在発売されているDVDには収録されています。なぜジャニス・ジョプリンのシーンがカットされたのでしょうね? まったく不可解な話です。こんな大物を外すなんて信じられません。
 
イメージ 6
 
 どこかアニメ「未来少年コナン」に登場したジムシーを彷彿させるジャニス。彼女の歌声は巫女さんを連想させます。もう神がかっていますね。こんな声、他にありません。
 ベット・ミドラーが映画「ローズ」(1979)でジャニスを演じていました。
 
 
 スライ&ザ・ファミリー・ストーン
 
 今ではすっかり忘れ去られたスライ&ザ・ファミリー・ストーン。しかし、当時はたいへんな人気だったそうです。私もこの映画を観て彼らの存在を知りました。
 彼らの曲「I Want To Take You Higher」は、ウッドストック・フェスティバルの中でも、最高に盛り上がった名曲です。確かティナ・ターナーもカバーしていましたね。私も大好きです。
 ブー、シャカラカラカ、ブー、シャカラカラカ♪
 
イメージ 7
 
 
 そして大トリが、ジミヘンことジミ・ヘンドリックスです。
 
 村上龍さんの小説「限りなく透明に近いブルー」に、こんな一節があったのを思い出します。
 「そうね、リュウ、ウッドストックの映画だけどさ、あなた観た?」
 「ああ、なぜだい?」
 「今また観たくない? 今観ると白けるかしらどうかしらね、どう思う?」
 「白けるよきっと、でもジミヘンは凄いだろうなあ、凄かったからなあ」
 
 ウッドストック・フェスティバルの大トリとして17日の夜に出演するはずだったジミヘンですが、予定が大幅に押して、実際に登場したのは何と翌18日の午前8時か9時頃。そのため大半の客はコンサートはもう終わったと思って帰った後でした。残っていた100名ほどの観客を前にして、ジミヘンは演奏します。
 
 ジミヘンは、ギターを壊したり、燃やしたりといった派手なパフォーマンスで有名ですが、ここでも歯でギターを弾いてみせます。
 また、ジミヘンは左ききなのに右きき用のギターを使います。ですから、下の写真を見てもらえれば分かるように、ギターがひっくり返っているんですよね。左きき用のギターではうまく演奏できなかったようです。
 
イメージ 8
 
 ジミヘンの演奏の特徴としては、フェンダー・ストラトキャスター・ギターのトレモロ・ユニットやエフェクターを多用して音程を揺らすことが挙げられます。
 そうして演奏したアメリカ国家「スター・スパングルド・バナー(星条旗よ永遠なれ)」では、ギターがまるでジェット機の爆音のような音を出します。ベトナム戦争でのアメリカ軍による空爆をイメージしているんでしょうね。
 いまDVDでご覧になってもそれほど迫力を感じないかもしれませんが、映画館で観たときはすんごいインパクトで、私は息が詰まるほど圧倒されました。そして、これがロックというものなのか、とその時はじめて私にも感じるものがありました。
 
 本作に対しては撮影が下手だという批判がよくあります。ジミヘンのシーンでも、最初のうちは彼の横顔のアップばかり映して、私たちが最も観たいギターを奏でる手や指の動きを、ちっとも観せてくれないからです。
 でも、後に公開された正面から映した映像などを観ると、確かにジミヘンの手の動きやワウペダルを踏む足の動きなど彼の演奏方法のすべてが観れるんですけど、いささか迫力に欠ける観があります。やはり元の映像の方がいいのではないでしょうか。ジミヘンの後ろに映る斜めに伸びた鉄柱が、歪んだアメリカ国家の演奏を、より不安なものにしているように思えます。
 
 「スター・スパングルド・バナー(星条旗よ永遠なれ)」の次は、お馴染み「パープル・ヘイズ(紫の煙)」と最高に盛り上がります。
 
 それにしても、ジミヘンにしろジャニス・ジョプリンにしろ、あるいはザ・ドアーズのジム・モリソンにしろ、この時代のミュージシャンって、ホント存在感がすごいですよね。聖なる領域に入っちゃっている感じがしますものね。
 クラシック音楽の世界でバッハやモーツァルトやベートーベンが現れないように、現代音楽の分野においても、彼らのようなミュージシャンは、もう二度と現れないんでしょうね。
 何か寂しい・・・

Viewing all articles
Browse latest Browse all 201