勝手にシナリオ
スター・ウォーズ アナザーエピソード1(その11)
真っ暗な宇宙空間。恒星が発する光の中から4つの影が現れる。3機のオートバイ型戦闘機は「謎の円盤UFO」のインターセプターのように斜めに編隊を組み、その後方にタンデム型戦闘機が続く。それを逆光で映す。
(このシーンのBGMは、美空ひばりが歌う「スターダスト」)
航行中の巨大なスターデストロイヤー。その背後からカイル、タノ、アナキンが乗ったオートバイ型戦闘機が近づいて来る。スターデストロイヤーを前にすると、三人は砂粒ほどの大きさにしか見えない。
三人は宇宙空間用ライトセーバーの棒を一本取り、それを両手で高く差し上げ、スイッチを入れる。ライトセーバーの光る長いレーザー刃が出る。
その恰好で近づいた三人は、ライトセーバーのレーザー刃をスターデストロイヤーの外壁にスルリと突き刺し、そのまま表面を滑らかに斬りながら進んでいく。
スターデストロイヤーの広大な外壁面を、緩やかな曲線を描きながら、優雅に、まるでアイススケートの選手のように、滑って行く三人。それを、あらゆる角度から映してゆく。
三人は、この滑走を何度も繰り返しながらスターデストロイヤーの表面に何本もの長い筋を描き、突起物があれば、それもいちいち斬り落としてゆく。
スターデストロイヤー艦橋部分にある操縦エリア。
大型スクリーンを見つめるダース・モールとパドメ。
しかし、そこに映し出されたものは、誰もが予想しなかったものだった。何と「パドメ、ひと夏の思い出」というタイトル(文字は架空の宇宙語。パドメが疑問形で読み上げる)の後、ヨーダが隠し撮りしたのであろう、様々なシチュエーションのパドメの写真(もちろん水着姿や寝姿、入浴姿もあり)が次々と映し出されたのである。
パドメは赤面して
パドメ「えええ?」
ダース・モールは口をあんぐりと開けた間抜け面で
ダース・モール「何じゃ、こりゃああああ」(松田優作風に)
これがヨーダの仕業だとすぐに気づいたパドメは怒りで全身をわなわなと震わせる。
パドメ「あの糞ジジイ、一回ぶっ殺す」
謀られた事に気づいたダース・モールは怒り心頭の様子でわめき散らす。
ダース・モール「ええい、もう良い! もう消せ! やめだ、やめ! この娘は空いている部屋に監禁しておけ。ほら、早くしないか! さっさと連れて行け!」
パドメは兵士に連行されて部屋を出る。
ダース・モール「くそお、忌々しいわ。こうなった以上、ここにいても仕方ない。いったん基地へ戻るか。おい、ハイパースペース航行の準備をしろ。今すぐ、この星域から離れるぞ」
乗組員1「お待ちください、モール卿。本艦の複数箇所で空気洩れが発生しています」
ダース・モール「空気漏れ?」
乗組員2「あ、回路の一部が切れました」
乗組員3「第三エンジンが作動しません」
ダース・モール「何だ? どうしたのだ?」
ここでハッと何かに気づいたダース・モールは、部屋の天井辺りをぐるりと見回す。フォースの気配を感じ取るダース・モール。
ダース・モール「ジェダイだ・・・ジェダイが来ているのだ・・・」
ダース・モールは慌ただしく動きながら指示を出す。
ダース・モール「TIEファイターを出撃させろ。敵は本艦の外にいる」
乗組員3「しかし、レーダーには何も映っておりませんが・・・」
ダース・モール「いいから言われた通りにするのだ。俺も出撃する」
そう言ってダース・モールが部屋を出ようとしたまさにその時、突然、正面の窓の外にムンディとクワイが乗ったタンデム型戦闘機が現れる(「宇宙戦艦ヤマト」で、ドリルミサイルを搭載した大型戦闘機がヤマトの正面に現れたシーンのイメージ)。
その場にいた乗組員全員が凍り付く。
入口の扉の外で振り返ったダース・モールも驚きのあまり目を見開く。
ムンディ「おまっとさん」
ムンディがミサイルを発射。操縦エリア内は吹き飛ぶ。
間一髪で部屋を出たダース・モールは、埃まみれになりながらも生き残った周りの部下に指示を出す。
ダース・モール「大至急TIEファイターを出撃させろ。外の蠅を叩き潰すのだ」
スターデストロイヤーの格納庫の扉が開く。
中から次々と飛び出して来るTIEファイター。
アナキン「やろう、来やがったぜ」(映画「七人の侍」の菊千代風に)
カイル「全員、近接戦闘準備!」
タノ、クワイ、ムンディ、アナキン「おー」
カイル、タノ、クワイ、アナキンは、両手で機体から宇宙空間用ライトセーバーの棒を抜き取り、二本の棒の端を目の前でドッキングさせ、ギリギリと捩じる(「必殺仕置人」の棺桶の錠みたいに)。すると二本の棒は一本に繋がり、その両端から長いレーザー刃が飛び出る。
カイル「突っ込めえ!」
宇宙空間用ライトセーバーを頭上でクルクル回し、インディアンのように「アワワワワ」と叫びながらTIEファイターの群れの中へ突っ込んでいく五人。スロットルは握らずに足だけで操縦。両手は宇宙空間用ライトセーバー(「SF西遊記スタージンガ―」のイメージ)を操る。
(このシーンのBGMは「宇宙の騎士テッカマン」。インストルメンタルのみ)
五人は、宇宙空間用ライトセーバーをブンブン振り回しながら、TIEファイターを片っ端から斬り倒してゆく、宇宙の騎士テッカマンのように。
上も下も無い宇宙空間。それを表現するために、様々なアングルから、縦横無尽に、目の回るようなスピードで、ジェダイの騎士の戦いっぷりを描く(板野サーカスを、もっと激しくした感じ)。
ストロボのように光っては消える爆発の炎。飛んで来る破片。レーザービームの雨。スノーボードのようにクルクルと激しく回転しながら飛び散ってゆくTIEファイター・・・観客が船酔いするくらい速く動く映像を作る。
あらかたのTIEファイターを仕留めたところでリーダーのカイルが指示を出す。
カイル「よし。頃合いだ。艦内へ突入するぞ」
タノ、クワイ、ムンディ、アナキン「おー」
閉まり始めるスターデストロイヤー格納庫入口の扉。
今まさに扉が閉じようとするタイミングで、まず初めにカイル、タノ、アナキンの乗るオートバイ型戦闘機が、噴水のように下から上へ飛び込んで来て、周囲に散らばる(「科学忍者隊ガッチャマン」のタイトルシーンのイメージ)。
続いてクワイとムンディが乗るタンデム型戦闘機が侵入して来て(ここでガッチャーンと格納庫の扉が完全に閉じる)、入って来るなりクワイが三百六十度目がけてガトリング砲をぶちかます。轟音と共に破壊される格納庫内。
帝国軍の兵士がひるんでいる隙に、オートバイ型戦闘機を降りたカイル、クワイ、タノ、アナキンは、格納庫内の敵を倒し始める(ヘルメットのシールドを開け、顔を出す)。
カイルは、近くの帝国軍兵士数人をライトセーバー(普段用)で斬り倒した後、二階からの銃撃に対してクルクルと身軽に体を横転しながら弾を避け、避け終わったところで忍者みたいに手裏剣を投げて仕留める(ここら辺は、まんまガッチャマン)。
タノは、長い足を器用に使ってキックしながら、帝国軍兵士たちを斬っていく。
クワイは、タンデム型戦闘機から格納庫の三階部分に元気良くぴょーんと飛び移り、そこにいた帝国軍兵士を次々に斬り倒してゆく。
アナキンは、パワフルに、豪快な剣さばきで、帝国軍兵士をバッサバッサと斬りまくる。
ムンディは、タンデム型戦闘機のミサイルで、収納されているTIEファイターを全機破壊する。
(五人の突入から、ここまでのBGMは「科学忍者隊ガッチャマン」。インストルメンタルのみ)
煙がたちこめる格納庫内。
格納庫をほぼ制圧したところで、アナキンはカイルの方を向く。
アナキン「俺は先に行くぜ」
カイルが頷く。
それを確認したアナキンは、オートバイ型戦闘機に跨り、スターデストロイヤー内のゆるやかにカーブした通路を、機体を斜めに傾けて、ロケット弾を発射したり、敵兵士を馬上(?)から斬り伏せたりしながら進んで行く。
アナキン「うおおおお、どけ、どけ、どけ!」
騒然とするスターデストロイヤーの艦内。
多くの兵士が慌ただしく通路を行き交っている。
その騒ぎを耳にしたパドメは、閉じ込められている部屋のドアに付いている小窓から懸命に外の様子を観察しながら、目の前を通り過ぎる人に声をかける。
パドメ「お願い、ここから出して」
しかし、誰もパドメには構ってくれない。業を煮やしたパドメはドアをガンガン叩きながら叫ぶ。
パドメ「出せ! ここから出せ! 出せってんだ、こんちくしょう!」(映画「タイタニック」)
そこへR2D2がチョコチョコやって来る。
パドメ「あ、R2、わたしをここから出して、早く」
R2D2は頷き、鍵穴へ触手を差し込み、ドアのロックを解除する。
パドメは部屋の外に出る。
パドメ「ありがとう、R2」
帝国軍兵士「こら、戻れ」
パドメが脱走した事に気づいた帝国軍兵士が二人、そう叫びながら前と後ろから飛びかかって来る。
パドメは、外側の着物だけ残してサッと上へジャンプし、視界から消える。鉢合わせになった二人の帝国軍兵士の間には、もぬけの殻になった着物が残されているのみ。上でパドメが叫ぶ。
パドメ「R2!」
すると、R2D2からパドメ専用の赤いライトセーバーが発射され、それを手に取って降りてきたパドメは、さっと二人の帝国軍兵士を斬り倒す。
この時のパドメのコスチュームは、黒いブラジャーに黒いパンツ。赤いブーツ。
パドメは、レーザー刃が出たままのライトセーバーを壁にどんと突き立てると、脱いだ着物から赤い小袖を出して身に纏い、黄色い帯をぎゅっと締め、紐を肩にたすき掛けする(女忍者風)。さらに、頭に赤いバンダナを巻き、両手に赤いオープンフィンガーのグローブをはめる(ジャン・コクトーの映画「オルフェ」のようにフィルムの逆回しで素早く)。
戦闘準備が整ったパドメは、壁からライトセーバーを抜き取り、R2D2に声をかける。
パドメ「行くわよ、R2.ついておいで」
猛然と駆け出すパドメ。追いかけるR2D2.
その前方にいた帝国軍兵士がパドメに気づく。
帝国軍兵士「止まれ。止まらないと撃つぞ」
止まらないパドメに向けて帝国軍兵士がマシンガンを発砲する。
緩やかに右へカーブする通路を、勢いのあまりアンダーステア気味に左側の壁の上を疾走するパドメは、マシンガンの銃弾をすり抜け、体を斜めにしたまま、すれ違いざまに帝国軍兵士の首をサッとはねる。
凄まじい勢いで血を噴き上げながら、両手をガクガクと動かして、その場に崩れ落ちる首の無い胴体(映画「悪魔のはらわた」のイメージ)。
そのまま突進を続けるパドメは、さらに三人の帝国軍兵士を斬り倒す。