勝手にシナリオ
スター・ウォーズ アナザーエピソード1(その9)
スリーナ宇宙ターミナル(ポートか?)。
様々な宇宙人たちがロビーで宇宙船の到着を待っていたり、到着した宇宙船から降りてきたりしている。乗船プラットフォーム。受付カウンター。チケット売場。ラウンジ。売店。レストラン。何本ものエスカレーター。様々な言語のアナウンス(映画版「銀河鉄道999」のイメージ)。
パドメがR2D2を従えて現れる。
「サクラ大戦」の主人公みたいに、上はピンク色の着物。下はえんじ色の袴。ストレートの黒髪にリボン。履物は赤いブーツ。手には旅行鞄(「はいからさんが通る」の感じでも良い)。
パドメ「オルデラン行きの船が出るまで、まだ時間があるから、どこかで休んでいましょう、R2」
R2D2は頷く仕草をする。
パドメ「それにしても、ここは何度来ても壮観だわね。さすがは銀河最大の宇宙ターミナルだわ。この熱気。この人の多さ。最高だわ」
パドメが巨大なターミナル内をぐるりと見まわして感動していると、高級クラブのホステス風のセクシーでケバい女(名前はラウラ。ワンレン。ボディコン。ミニスカ。ハイヒール。日焼けした肌)と仲良く手をつなぎ、にやけ顔でいちゃついているアミダラ卿が、目の前を横切る。
「え?」と目が点になるパドメ。
アミダラ卿は、いつもの貴族服ではなく、エルビス・プレスリーのようなジゴロスタイルの白いスーツ姿。白のパナマハット。首からは金のブレスレット。胸毛まるだし。目にはティアドロップのサングラス。小さな鞄をひとつ持っている。パドメの存在には、まったく気づかない。
パドメは、肩をいからせ、両拳を固く握りしめ、怒りでわなわなと全身を震わせる。
パドメ「・・・いや、最低だった」
宇宙ターミナル内のしゃれたレストラン。
アミダラ卿は、隣に座るラウラの手を握り締め、満面の笑みを浮かべながら甘い言葉を囁いている。
アミダラ卿「今回の仕事はすぐ終わるからね。すぐだよ。本当にすぐ。この鞄を軍の司令部に届ければ良いだけの話だから。たったそれだけ。それでお役御免。後はご自由にどうぞというわけだ。だから、君との時間はたっぷりあるからね。二人でしっぽり楽しもうね、ラウラ」
パドメ「しっぽりって、どういう意味なんですか?」
アミダラ卿「おいおい、それを僕に言わせるつもりかい? 分かっているじゃ・・・ん?」
と、そこまで言ったところで、後ろから声がした事を不審に思ったアミダラ卿が振り返ると、そこにパドメが座っている。腰を抜かして驚くアミダラ卿。
アミダラ卿「うわあああああ、パドメ、どうしてここにぃいいい?」
パドメ「それは、こっちのセリフよ」
アミダラ卿「わしは、わしは、ヨーダ大騎士に頼まれて、これから共和国軍の司令部へ、この鞄を届けに行くところなんじゃあああ」(NHK大河ドラマ「葵 徳川三代」の時の西田敏行風)
パドメ「ふーん。じゃあ、その女性は?」
アミダラ卿「これか? これは私の秘書だ。ただの秘書だ。単なる秘書だ。絶対に秘書だ。間違いなく秘書だ。誰が何と言うおうと秘書だ。秘書なんだ」
パドメ「あ、そう。話は分かったわ。とにかく、鞄を届ける役はわたしが代わりにやるから、パパは今すぐ共和国軍の軍艦でママが待つオルデラン星に帰りなさい」
アミダラ卿「いや、しかし、それは・・・」
ラウラ「ねえ、ルー様、誰なの、その小娘は?」
不愉快そうな表情でそう訊いたラウラの方を向いたアミダラ卿は、たしなめるような口調で
アミダラ卿「おまえは少し黙っていなさい」
するとパドメはラウラの方を向き、うやうやしく一礼した後、わざと大げさな作り笑顔で
パドメ「これは、これは、ご挨拶が遅れて申し訳ありません。わたくしはルーウィー・アミダラの一人娘パドメ・アミダラと申します。いつも父がたいへんお世話になっております。実は急用が出来まして、父はすぐに帰らなくてはならなくなったんざますよ。ですから、たいへん申し訳ございませんが、ここで失礼させて頂きます。あ、ご安心ください、そちら様の帰りの旅費は、当方で負担いたしますから。ほら、ぼやぼやしていないで、早くこの方に帰りの旅費をお渡しして、お父さま」
アミダラ卿は不承不承立ち上がり、半べそになりながら「すまん」と言って、金をラウラに手渡す。
ラウラは、プリプリ怒りながら、その場を立ち去る。
それを、名残惜しそうに、「あーあ」とため息をつきながら、涙目で見送るアミダラ卿。
パドメ「パパ、ちょっとこっちへいらっしゃい」
ラウラが去ったのを見届けるや、パドメはそう言ってアミダラ卿の首根っこをひっ捕まえ、ひと気の無い場所へ無理やり引っ張って行く。
指の関節をボキボキと鳴らしながら睨みつけるパドメ(「北斗の拳」のケンシロウのように)。
恐怖で瞳孔が開きっぱなしになるアミダラ卿。
アミダラ卿「な、何をする気だ? パドメ」
パドメ「命までは奪わないから安心して、パパ」
アミダラ卿「いかん、暴力はいかんぞ、パドメ」
パドメ「失礼な。教育的指導と言ってよ」
アミダラ卿「は、話せば分かるのだ、話せば」
パドメ「問答無用ですわ、お父さま」
アミダラ卿「許してぇ、パドメちゃん」
パドメ「ママに代わってお仕置きよ」(美少女戦士セーラームーン)
アミダラ卿「あっ、あっ、パドメエエエエエエ!」(悲鳴に被さる殴る蹴るの音)
民間宇宙船ルーカスⅣの中。
窓際の席にパドメが澄ました顔で座っている。横にはアミダラ卿が持っていた鞄。隣の席(ロボット用に座席は外されている)にはR2D2。
パドメは窓から外の様子を眺める。プラットフォームを離れ、暗い宇宙空間の中へ飛び出して行くルーカスⅣ。次第に小さくなってゆく宇宙ターミナルの明かり。
船内にいる乗客たちは楽しいそうにしゃべったり、窓の外を眺めたりしている。
やがて美しいキャビンアテンダントが船内食を運んでくる。おいしそうに料理をパクつく乗客たち。
食事の後、乗客たちが寝たり、スクリーンに上映されている映画(画面はよく見えないが、映画「青い体験」のテーマ曲が流れている)を観たり、読書をしたりしていると、突然、船体がガタンと揺れる。
「何だ? どうした?」と乗客が騒ぎ始める。
いつの間にかルーカスⅣの上(?)を巨大なスターデストロイヤーが航行している。スターデストロイヤーの艦底にある格納庫に吸い込まれてゆくルーカスⅣ(エピソード4のイメージ)。
乗客たちが不安がっていると、ルーカスⅣの扉が開き、銃を構えた帝国軍の兵士がどかどかと浸入して来る。悲鳴を上げる女性客。
帝国軍の兵士は、他の乗客には目もくれず、まっすぐパドメの席へ行き、まず最初に鞄を奪い、続いてパドメ一人を船外へ連れ出す。
兵士「来い!」
パドメ「ちょっと何するのよ。やめてよ」
パドメの後を追ってR2D2も船を降りる。