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溝口健二

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 梅雨に入って急に肌寒くなりました。へいっくしょん! ああ風邪気味だわ。
 
 今夜放送のAKB48総選挙、またもや指原莉乃ちゃんが1位なのでしょうか? まゆゆ頑張れ! 
 
 当ブログを愛読してくださっている皆さんは、私が単なるスケベでヲタな中年オヤジだということを、よくご存知かと思います。そのスケベな私は、夜、気分転換に、しばしばFC2ライブ配信というのを覗きます。
 
 ニコ生放送なども同じなのでしょうけど、これは一般素人によるライブ映像配信です。考えてみれば、パソコンと小さなカメラさえあれば、誰だって全世界の人が視聴可能な放送局を開設できるんですから、すごいですよね、ネット社会の現代は。
 そして、このライブ配信が従来のテレビ放送と違うところは、視聴者もコメントを書いて送ることにより配信に参加できる点です。すなわち、視聴者が書いたコメントは瞬時に配信者へ届きますので、それに対して配信者がコメントを返したり、リクエストに応えたりと、双方向でのやりとりが可能なわけです。
 
 このユニークなライブ配信で私が観るのは、もちろんアダルト版です(汗)。そこでは素人(なのかな?)の女性たちが、あられもない姿を晒しています。通常は無料で始まって、途中から有料放送へ切り替わるというパターンでして、流石に今さらお金を払ってまでも観たいという気持ちにはなりませんので、私はいつも無料放送止まりなのですけど、それでもけっこう楽しめます。女装のオカマ野郎もたくさんおります。とにかく、本当にここは日本なのかと目を疑うほど、淫乱と変態による無法地帯と化しているのがライブ配信放送なのです(ちなみに私はその中で林檎を丸一個アナルに入れるアナル姉さんと芸術的なナイスボディの持ち主であるラムちゃんのファンですw)。
 
 ところが、数日前、FC2でライブ配信をしていた《帽子君》と名乗る男が逮捕されました、公然わいせつ罪で。2年ほど前にも《谷山みぃ》と名乗っていた主婦が、やはり人前で性器を晒したとして公然わいせつ罪で逮捕されております。
 私は《帽子君》の放送は観ておりませんが、《谷山みぃ》さんの放送(その頃はもうアダルトな内容ではなく、単なる雑談放送でしたけど。ミニラと呼ぶ可愛い赤ちゃんがそばで寝ていた)は何度か拝見し、コメントを書き入れたこともあります。
 
 もちろん私たちは法律を順守して生活しなければなりませんし、わいせつ行為はいけないんでしょうけど(私自身はポルノ解禁論者でありますけど)、どうしても「逮捕するまでのことがあるのか?」と思ってしまいます。厳重注意で充分だろう、と。
 逮捕により《谷山みぃ》さんは全国に本名を晒され、もちろん親戚や友人やご近所の人たちにも知られ、日常生活が困難になる程のたいへんな目にあったはずです。それに値するほどの悪いことをしたのでしょうか、彼女は? 私には彼女が人々を幸せにする天使のように思えるのですけど・・・
 
 さて、以前《美の完全主義者》ルキノ・ヴィスコンティ監督の映画「家族の肖像」(1974)を取り上げましたけど、日本にも《美の完全主義者》と呼べる監督がおります。それが溝口健二監督・・・言わずと知れた黒澤明、小津安二郎と並ぶ日本映画界ビッグ3の一人です。
 黒澤監督や小津監督と比べるとイマイチ知名度が落ちますけど、「好きな映画監督を3人挙げろ」と言われた「気狂いピエロ」(1965)のジャン・リュック・ゴダール監督が「ミゾグチ、ミゾグチ、ミゾグチ」と答えたことでも分かるように、世界の映画界に与えた影響は甚大です。
 
 そんな溝口監督はたいへん多くの作品を撮っていらっしゃいまして、その中でサイレント時代の作品はほとんどフィルムが残っていないのですけど、残っているトーキー作品の中から私が実際に観て強い感銘を受けた溝口監督の代表作4本を、今回はご紹介させていただきます。
 
 
 「西鶴一代女」(1952)
 
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 いまは娼婦に転落しているお春のそれまで辿った数奇な人生を描いた作品です。お春を演じるのは溝口作品常連の田中絹代さん。昭和を代表する名女優ですね。
 ちなみに、この作品にヒントを得たジャック・リヴェット監督が、ゴダールの奥さんだった女優アンナ・カリーナ主演で撮った作品が「修道女」(1966)であります。
 
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 溝口監督の特徴であるワンシーン・ワンカットによる長回し撮影が、この作品でも随所に効いています。芝居を大切にする人でした、溝口監督は。
 
 
 「雨月物語」(1953)
 
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 上田秋成原作の怪談物語を幽玄の美の中に描き出した作品です。京マチ子さん演じる妖怪が怪しく美しく色っぽい。相手役の森雅之さんも好きだなぁ。二人の共演は黒澤監督の「羅生門」(1950)に続き2回目ですね。森雅之さんの出演作では成瀬己喜男監督の「浮雲」(1955)も忘れ難いです。
 
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 「山椒大夫」(1954)
 
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 森鷗外原作のお馴染み安寿と厨子王の物語。旅の途中でさらわれた母子。母親は娼婦に売られ、子供たちは山椒大夫という荘園領主の奴隷にされるという、実に可哀想なお話です。
 
 母親を演じるのは田中絹代さん。
 
 息子の厨子王を演じるのは花柳喜章さん。この方はずっと後にNHK大河ドラマ「花神」で西郷隆盛を演じます。当ブログの記事「NHK大河ドラマ「花神」その16」で私は花柳さんをちゃかすような事を書きましたけど、改めてお詫びいたしますね。花柳さん、ごめんちゃい。
 
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 そして、娘の安寿役が、当ブログの記事「わが愛しの邦画大女優その1」でご紹介した香川京子さんです。美しくて、可愛くて、優しくて、しっかりしていて、聡明で・・・我が理想の女性です、香川さんは。
 
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 また、山椒大夫役の進藤英太郎さんが好きだというのも、以前書いた通りです。こういう味のある役者さんがいなくなっちまったのよね、今は。
 
 映画のラスト・・・遂に母親との再会を果たす厨子王・・・その後、カメラは海へパンして、そこで映画が終わります。
 
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 このラストシーンに影響を受けてゴダール監督の「気狂いピエロ」のラストシーンが出来たとウィキペディアには書いてありましたけど、そうなんでしょうか? おそらくそうなんでしょうね。先にも書きました通り、ゴダールは溝口監督の大ファンですからね。
 
 
 「近松物語」(1954)
 
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 近松門左衛門の戯曲を原案とする悲恋物語。
 長谷川一夫さん演じる手代の茂兵衛と主人の妻おさんの道ならぬ恋の行方は?・・・というお話です。
 
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 おさん役の香川京子さんが若すぎて少し役のイメージに合わないのが欠点ですけど(出来れば京マチ子さんか山田五十鈴さんに演じてもらいたかった)、その他には文句の無い、これぞ溝口健二の最高傑作と呼べる作品です。
 カットのひとつひとつが、まるで絵画のように美しく、ビシッときまっています。精神性の高さを感じさせてくれる映画です。
 
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 以上、溝口健二監督の作品をご紹介いたしました。
 
 おそらく皆さんは「古い映画ばかりだなぁ」とお思いになったことでしょう。そして「つまらなそうだな」、「観るのはしんどそうだな」、と。
 確かに最近の鉄砲をバンバン撃ち合う派手なアクション映画や宇宙人が地球を侵略してくるSF映画を観た方が単純に楽しめるでしょう。しかし、いちど「イワン雷帝」(1944)の記事にも書きました通り、そういうものは観終わったあと何も残りません。
 それに対して、溝口監督の作品や「イワン雷帝」などの名作を鑑賞すると、観ているときは多少しんどいかもしれませんけど、観終わったあと必ず何かが残り、何かが自分を変え、そしてエネルギーを与えてくれます。それが芸術の力なのです。
 
 黒澤、小津、溝口のビッグ3以外にも、山中貞雄監督の「丹下左膳餘話 百萬両の壺」(1935)、当ブログの記事「ナスターシャ・キンスキー」と「追悼・山田五十鈴」でご紹介した成瀬己喜男監督の「おかあさん」(1952)や「流れる」(1956)、勅使河原宏監督の「砂の女」(1964)、あるいは当ブログではまだご紹介しておりませんが清水宏監督の「有りがたうさん」(1936)等の作品などなど・・・邦画にも素晴らしい作品がたくさんあります。
 あ、そうそう、「つづり方兄妹」(1958)と今井正監督の「キクとイサム」(1956)もお忘れなく。
 
 別にインテリぶるつもりはありませんけど(実際、FC2のライブ配信を観て鼻の下を伸ばしている私がインテリなわけないですよね。なはは)、本当に私はこういう映画が好きなんです。
 溝口健二監督作品を初めとする邦画の名作群・・・まだ観ていらっしゃらない方は、がんばってご覧になってみてくださいね。必ず何かが残りますよ。

気になる女性たち3(昔のいい女篇)

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 俳優の林隆三さんがお亡くなりになりました。林さんは、ショーケンや松田優作や沖雅也と並んで、私が子供の頃「将来はあんなカッコいいお兄ちゃんになりたいな♪」と憧れた人です。男っぽいんだけど、油っぽくなく、くどくなく、逆にさわやかで、知的で、ユーモラスなところが大好きでした。また、たまにテレビでご披露くださる得意のピアノ演奏にもシビレました。
 私が初めて林さんを知ったのは、1971年放送のNHKのドラマ「天下御免」。林さんは山口崇さん演じる平賀源内の相棒である豪放磊落な剣豪役でした。その時のバンカラな役柄が現在に至るまで抱く私の林さんに対するイメージです。
 そんな林さんの魅力爆発だったのが、当ブログの記事「NHK大河ドラマの若手俳優」にも書きましたけど、1973年放送のNHK大河ドラマ「国盗り物語」の雑賀孫市役です。織田信長軍に刃向う紀州雑賀党の若きリーダー孫市を、林さんが若々しく、エネルギッシュに、そしてたいへん魅力的に演じていらっしゃいました。最高にカッコ良かったです。
 心より林隆三さんのご冥福をお祈り申し上げます。
 
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 さて、2014年度AKB48グループ総選挙の結果は、我らが(?)渡辺麻友ちゃんの大勝利でした。やっぱりまゆゆがセンターじゃないと始まりませんよね、AKBは。あはは。
 でも、大島優子ちゃんが卒業し、今後AKBは新旧交代が進むのでしょうけど、こういうグループというのはたいがい初期のメンバーが一番いいんですよね。モー娘がそのいい例で、メンバーが新しくなるたびに、どんどん魅力が失われていったじゃないですか。そういう意味ではAKBもすでに衰退期を迎えているのでしょうね。
 それにしても1位の発表を待っている時のまゆゆの横顔の美しさは尋常じゃありませんでしたね。そして、光輝くまゆゆの笑顔・・・漫画家の小林よしのり氏が書いていたように、あれこそが万病を癒すという菩薩の微笑み・・・ありがたや、ありがたや・・・大好きですう、まゆゆちゃあああああん♡
 
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 ・・・えー、ということで、今回は現代の《いい女》まゆゆの総選挙1位を記念いたしまして、私が若い頃の《いい女》を10名程ご紹介したいと思います。例によって「げんざい気になる」じゃなく「むかし気になった」古い人ばかりですけど、そこんとこはご容赦くださいね。えへへ(汗)。
 
 
 ☆ あべ静江
 
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 私が中学生のとき「コーヒーショップで」と「みずいろの手紙」の大ヒットにより突然あられた美しきお姉さまです。知的で、大人っぽくて、しゅっとしていて、こんな美しい女性が世の中に存在するのかと驚きました。
 歌手で、しかも元人気DJということで、声がまた素晴らしくお美しくて、もうパーフェクトな印象でしたね。
 
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 それが最近のお写真を拝見すると、すっかりお太りになられて・・・ねえねえ、静江さん、昔たけし軍団の井出らっきょうさんと噂になっていましたけど、真相はどうなのよ?
 
 
 ☆ 篠ひろ子
 
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 ひろ子さんも色っぽいお姉さまというイメージの方でしたよね。最初は歌手でデビューなさったそうですけど芽が出ず、テレビドラマ「時間ですよ」の小料理屋の女将お涼さん役でブレイクなさいました。
 
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 その後は渡哲也さん主演の「大都会」とか、渋い大人のドラマで大活躍でした。
 
 
 ☆ 多岐川裕美
 
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 色っぽいお姉さまと言えば多岐川裕美さんも外せません。最近は娘さんの華子さんの事ばかりが話題になりますけど、昔の裕美さんはホントいい女でした。映画「聖獣学園」(1974)を、私は忘れられません。また筒井康隆原作のNHK少年ドラマ「七瀬ふたたび」も良かったです。
 
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 それから裕美さんのヒット曲「酸っぱい経験」は、今でも時おり口ずさむ、私の大好きな名曲です。
 
 
 ☆ 阿川泰子
 
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 ジャズシンガーの阿川泰子さんも、色っぽくて、大人っぽくて、独特の雰囲気があって、大好きです。
 古館伊知郎さんと一緒に司会なさっていた「おしゃれ」を、私は毎週たのしみにしておりました。特に松田優作が死の直前に自分の病気を隠して出演した回は忘れられませんね。
 
 
 ☆ 水沢アキ
 
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 昨夜、実の息子を虐待する母親として、テレビのバラエティ番組にご出演なさっていましたよね。
 私の若い頃は、エロ可愛い、最高のオナペットだったんですけどね、彼女は。確かダウンタウンの松ちゃんも昔さんざんお世話になったとおっしゃっておりました。
 
 
 ☆ 武田久美子
 
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 この方もエロ可愛い派、しかもその代表格ですよね。貝殻は久美子さんの為にあると言っていいでしょう。素晴らしい。
 
 
 ☆ 墨田ユキ
 
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 津川雅彦さんと共演した新藤兼人監督作品「濹東綺譚」(1992)の時のユキさんは、はかなげで、色っぽくて、時おり少女のようなあどけない笑顔を見せて・・・最高にステキでした。
 
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 現在は女優を引退なさったのでしょうか? 才能のある方なのに残念です。
 
 
 ☆ 鶴田真由
 
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 そんなに古い方ではないですけど、個人的にファンなので入れました。単純に真由さんの顔がタイプです。上品で美しいお顔ですよね。
 
 
 ☆ 早乙女愛
 
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 当ブログの記事「ユーチューブでよく聴く曲(アイドル篇)」で彼女が歌った名曲「魔法の鏡」をご紹介した早乙女愛さん。西城秀樹さん主演映画「愛と誠」(1974)でデビューした頃は、上の写真のようなバリバリの清純派アイドルでした。
 
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 ところが、1980年放送のテレビドラマ「溺れ蜜・狂い蜜」あたりからアダルト路線に変更し、1983年放送のテレビドラマ「新・ハングマン」、そして同年公開の映画「女猫」で完全にセクシー女優へと変貌いたします。
 もちろん、それは我々にとって大歓迎の出来事でした。
 
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 その後、映画「北の蛍」(1984)、テレビドラマ「通り魔 人妻は白昼犯された!」(1985)と、私たちの股間を熱くしてくれた愛さん・・・しかし、愛さんはもうこの世にはいらっしゃらないんですよね・・・悲し・・・
 
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 ☆ 中野良子
 
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 今回は早乙女愛さんでおしまいでもいいんですけど、ついでですから久しぶりに中野良子さんのお写真も少し貼っておきましょうね。皆さんが良子さんを忘れちゃうと困りますから。あはは(汗)。
 あ、そうそう、良子さんは林隆三さんと一緒に「天下御免」に出演なさっておりましたね。
 
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 当ブログの読者の皆さんは、私が中野良子さんの大ファンだということを、よくご存知ですよね?
 本当は美しい良子さんのお写真をいっぱい貼りたいのですけど、なかなかいい写真が見つからないんですよ・・・ぐっすん・・・
 
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 とりあえず、今年も中野良子さんを、よろしくお願いします(何じゃこりゃ?)。

セクシーな絵画

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 サッカーWカップ・ブラジル大会が始まりましたね。
 私は当ブログの記事「Wカップサッカー」に書きました通りマラドーナの時代の人間でして、ブラジル代表というと今でもロマーリオを思い浮かべる始末なんですけど(汗)、それはともかく日本チームには一つでも多く勝っていただきたいですね。
 がんばれ、ニッポン!!!
 
 さて、前回、私が若きころ胸ときめかせたセクシーなお姉さま方を10名ほどピックアップいたしましたけど、考えてみれば美術の世界にも私好みのエロいと言うかセクシーな絵画がたくさんありますので、今回はそういった作品を何点かご紹介したいと思います。たまには美術鑑賞もいいでしょう? あはは。
 
 まずは佐伯俊男。
 寺山修司や唐十郎のアングラ演劇に影響を受けたと思われる、淫靡だけどユーモラスで可愛いアートの世界を見せてくれます。
 佐伯先生は、私と同じ宮崎県のご出身だとか。それを知って何だか親近感がわきました(笑)。
 
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 アングラ演劇の影響といえば、この人もそうですよね。丸尾末広。丸尾先生は夢野久作や江戸川乱歩の世界をよく絵の題材に選んでいらっしゃいます。
 
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 米倉斉加年さんは日本を代表する演技派俳優の一人ですけど、絵画の腕も素晴らしく、その作品は夢野久作の本の表紙絵などに多数採用されております。
 
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 丸尾先生や米倉先生が憧れているであろう偉大なる先達がビアズリーでしょうね。オスカー・ワイルドの戯曲「サロメ」やエドガー・アラン・ポーの作品の挿絵で有名な英国の画家です。
 細い線と白黒のコントラストが生み出すビアズリーの世界はお見事の一言に尽きます。
 
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 細い線でエロチックな作品を生み出すアーティストといえば、版画家の池田満寿夫さんを忘れるわけにはまいりません。池田先生の線はピカソの影響が大きいのでしょうけど、当ブログの記事「谷岡ヤスジ」に書きました通り、昔からずっと私は彼の線の大ファンです。
 
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 池田満寿夫さんは「エーゲ海に捧ぐ」など文学の世界でも活躍なさいましたけど、バタイユやサドの小説の表紙絵をよく描いていらっしゃったのが金子國義さんです。彼の絵には独特のエロティシズムがありました。
 
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 金子さん的なエロティシズムというとバルテュスを連想いたします。サドやニーチェの研究で有名な作家・ピエール・クロソウスキーを実兄に持つ画家です。
 
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 また、ポール・デルヴォーも連想いたします。
 ギリシャ神殿を思わせる建物に佇むマネキン人形のような裸の女たち・・・これは幻想か?・・・それとも夢の中の情景か?・・・
 デルヴォーの描く女たちは、人間っぽくない分、余計にエロティックです。それは人間の秘かな欲望を体現しているからかもしれません。ヲタどもが描くエロイラストを見ても、極端にバストが巨大で、それでいて顔はお人形さんみたいなロリ顔という人間離れしているものがほとんどですものね。欲望に忠実に描こうとすると、生身の人間からは遠ざかるのでしょうね。
 ちなみにデルヴォーの絵画には、しばしば髪の毛がまっ黄色の女性が登場します、紫色のドレスを身に纏った・・・私は、現在の美輪明宏さんのスタイルは、ここから生まれたと思っているのですけど・・・
 
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 次はとっておきのエロい絵画をご紹介します。沖渉二です。どうです? エロいでしょう? 昔のエロ小説雑誌には、このようなエロい挿絵がたくさん載っていたのですよ。
 沖先生の他にも・・・前田寿安・・・山崎無平・・・加藤かほる・・・曽我部泰・・・小妻容子・・・椋陽児・・・桐丘裕詩・・・笠間しろう・・・の諸先生方。いやー、素晴らしかった。欲情した(随分と詳しいじゃねえか、このドスケベ野郎、と呆れないでくださいね。なはは)。
 
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 ・・・えー、次、いきますね。
 
 セクシーな女性の絵画といえば、ジョン・シンガー・サージェントの「マダムXの肖像」も有名です。
 
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 これと似た趣向の作品が鏑木清方の「築地明石町」。凛とした着物女性の立ち姿、美しいですよね。鏑木清方先生は泉鏡花の挿絵でも有名です。
 
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 このように美しい着物姿の女性の絵を見ていると、ついつい中野良子さんを思い浮かべてしまうのは、私だけでしょうか?
 え? おまえの中野良子さん推しはしつこいって? うるうる。どうもすんずれいしました(涙)。
 
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 鏑木清方先生は浮世絵の伝統を受け継ぐ絵師でしたけど、浮世絵といえば日本が世界に誇る大芸術家・葛飾北斎。
 
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 北斎も大蛸と絡み合う女性の姿などエロい作品をたくさん描いております。しかし、今回ご紹介したいのは、北斎の娘である葛飾応為(かつしかおうい)の方です。
 
 彼女の本名はお栄(えい)といいます。「応為」という画号は、北斎が娘を呼ぶ時の「おーい」という呼び声から付けたとか。そういう適当というか遊び心いっぱいの女性なのですけど、現在10点ほど残っている彼女の作品は、西洋絵画の影響を受けた、光と陰のコントラストが見事な、まさに天才の為せる業ばかりです。
 その中でも特に素晴らしい「夜桜美人図」をご覧ください。
 
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 ちなみに、新藤兼人監督の映画「北斎漫画」(1981)では、田中裕子さんがお栄を演じていらっしゃいました。この映画も名作です。ぜひご覧になってみてくださいね。
 
 光と陰のコントラストという点では、アムステルダムの女流画家・マルレーネ・デュマスも外せません。彼女は日本でも人気でして、桜庭一樹さんの小説の表紙に彼女の作品が使われたりしております。
 
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 そんな彼女の作品「ブロークン・ホワイト」。
 こちらに迫ってきますよね、彼女の絵は。
 
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 この作品は日本の写真家・荒木経惟氏の写真からインスピレーションを得て描かれました。
 
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 最後は黒田清輝の「湖畔」をどうぞ。
 小学生のとき初めて見て以来ずっと魅せられている日本を代表する名画です。
 美しく、上品で、落ち着いていて、ほんのりとした色気があって・・・文句ありません。大好きです。
 
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ジャン・コクトー

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 日本のWカップ初戦はコートジボワールにやられちゃいましたね。
 「本来の日本のサッカーが出来ていなかった」とか「ドログバにやられた」とか色々言われておりますけど、私の見た限りでは実力通りの結果ではなかったかと・・・FIFAランキングがどこまで正確に実力を反映しているのか分かりませんが、それでも23位のコートジボワールと46位の日本の差は歴然でしたね。
 「次のギリシャ戦には勝てる」
 そう言う人が多いのですけど、ギリシャのFIFAランキングは12位なんですよね。大丈夫なんでしょうか? もちろん私は日本チームに勝ってもらいたいし、日本チームを応援しているのですけど・・・
 
 前回は絵画のお話をさせていただきました。
 たまには一流画家の作品を鑑賞するのもいいものですよ。どこの図書館へ行っても大きな美術全集や画集が置いてありますし、ネットでも簡単に見れますから。
 出来れば解説もすべて読んでもらいたいのですけど、パラパラとページをめくって絵を眺めるだけでもためになりますので、ぜひ美術の勉強も怠りなくやっておいてくださいね。じゃないと単位をあげませんよ(笑)。
 
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 上の絵はルーベンスが最初の妻イザベラを描いたデッサンですけど、何かすごくないですか? 二次元の紙の表面から三次元の生きた人間の顔が浮かび上がってくるようで。
 これが芸術というものです。
 ちなみにルーベンスは「フランダースの犬」の主人公ネロが憧れる画家です。アニメ版では大聖堂にあるルーベンスの絵の前でネロとパトラッシュが死んでゆくんですよね・・・天国からたくさんの天使たちが舞い降りてきて・・・泣けましたね、あのシーンは・・・
 
 ルーベンスの他にもアングル、ドラクロワ、ゴッホ、ルノアール、クレー、シャガール、ピカソ、ダリなど素晴らしい画家はたくさんおりますので、彼らの作品もきっちり鑑賞しておいてくださいね。
 あ、そうそう、当ブログの記事「アポリネールの詩」でご紹介したキリコの作品もね。キリコの描く塔の絵が、私は好きなんです。
 
 さて、詩人アポリネールの名前が出たところで、今日の本題です。今回は詩人ジャン・コクトーのお話をさせていただきます。
 
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 いま詩人と書きましたけど、コクトーは単に詩人というだけでなく、小説家、劇作家、評論家、画家、映画監督とマルチに活躍した人でした。全身が才能でキラキラ輝いているような人でしたね。
 
 詩人としてのコクトーは、「耳」という作品でよく知られています。
 
 
   私の耳は貝のから
   海の響きをなつかしむ (堀口大学訳)
 
 
 この詩は皆さんもご存知でしょう? 有名な作品ですものね。昔、梶原一騎原作のアニメ「巨人の星」の中で、看護婦の美奈さんが、主人公の星飛雄馬にこの詩を朗読してあげていましたね、たしか宮崎県の青島海岸で。
 
 それから、「シャボン玉」という詩も、可愛くて、品があって、ロマンチックで、私は大好きです。
 
 
   シャボン玉の中へは
   庭は這入れません
   まわりをくるくる廻っています (堀口大学訳)
 
 
 小説家としてのコクトーは、「恐るべき子供たち」や「山師トマ」、「大股びらき」などで有名です。
 三島由紀夫がコクトーに強い影響を受けております。その証拠に、三島の「仮面の告白」には、コクトーの自伝的小説「白書」そっくりな箇所がありますもの。
 「あ、三島センセ、コクトーのここをパクったんだな」
 そう思ったものです、私は、大学生のときに。
 
 それでは三島由紀夫が「文章読本」の中で絶賛していた「山師トマ」の一節をお読みください(河盛好蔵訳)。
 
 
 ・・・冷たい夜は、星と、白く光る照明弾とに鏤められていた。ギヨムは初めて、たった独りの自分を見出した。最後の幕が上がるのである。小児とお伽芝居が混り合うのだ。ギヨムが遂に恋を知るのである。
 廻り道をする代わりに、彼は最前線の胸壁を伝って埋立地まで行った。そこからは這う必要があった。ブルウイユと彼は、こんな赤色人種的な実習に秀れていた。
 数メートル行くと、彼は死骸に一つ行き当たった。
 一つの霊魂が訳もなく大急ぎでこの肉体を棄て去っていた。彼はもの珍しそうな冷たい眼でこれを調べた。
 彼は道を続けた。また他の死骸に出会った。今度のは虐殺されて、酔っぱらいに脱ぎ棄てられたカラーや、靴や、ネクタイや、ワイシャツのように投げ出されてあった・・・
 
 
 さすがは三島由紀夫が惚れ込むだけあって比喩が見事に決まった名文ですよね。
 
 評論家としてコクトーは様々な文章を書いておりますけど、阿片中毒治療中に書いた「阿片」(堀口大学訳)というエッセイに、私なんぞは特に魅了されました。颯爽としていて、美しくて、華麗で、豊饒で、エスプリが効いていて・・・皆さんもぜひ一度お読みくださいね。「失われた時を求めて」の作者マルセル・プルーストとの思い出を綴った部分などはとても印象的ですよ。
 
 ここではコクトーが映画「モロッコ」(1930)等で有名な大女優マルレーネ・ディートリッヒについて書いた文章をご紹介いたしますね(梁木靖弘訳)。
 
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 ・・・マルレーネを紹介したりはしません。彼女に敬意を表し、あるがままの彼女に感謝するばかりです。彼女のように望みのままに、完全武装をして伝説のなかへ入っていく例はまれです。マルレーネは騎兵遊びをする子供たちと同じように、椅子に馬乗りになって伝説のなかへ入っていった・・・
 ・・・マルレーネ・ディートリッヒ・・・あなたの名はなでるように始まり、むちのひと打ちで終わる。あなたのつける羽毛や毛皮は、獣の毛皮や鳥の羽毛のように、あなたの身体のもののようだ。
 あなたの声、あなたのまなざしはローレライのもの。ローレライは危険でも、あなたはそうではない。なぜなら、あなたの美の秘密は、あなたが真直ぐな心を保つよう気をつけているところにあるから・・・
 
 
 コクトーは画家や映画監督としても素晴らしい作品を残しました。特にコクトーの映画が、私は大好きです。
 映画処女作である「詩人の血」(1930)には、トリック撮影やフィルムの逆回し、動く彫像など、後のコクトーの映画の要素がすべて入っております。コクトーにとって映画とは、あり余るおのれの才能で遊ぶためのおもちゃ箱みたいなものだったのでしょうね。
 
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 そんなコクトーの映画の代表作は、まず「美女と野獣」(1946)。
 
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 「美女と野獣」というと1991年に公開されたディズニーのアニメ映画を思い浮かべる人が多いと思いますけど、そのずっと前にコクトーが作っていたのですよ、詩的で、幻想的で、とっても美しい作品を。
 
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 確かにディズニーのアニメ版も素晴らしかったですけど、野獣がおっさん臭いところには閉口しましたね。まるでベルのお父っちゃんみたいなんですもの。野獣の正体はうら若き王子さまなのですから、もっと若々しくしなくちゃね。
 その点、コクトー版の野獣には青年っぽさがありました。
 
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 また、コクトー版は衣装がおしゃれですし(日本の歌舞伎の影響を受けたらしい)、蝋燭立てが人間の手になっていたりと、何もかもがハイセンスでした。
 
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 次に「オルフェ」(1949)。
 
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 これは、死んだ愛妻を生き返らせるため冥界へ妻を迎えに行ったオルフェが、「地上に戻るまでは絶対に妻の姿を見ない」という約束を破り、妻を見てしまったため妻の取り戻しに失敗するというギリシャ神話(日本にもイザナギ・イザナミの似たような神話がある)を、現代の物語にアレンジした作品です。
 
 主人公の詩人オルフェを演じるのはジャン・マレー。
 「美女と野獣」を初め、ほとんどのコクトーの映画で主役を演じた、ギリシャ彫刻のような凛々しいお顔のイケメンです。彼はホモ太郎侍コクトーの愛人でもありました。つまりヴィスコンティ映画におけるヘルムート・バーガーみたいなものですな。あはは。
 
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 オルフェに恋する死神を演じるのは、マリア・カザレス。
 映画「天井桟敷の人々」(1944)の時は可憐な若娘でしたが、本作では貫録のある美しき大姐御を見事に演じています。
 
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 地上で活動する死神たちには冥界からラジオの電波で指令が送られてくるのですけど、それが「沈黙は後退する」だの「鳥は指でさえずる」だの、まるで第二次世界大戦中に連合国側がドイツの支配下にあったフランスのレジスタンスに送った暗号みたいで好きです(笑)。
 
 オルフェが冥界へ行く途中、ガラス売りのおじさんの霊が横切ったりするのですけど、こういう意味不明なところも大好きです(笑)。
 
 そして冥界の風景。どこかの廃墟で撮影したのでしょうけど、こういうところもセンスいいですよね。とにかくコクトーの芸術センスには脱帽するばかりです。
 
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 コクトーの映画では、他に「双頭の鷲」(1947)という作品も美しくて大好きです。
 
 文学でも絵画でも映画でも何でもいいですから、ジャン・コクトーの素晴らしい芸術作品を鑑賞してくださいね。感性が磨かれますよ。

懐かしいフォークソング

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 群馬県富岡市の富岡製糸場跡が正式に世界遺産に登録されました。パチ、パチ、パチ。おめでとうございます。皆さんも見学に来てくださいね♡
 
 Wカップサッカーブラジル大会・ギリシャ戦、日本はまたしても勝てませんでしたね。コートジボワール戦よりは選手の動きが良かったんですけどね。決定力不足・・・これはどうにもなりませんなぁ・・・
 次はコロンビア戦。とにかくコロンビアに勝たなければ決勝リーグ進出はありえないのですから、奇跡を起こしていただきたいものです、日本チームには。
 がんばれ、ニッポン!!!
 
 東京都議会でのセクハラ野次が問題になっています。こういう問題が起きるとすぐヒステリックに騒ぎだす人が出てきますし、野次を受けた塩村議員が所属するみんなの党は声紋鑑定してでも野次の犯人をつきとめると息巻いているようですけど、どうなんでしょうか?
 あまりにもひどい野次に対しては議長が制止できるし、それでも野次をやめない議員は退場させることも可能なわけですから、外野が騒ぎすぎるのはどうかと思います。野次も含めて議会の討論であり、逆にこういう事で萎縮作用が働き、自由な討論の場が確保できなくなったら、そちらの方が問題です。議会の自律権を尊重いたしましょう。
 
 さて、今回は音楽のお話をさせていただきます。
 もともと音楽の素養の無い私は、小学生時代はガメラや仮面ライダーにばかり夢中で、音楽に対する関心などほとんどゼロでした。当時、世間ではグループサウンズがブームだったそうですけど、まったく記憶にありません。
 ただ、タイガース解散後、ソロになったジュリー(沢田研二さん)の初ヒット曲「危険なふたり」(作詞・安井かずみ、作曲・加瀬邦彦)は大好きで、今でも私のカラオケの18番となっております。キャー、ジュリー、ステキ!
 
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   今日まで二人は恋という名の旅をしてきたと言える
   あなたは年上の女性(ひと)美しすぎる
   ああ ああ それでも愛しているのに
 
 その後、当ブログの記事「我が愛しのキャンディーズ」に書きました通り、小学校高学年になるとアイドルに目覚め始め、音楽にも関心が向くようになりました。そんな1970年代前半の日本の音楽シーンを席巻していたのがフォークソングでした。
 
 フォークソング・・・古いところではザ・フォーク・クルセダーズの「帰ってきたヨッパライ」なんか懐かしいなぁ・・・そのザ・フォーク・クルセダーズに所属していたはしだのりひこさんが作ったはしだのりひことシューベルツの「風」(作詞・北山修、作曲・端田宣彦)も素晴らしかった。心に滲みる名曲ですよね。
 
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   人は誰もただひとり旅に出て
   人は誰もふるさとを振りかえる
   ちょっぴりさみしくて振りかえっても
   そこにはただ風が吹いているだけ
 
 はしだのりひこさんの曲では他に「花嫁」が好きだというのは、当ブログの記事「ユーチューブでよく聴く曲(カオス篇その3)」に書いた通りです。
 
 しかし、日本でフォークソングが本当にメジャーになったのは、吉田拓郎さんの登場からです。「結婚しようよ」、「旅の宿」、1972年富士フィルムのCMソング「Have a Nice Day」あたりにはシビれましたね。
 
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 井上陽水さんも、同じ時期に、「傘がない」、「夢の中で」、「心もよう」の大ヒットで一気にメジャーになりました。
 
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 そして、かぐや姫。「神田川」、「赤ちょうちん」、「妹」の大ヒットにより、日本の音楽シーンはフォークソング一色となります。
 
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 彼らフォークシンガーたちは、テレビ出演を拒否し(その代わりラジオを自分たちの主戦場にしていた)、気ままな服装と髪型でメッセージ性の高い自作の曲を歌っていました。その反体制的で自由な雰囲気がとてもカッコ良かったし、また彼らの曲が放つメッセージには傷ついた心を癒すような心優しい内容が多かったので、私たちのハートをガッチリ掴んだのでした(学生運動終結後の70年代は優しさが求められていた)。
 
 このころ活躍していたフォーク関連の人々と言いますと、他に・・・山崎ハコさん・・・「夕暮れ時はさびしそう」のNSP・・・ハイ・ファイ・セットの前身である赤い鳥・・・当ブログの記事「ユーチューブでよく聴く曲(カオス篇その2)」で「虹と雪のバラード」をご紹介したトワ・エ・モア・・・さだまさしさん・・・武田鉄矢さん率いる「母に捧げるバラード」の海援隊・・・小椋佳さん・・・泉谷しげるさん・・・あのねのね・・・
 
 ガロが歌う「学生街の喫茶店」(作詞・山下路夫、作曲・すぎやまこういち)も衝撃的でした。あまりにも美しい曲で・・・
 
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   君とよくこの店に来たものさ
   わけもなくお茶を飲み話したよ
   学生でにぎやかなこの店の
   片隅で聴いていたボブ・ディラン
 
 「心の旅」の大ヒットで一気にメジャーに躍り出たチューリップのシングル2曲目「夏色のおもいで」(作詞・松本隆、作曲・財津和夫)のレコードを買ったなぁ・・・これも美しい名曲です・・・
 
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   君の眼を見てると
   海を思いだすんだ
   淡い青が溶けて
   なぜか悲しくなるんだ
 
 リリィの「私は泣いています」(作詞作曲・リリィ)も忘れられない一曲です。ハスキーボイスのリリィさんは1970年代前半の日本を代表する《いい女》でした。
 
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   私は泣いていますベッドの上で
   私は泣いていますベッドの上で
   あなたに逢えて幸せだった
   昼も夜も帰らない
   あなたがいたからどんな事でも
   なりふり構わず歩いてきたの
 
 この頃はホント美しい名曲が多いですね。バンバンの「いちご白書をもういちど」(作詞作曲・荒井由実)もそうです。この曲で私たちはユーミンこと松任谷由実(当時は荒井由実)さんの存在を初めて知ったのでした。
 
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   就職が決まって髪を切ってきた時
   もう若くないさと君に言い訳したね
 
 「かぐや姫」のメンバーだった伊勢正三さんが作った風の「22才の別れ」も、この時期のフォーク界を代表する名曲です。
 
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   私には鏡に映ったあなたの姿を見つけられずに
   私の目の前にあった幸せにすがりついてしまった
 
 伊勢正三さんの曲では、イルカさんが歌った「なごり雪」も忘れられませんね。今でもよく耳にする名曲です。
 
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 フォーク歌手の中でアイドル的な人気があったのがチェリッシュです。
 「なのにあなたは京都へ行くの」、「白いギター」、「てんとう虫のサンバ」・・・当時「てんとう虫のサンバ」は結婚式の定番ソングでした。
 
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 1970年代後半になると松山千春さんや中島みゆきさんが台頭してきます。そのころ私は北海道の北見市に住む高校生でしたので、北海道出身のお二人の活躍に胸躍らせたものです。地元の英雄という感じで。
 
 松山千春さんは「季節の中で」の大ヒットでメジャーになりました。千春の「オールナイトニッポン」は毎週欠かさず聴いていましたね。当時は卒業式で「仰げば尊し」の代わりに千春の「旅立ち」をかけるのが流行っておりました。いま考えるとちょっと気恥ずかしいのですけど・・・
 そんな千春の卒業ソングの代表作「卒業」の一節を(下のジャケット写真のお顔が現在とは全然違いますけど。あはは)・・・
 
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   こみあげる淋しさに問いかけたのは
   足早に過ぎた時の流れ
 
 中島みゆきさんには数々の名曲がありますけど、その中でも特に私が好きなのが「海よ」。初期の傑作です。
 
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   海よ おまえが泣いてる夜は
   遠いふるさとの唄を歌おう
   海よ おまえが呼んでる夜は
   遠い舟乗りの唄を歌おう
 
 「冬の稲妻」の大ヒットをきっかけにして次第にロック化していったアリスにも初期には「今はもうだれも」や「遠くで汽笛を聞きながら」などデリケートなタッチのフォークの名曲があります。その中でも「帰らざる日々」は特に傑作です。確か山口百恵さんもテレビでこの曲が好きだとおっしゃっておりました。
 1978年に藤田敏八監督の手でこの曲からインスピレーションを得た映画が作られたというのは、当ブログの記事「祭りの準備」でお話した通りです。
 
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   バイ バイ バイ わたしのあなた
   バイ バイ バイ わたしの心
   バイ バイ バイ わたしの命
   バイ バイ バイ マイラブ
 
 1970年代最後の年には岸田智史さんの「きみの朝」(作詞・岡本おさみ、作曲・岸田智史)がヒットしましたね。「モーニング モーニング きみの朝だよ♪」という曲です。
 岸田さんは武田鉄矢さんの金八先生の後、新八先生役に抜擢されて、それ以来ずっと俳優として活躍なさっております。
 
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 最後は浦部雅美さんの「少し遠出をしてみませんか」です。
 え? そんな人も、そんな曲も、まったく知らない、まったく聞いたことが無いですって? そりゃあそうでしょうね、ほとんど無名の人ですから。でも、私には思い出深い人なのです。
 と申しますのも、浦部さんは当時わたしが住んでいた北海道北見市の隣にある美幌町のご出身でして、美幌町から「スター誕生!」で優勝して歌手デビューした、すなわち千春やみゆきさんと同じと言うか、それ以上に身近な地元の英雄だったのです。
 浦部さんの父親は美幌町でスーパーマーケット「スーパーうらべ」を経営なさっていて、お客さんにいつも「娘をよろしく♪」と宣伝なさっていらっしゃいました。
 
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 残念ながら浦部さんは、何枚かのレコードをリリースするもののヒットに恵まれず、そのまま消えてしまわれましたけど(現在も地元で音楽活動をなさっているのでしょうか?)、今でもファンは多いらしく、ユーチューブには彼女の曲が何曲かアップされております。聴いてみると意外にも素晴らしい歌唱力に驚かされます。
 皆さんもぜひ一度ユーチューブで聴いてみてくださいね。浦部さんの低音ボイスに癒されますよ。

懐かしいポップ・ミュージック

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 Wカップサッカー・ブラジル大会。日本はコロンビアに、それもチームの2軍に完敗し、グループリーグを敗退しちゃいましたね。
 今回このような結果になった原因は、素人ながらに私が思うところでは、前回の南アフリカ大会のメンバーをそのままメインに据えたことです。すなわちチームが若返っていないのです。
 南アフリカ大会の時は、それまで日本のエースだった中村俊輔選手がすっかりロートル扱いされておりましたけど、今回はそんなロートルばかりの寄せ集めだった感じがします。いつまでも本田や長友や遠藤の時代ではないのです。いま伸び盛りの、可能性に満ちた、これからという若手を使わなければ、奇跡なんか起きません。
 次回大会は、ぜひフレッシュなチームで戦っていただきたいものです。
 
 さて、前回は懐かしいフォークソングについて語らせていただきました。1970年代前半の日本の音楽シーンはフォークソングが全盛でしたけど、ポップ・ミュージックも、あたかも恐竜が支配していた時代の哺乳類のように細々と生息し、繁栄のチャンスをじっと覗っていました。
 
 
 そんな時代のポップ・ミュージックの代表曲といえば、ザ・フォーク・クルセダーズのメンバーだった加藤和彦さんが、奥さんのミカさんと共に作った、サディスティック・ミカ・バンドの「タイムマシンにお願い」(作詞・松山猛、作曲・加藤和彦)でしょうね。
 
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   さあ 不思議な夢と遠い昔が好きなら
   さあ そのスイッチを遠い昔に廻せば
   ジュラ紀の世界が広がり 遥かな化石の時代よ
   アンモナイトはお昼寝 ティラノザウルスお散歩 アハハン
 
 フォークソングの歌詞には、人生や恋愛や青春の意義を大真面目に論じた文学的なものが多かったのですけど、ポップ・ミュージックの人たちは
「暗えんだよ、おめえたちは。そんな事をネチネチ考えていてもしょうがねえじゃねえか。それよりもパーッと明るくいこうぜ!」
 てな感じで、論理よりも感性を優先した、ノリのいい歌詞を重視しておりました。
 
 「タイムマシンにお願い」にはその後、桐島かれんさんや木村カエラさんが歌ったバージョンも生まれましたけど、やはり最初の作品が一番いいですね。ミカさんの素人少女のような下手クソな歌声が逆にいつまでも新鮮で・・・
 
 
 ただ、サディスティック・ミカ・バンドは、普通の中学生だった当時の私には高級すぎたのか、あまり親しみが無く、私ら低レベルの一般的なガキどもは、むしろフィンガー5あたりに熱狂しておりました。
 
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 リンリンリリン、リンリンリリンリン♪
 で始まる日本のジャクソン5(かのマイケル・ジャクソンの家族で結成されたグループですよ)と呼ばれたフィンガー5が歌う「恋のダイヤル6700」(作詞・阿久悠、作曲・井上忠夫)。
 当時、私はこのレコードを買い、そのポップなサウンドにシビれておりました(笑)。
 
 
 また、宇崎竜童さん率いるダウン・タウン・ブギウギ・バンドにもシビれましたねぇ。
 白いつなぎファッションと宇崎さんの奥さんである阿木燿子さんの初作詞作品「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」(作曲・宇崎竜童)の
「アンタ、あの娘(こ)の何なのさ?」
 というセリフが一世を風靡しました。
 
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 ダウン・タウン・ブギウギ・バンドに対しては、「スモーキン・ブギ」がサディスティック・ミカ・バンドの「サイクリング・ブギ」のパクリだと批判されたり、また1990年頃に放送していたテレビ番組「三宅裕司のいかすバンド天国」に自分たちのオリジナル曲のメロディーが「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」にパクられたと主張するバンドが登場したりということがありましたけど、その後の宇崎さんの活躍を見れば彼の音楽の才能が本物であることは明らかです。
 私は「身も心も」や、夏八木勲さん主演の角川映画「白昼の死角」(1979)のテーマソング「欲望の街」(作詞・阿木燿子、作曲・宇崎竜童)が大好きです。
 
   愛しい人よ もういちど振り向き
   もう一度この胸で泣きなよ
   せめて夜が来る前は
   おまえの涙を信じよう
   都会は明日が見えない
   ああ ああああああ 欲望の街
 
 
 ロック系では、もちろん矢沢永吉さん率いるキャロルも大人気でした。「ルイジアンナ」とか「ファンキー・モンキー・ベイビー」は衝撃的でしたね、そのサウンドや歌詞の新しさで。
 最近、メンバーの一人だったジョニー大倉さんが大病を患い苦しんでいらっしゃるとか。ご快復なさるのを心より願っております。
 
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 ソロになった後の矢沢さんの代表曲「時間よ止まれ」は、私のカラオケの十八番であります♪
 矢沢さんの曲では、他には「ミスティ」(作詞・ちあき哲也、作曲・矢沢永吉)が大好きです。
 
   You broke my heart baby 悪いひとさ
   You made me cry baby 誘い出して
   傷つくまで からかうのか yeah
 
 去年、テレビ番組「とんねるずのみなさんのおかげでした」の中の「食わず嫌い王決定戦」というコーナーに矢沢さんが出演なさっていらっしゃいましたけど、いつまでもカッコいいですね、永ちゃんは。
 別格の存在ですね。
 
 
 私のカラオケの十八番といえば、甲斐バンドの「安奈」や「ちんぴら」もそうです。
 甲斐バンドは、もともとフォーク系のバンドでしたが、「ヒーロー」(作詞作曲・甲斐よしひろ)の大ヒットにより一躍ポップス界の寵児となりました。
 
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   生きるってことは一夜限りのワンナイトショー
   矢のように走る時の狭間で踊ることさ
   今夜おまえはヒロインもう泣かさないよ
   この魂のすべてでおまえを愛してるさ
 
 元々がフォーク出身なので、甲斐さんの書く詞は人生を語っていますよね(笑)。
 あ、それから、甲斐よしひろさんと作家の村上龍さんは似ているな、と私はずーっと思っております。似ていると思いません? お二人とも九州のご出身だし。
 文学といえば甲斐さんはハードボイルド小説の愛好者としても有名です。
 
 
 同じ時期、バンドではゴダイゴも大人気でした。
 堺正章さん主演のドラマ「西遊記」のテーマソング「モンキー・マジック」と「ガンダーラ」の大ヒットでメジャーになったゴダイゴは、ボーカルのタケカワユキヒデさんが東京外国語大学卒業(在学中だったのか?)であり、しかもメンバーに外人がいたものですから、とてもハイカラで洗練された、優等生が作った上品なバンドというイメージでした。
 そんなゴダイゴの「銀河鉄道999」(作詞・奈良橋陽子・山川啓介、作曲・タケカワユキヒデ)が、私は大好きです。松本零士先生の原作およびアニメ作品はイマイチでしたけど・・・
 この曲はEXILEのカバーでも有名ですね。
 
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   さあ ゆくんだ その顔をあげて
   新しい風に心を洗おう
   古い夢は置いて行くがいい
   再び始まるドラマのために
 
 
 当時、ポップス界では他に、世良公則&ツイスト、原田真二さん、佐野元春さん、チャー(char)、桑名正博さん等が活躍していらっしゃいました。
 残念ながら桑名正博さんは2012年にお亡くなりになりましたけど、彼の奥さんだったアン・ルイスさんもこの時期のポップス界を代表するスターです。
 
 アン・ルイスさんは「グッドバイ・マイ・ラブ」の頃は可愛いアイドルだったのに、次第にアーティスト化・ロック化し、それと共に化粧がケバくなってゆき、1980年代に入ると「ラ・セゾン」(何と作詞が山口百恵さんで、作曲が沢田研二さん!)や「六本木心中」、「あゝ無常」で、ギンギンのロックスターに変貌いたします。ま、言ってみれば、現在の土屋アンナさんみたいなイメージですね。
 
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 私はケバくなったアンさんよりもアイドル時代のアンさんの方が好きなのですけど、彼女の曲でいちばん好きなのは、ちょうどアイドル時代とロックスター時代の中間にあった時期に発表した「恋のブギ・ウギ・トレイン」(作詞・吉田美奈子、作曲・山下達郎)です。
 
   さあ お乗り 恋の旅 
   連れてゆく ブギ・ウギ・トレイン
   リズムを取れば 気持ちはひとつ
   誰でも踊れる
   今夜の恋はブギウギ
 
 この曲は山下達郎さんが歌うバージョンも素晴らしいです。
 
 
 女性アーティストでは、「SOMEDAY」の白井貴子さんや「う、ふ、ふ、ふ」のEPO、「My Revolution」の渡辺美里さん、「ウェディング・ベル」のシュガーも活躍していましたね、この時期。
 また、アン・ルイスさんの親友で(山下達郎つながりか?)、彼女をイメージした曲「リンダ」を作詞作曲してプレゼントした竹内まりやさんも、この時期に登場いたします。
 後にシンガーソングライターとして活躍する竹内さんですが、デビュー当初はアイドル的な扱いをされていて、資生堂化粧品のCMソング「不思議なピーチパイ」(作詞・安井かずみ、作曲・加藤和彦)を歌っておりました。
 
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   恋は初めてじゃないけれども
   恋はそのたび違うわたしを見せてくれる
   不思議な 不思議な ピーチパイ
 
 このピーチパイというのは、一体どういう意味なんでしょうね? 未だに私には分からないのですけど。
 
 ピーチパイのCMでイメージガールを務めていたのはマリアン(当時はメアリー岩本)さん。この当時は妖精のように可愛い女の子でした、あくまでも当時はね(苦笑)。
 
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 化粧品メーカーのCMソングなら、一風堂(ラーメン屋さんじゃありませんよ、念の為)の「すみれSeptember Love」(作詞・竜真知子、作曲・土屋昌巳)も忘れられません。
 
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   それは9月だった
   怪しい季節だった
   夕闇をドレスに変えて
   君が踊れば都会も踊る
 
 この曲を採用したカネボウ化粧品のイメージガールは、映画「プリティ・ベビー」(1978)の記事でご紹介したブルック・シールズ。彼女も当時は天使のように可愛かったです、これまたあくまでも当時はですけど・・・
 
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 また、この曲は後にSHAZNAがカバーしましたね。どうでもいい情報ですけどね。
 
 
 1970年代も後半になるとフォークソングは廃れてゆき、次第にロックやポップスが優勢になっていくのですが、そのころ突如日本にシンセサイザーとコンピューターを駆使したテクノポップなる音楽が出現いたします。
 仕掛けたのは細野晴臣さん、高橋幸宏さん、坂本龍一さんによるユニット、イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)。
 これにより時代の趨勢は完全にポップ・ミュージックに変わりました。
 
 YMOの「テクノポリス」や「ライディーン」を聴いた時には衝撃を受けましたね、新しい時代の到来を感じて。
 「30年前の現代思想」という記事に書きました通り、1980年代前半はポスト構造主義というか現代思想の新しい潮流が一大ブームとなったのですが、テクノポップはそんな時代にもマッチしていました。おしゃれな男どもは、大きめのサングラスをかけ、肩幅の広いDCブランドのスーツを着て、テクノカットという中途半端な髪型にしていましたね、吉川晃司さんみたいに(笑)。
 
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 ちなみに、YMOの出現から東京(トウキョウ)がTOKIO(トキオ)と呼ばれるようになったのですけど、さっそく沢田研二さんが流行に乗っかる形で「TOKIO」(作詞・糸井重里、作曲・加瀬邦彦)という曲を発表いたしましたね。パラシュートを背負った衣装がステキでした。この衣装が後にタケちゃんマンを生んだのでしょうか?
 
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 作詞を担当した糸井重里さんのコピーライターという職業が注目を浴び始めたのもこの時期です。糸井さんが作詞したこの曲の詞が、私は好きです。カッコいい詞ですよね。糸井さんはすぐに坂本龍一さんら新しい時代に担い手たちの仲間になります。
 
   霧に煙った不思議の街に怪しい胸騒ぎ
   安らぎ知らない遊園地が
   スイッチひとつで真っ赤に燃え上がる
   TOKIO 優しい女が眠る街
   TOKIO TOKIOが空を飛ぶ
 
 
 また、1980年代前半の空気にマッチするような形でメジャーになったのが、忌野清志郎さん率いるRCサクセションです。
 RCサクセションの結成は1970年ですから相当古いバンドで、たしか私が高校生くらいの頃までは素朴なタッチのフォークソングを歌っていたはずなのに、なぜか1980年代に入るとポップで洗練されたサウンドに変わったんですよね。
 「雨あがりの夜空に」(作詞・忌野清志郎、作曲・仲井戸麗市)の思わせぶりな歌詞が好きです。
 
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   こんな夜におまえに乗れないなんて
   こんな夜に発車できないなんて
 
 また、「ロックン・ロール・ショー」(作詞作曲・RCサクセション)という曲もいいですよね。自分たちをパロディ化していて。
 
   ほら もう一丁 これはロックン・ロール・ショー
   さあ もう一丁 俺たちロックン・ロール・バンド
   今夜は儲けて帰るぜ
   女に不自由はしないぜ
   だってさ
   これはロックン・ロール・ショー
 
 
 そして、共に時代の最先端を行くミュージシャンとなったRCサクセションの忌野清志郎さんとYMOの坂本龍一さんが、遂にコラボして曲を発表することになりました。
 それが資生堂化粧品のCMソングに使われた「いけないルージュマジック」(作詞作曲・忌野清志郎&坂本龍一)です。
 
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   ひとの目を気にして生きるなんてくだらない事さ
   僕は道端で泣いてる子供
   ベイビー オー ベイビー いけないルージュマジック
   ベイビー オー ベイビー いけないルージュマジック
 
 いま聴いても少しも色褪せていない名曲です。清志郎さんの早世が誠に残念です。
 
 
 最後は(やっと辿り着きましたけど。ハヒー)、前回同様に皆さんが誰もご存知ないであろうロック歌手をご紹介いたします。
 東寿明さんです。
 ね、知りませんでしょう? こんな人。
 
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 東寿明さんは北海道北見市のご出身で(確か実家は布団屋さん?)、私の出身高校の後輩なのです(噂では他の高校に落ちたものの、たまたま私の高校が定員割れしていたので、補欠で潜り込んだとか。運のいい奴ちゃ!)。
 高校3年生の文化祭で、1年生だった東さんが体育館の檀上に立ち、エレキギターを演奏した時のことを、私は忘れません。もともと東さんはギターの上手さで注目されたのですが、その言葉通り見えないくらい速い指の動きにビックリいたしました。
 その後、東さんは「バニシング・ポイント」という曲でデビューしたのですけど、すぐに消えてしまいましたね。今は実家に戻って家業を継いでいらっしゃるのでしょうか? それとも得意のギターの腕前でスタジオミュージシャンか何かをなさっているのでしょうか?
 いずれにせよ、東さん、文化祭のステージは最高にカッコ良かったですよ。また、いつか、どこかで、あなたのギターが聴きたいです。

天井桟敷の人々

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 今日から7月。後半戦のキックオフです。がんばっていきましょう。
 
 特にコメントしたいニュースもありませんので、とっとと本題に入りますね。そうじゃなくても最近わたしのブログは長文化の傾向が甚だしく、読む方もたいへんでしょうけど、書いている私もしんどくてたまりませんので(汗)、なるべく短いブログを心掛けたいと思います。あはは。
 
 さて、このところ映画に関しましては、ヴィスコンティアントニオーニパゾリーニコクトー、と《高級な》な話題が続いておりますけど、今回もそうでして、いよいよ《芸術映画の王様》と呼んでも過言ではないマルセル・カルネ監督の不朽の名作「天井桟敷の人々」(1945)をご紹介いたします。
 
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 この作品に関しましては、一度チャップリンの記事で引用させていただいた映画評論家・佐藤忠男氏の「世界映画100選」(秋田書店刊)を参考にして解説させていただきますね。ちなみにこの本は私が映画少年だった中学生の時に買ったものです。
 
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 第二次世界大戦時、フランスはドイツに占領され、そのためフランス映画界の多くの人が外国へ亡命いたしましたが、中には母国フランスに留まって映画を作り続けた人がおりました。
 その一人がマルセル・カルネ監督です。
 カルネ監督がドイツ占領下にあった1942年に撮った作品が「悪魔が夜来る」です。
 
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 15世紀、ユーグ男爵の城ではアンヌ姫と騎士ルノオの結婚式が盛大におこなわれていた。そこへ現れたのはジルとドミニクという吟遊詩人の兄弟。
 
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 実は二人の正体は悪魔の手下であり、それぞれアンヌ姫とルノオを誘惑して、二人を破滅させる使命を帯びてやって来たのだった。
 ところが、ジルが本気でアンヌ姫に惚れちゃったから、さあ大変。ボスである悪魔は怒って二人を石像に変えてしまうものの、それでも愛する二人の心臓は鼓動し続けるのであった・・・
 
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「悪魔の命令でも人間の情熱を抑えることはできない、というこのテーマが、ドイツ軍占領下のフランス人のレジスタンス精神を鼓舞するものであることは言うまでもない」(佐藤忠男)
 
 アンヌ姫を演じるのは、マリー・デア。彼女はコクトーの映画「オルフェ」(1949)で、主人公オルフェの妻を演じました。
 コクトーは「オルフェ」で「天井桟敷の人々」のマリア・カザレスも使っているし、余程カルネ作品がお気に入りだったのでしょうね。この「悪魔が夜来る」なんかは、いかにもコクトー好みの題材ですものね。
 
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 また、アンヌ姫と恋に落ちるジルを演じたのは、アラン・キュニー。彼は後に映画「エマニエル夫人」(1974)でエマニエルに性の極意を伝授する怪しいジジイを演じることになります。
 
 で、この「悪魔が夜来る」に引き続き、ドイツ占領下のフランスで、脚本を担当した詩人ジャック・プレヴェールとマルセル・カルネ監督の名コンビが作り上げた上映時間3時間半の大作映画が、今回取り上げる「天井桟敷の人々」なのです。
 
 パントマイム役者のバチストは、自分を慕う座長の娘ナタリーと結婚し子供まで生まれたのに、色っぽい年増の女優ガランスが忘れられない。
 ガランスの周りには、同じように彼女に恋するシェイクスピア俳優のルメートルや泥棒詩人のラスネールなどがいる。
 ついに結ばれるバチストとガランス。しかし、ガランスはナタリーのことを気遣い、姿を消す。必死にガランスを追うバチスト。しかし、通りを埋め尽くした群衆に遮られ、二人は永遠に離ればなれとなるのであった・・・
 
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「厳しい検問下で今日的なテーマは扱えないから、十九世紀ルイ・フィリップ治下のパリの歓楽街を題材にとって、役者や放蕩無頼の作家、純情娘や大姐御たちの織りなす一大風俗絵巻をくりひろげる。名優ぞろいで心ゆくまで大芝居をたのしませ、軍事的には敗北しても文化は決して滅びない、と声を大にして叫んでいるかのようである」(佐藤忠男)
 
 本作の魅力の大きな部分を占めているのが、プレヴェールの脚本です。セリフのひとつひとつが決まっていて、これはもう文学ですね。「天井桟敷の人々」は文学作品であるとも言えるでしょう。
 山田宏一氏の翻訳による本作の魅力的なセリフをいくつか引用してみますね。
 
「誰も愛さない・・・絶対の孤独! 誰からも愛されない・・・絶対の自由!」
 
「恋なんて簡単よ」
 
「哲学者は死を想い、美しい女は恋を想う」
 
「女は誰のものでもない以上、嫉妬はすべて男のものだ」
 
「好いた同士にはパリは狭いわ」
 
「そんなにお金持ちでいて、貧乏人なみに愛されたいなどと・・・貧しい人たちから何もかも奪りあげてはいけないわ」
 
「あぶない、気をつけることだ! ふりかえると、過去は狂犬のように噛みつく」
 
 バチストを演じるのは、ジャン・ルイ・バロー。舞台演出家でもある彼のパントマイムはホントお見事です。何でも有名なパントマイム役者マルセル・マルソーと同じ先生からパントマイムを学んだとか。「ザ・ベストテン」の頃の久米宏さんみたいな優男ぶりも素敵でした。
 
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 そのバチストを愛し、彼の妻となる純情娘を演じたのが、マリア・カザレス。コクトーの「オルフェ」でオルフェに恋する死神を演じた人です。「オルフェ」では大姐御の役でしたけど、こちらでは可愛い女の子を見事に演じていました。
 
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 シェイクスピア役者ルメートルを演じたのは、ピエール・ブラッスール。彼は当ブログの記事「ユーチューブで観た映画」でご紹介した「顔のない眼」(1959)に出演していました。
 
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 泥棒詩人ラスネールを演じたのは、マルセル・エラン。「悪魔が夜来る」の騎士ルノオ役に続くカルネ作品への登場です。ニヒルで貫録があってカッコいい人ですよね。
 
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 彼を見るたびに名作テレビドラマ「雑居時代」の時の石立鉄男さんを思いだすのは私だけでしょうか? このドラマでは大原麗子さんが最高に美しかったですよね。
 
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 そして、バチストが想いを寄せる憧れの女性ガランスを演じたのが、アルレッティです。フランスのディートリッヒという感じの色っぽいお姉さまですね。カルネ作品では「北ホテル」(1938)、「悪魔が夜来る」のドミニク役に続いての登場です。
 
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 アルレッティで特筆すべき事として、彼女は私が最も愛する作家セリーヌと共にレコードを吹き込んでいるんですよね、シャンソンか何かを、俳優のミシェル・シモンと3人で。その時の様子を写した写真が何枚か残っています。
 
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 セリーヌとアルレッティは仲良しだったようです。
 
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 仲睦まじい二人。
 
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 ミシェル・シモンは、山中貞雄監督の記事でご紹介したジャン・ヴィゴ監督の映画「アタラント号」(1934)などに出演した名優です。
 
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 もう一枚。
 
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 ・・・えー、話を「天井桟敷の人々」に戻しますね。
 
 最後はやはりこの作品に関する佐藤忠男氏の言葉で締めたいと思います。
 
「まことに大芝居であり、歓楽つきて哀愁を知る、これはこれ、文化の爛熟のきわみに咲いたフランス歌舞伎は世話物の世界」 

時代劇が大好き

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 またまた困った人が現れましたね。兵庫県の野々村竜太郎県議。ふなっしー並みのハイテンションな号泣会見で地方の一議員が世界中に衝撃を与えました。
 それにしても今年は、佐村河内さん、小保方さん、そしてこの野々村さんと、日本は強烈キャラ祭りですね。
 
 安倍内閣が集団的自衛権の行使容認を閣議決定いたしました。
 別に閣議決定しても、それだけでは政府も自衛隊も何も出来ないのに、さっそく「日本は軍国主義に逆戻りする」だの「平和が侵される」だのと言って反対運動を始める人がおりますけど(何と焼身自殺を図った奴までいる)、これから中国や北朝鮮がどう出てくるか分かりませんよ。いざ侵略されてから対応策を考えても、もはや遅いのですからね。
 日本を防衛し、国民の生命・財産を守るためには、自衛隊が有効に機能するようにしておかなければなりませんし、アメリカを初めとする西側諸国と歩調を合わせて行動できるようにしておかなければなりません。
 本来は憲法を改正して自衛隊を国軍に昇格させる必要があるのですけど、すぐにそれは無理ですので、今回はまず手始めに憲法解釈の見直しをおこなったというわけです。最終目標は憲法改正です。早く日本を真の独立国家に変えなければなりません。そうしないと、竹島を韓国に奪われたように、日本は次々と領土を失ってゆくでしょう。中国とか朝鮮とかロシアとか、日本の周辺にはロクなのがおりませんからね。
 
 さて、以前、勝新太郎さんの座頭市の記事に書きました通り、私は時代劇が大好きです。時代劇なら、NHK大河ドラマのような重厚な歴史ドラマでも、必殺シリーズのような単純明快な活劇でも、みんな好きです。昔はテレビで時代劇をたくさん放送していたのに、最近はほとんど見かけなくなってしまいました。寂しい限りです。時代劇は面白いんですけどねぇ・・・
 
 そこで今回は、私の大好きな昔懐かしい時代劇を、いくつかご紹介したいと思います。まずは座頭市の記事の復習になりますけど、「素浪人花山大吉」から。
 
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 「素浪人月影兵庫」に続き近衛十四郎さんと焼津の半次役の品川隆二さんの名コンビによる傑作時代劇です。子供のころ毎週楽しみにしておりました。
 最近、こちら群馬テレビで「花山大吉」を再放送しておりましたので喜んで観ていましたら、途中で打ち切られてしまいました。群馬テレビは、せっかく放送していた「探偵ナイトスクープ」や「たかじん夢いっぱい」の放送も途中で止めたし、何を考えているんだ、この間抜けめが!
 
 遠山の金さんは色んな人が演じていますが、私的には中村梅之助さんしかおりません。梅之助さんの金さん、最高でした。梅之助さんは後に、歴代NHK大河ドラマの中で私が最も愛する作品「花神」で、主人公の大村益次郎を演じます。
 
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 子供番組では「仮面の忍者赤影」が忘れませんね。時代劇というよりSFのような内容でしたけど、当ブログの記事「大好きなアニメソングその1」でご紹介した「花のピュンピュン丸」同様、そのあまりにもぶっ飛んだ内容を愛しております。
 
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 伊吹吾郎さん主演の「無用ノ介」(原作者は「ゴルゴ13」のさいとう・たかを氏)というドラマも子供の頃よく観ていました。無用ノ介の赤鞘が妙にカッコ良かったです。
 
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 中村敦夫さん主演の「木枯らし紋次郎」は衝撃的でしたね。時代劇のアメリカン・ニューシネマといった新しさを感じました。
「あっしには関わりのねえことでござんす」
 というセリフにシビれましたし、リアリティを重視した殺陣に目を奪われましたし、上條恒彦さんが歌った主題歌「だれかが風の中で」(作詞・和田夏十、作曲・小室等)も良かった。永遠の名作ですね、これは。
 
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 高橋英樹さんといえば言わずと知れた時代劇の大スターで、数々のNHK大河ドラマや「桃太郎侍」、「三匹が斬る!」などの代表作がありますけど、私が最も愛する作品は「ぶらり信兵衛 道場やぶり」です。
 
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 高橋さん演じる長屋に住む子持ちの男やもめ信兵衛さんは、本当は剣の達人ながら、普段は飄々として長屋の連中とその日暮らしを楽しんでいる御仁。しかし、何かトラブルが発生して、どうしてもお金が必要になると、得意の剣の腕で道場破りをしてお金を稼いでくる、という内容でした。
 このドラマの主題歌(作詞・不詳、作曲・渡辺岳夫)を、私は今でも時おり口ずさみます。
 
   信兵衛さんの長屋は十六間
   鶴と二人でぶーらぶら
 
 信兵衛さんに密かに恋心を寄せる町娘役で武原英子さんが出演していらっしゃいました。にしきのあきらさんの奥さんだった武原さんは、残念ながら乳がんで早世してしまわれましたけど、清楚で上品なとても素敵な女性でした。
 
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 また、色っぽい芸者役で浜木綿子さんが出演していらっしゃいましたね。ちなみに、これで「はまゆうこ」と読みますからね。「はまきめんこ」ではありませんよ、念のため。俳優の香川照之さんのお母さんです。
 
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 上の写真は萬屋錦之介さん主演のテレビ版「子連れ狼」で、浜さんが木颪の酉蔵(きおろしのとりぞう)というヤクザの女親分を演じた時のものですけど(ちなみに浜さんは若山富三郎さん主演の映画版「子連れ狼 死に風に向かう乳母車」(1972)でも同じ役を演じています)、色気ムンムンですね、この頃の浜さんは。
 浜さん演じる酉蔵が拝一刀にする拷問の名前が「ぷりぷり」ですって(映画版では少し違ってぶりぶり)。可愛くて何か可笑し。
 
 私が子供の頃、ボンカレーのCMでお馴染みだったのが、松山容子さんです。彼女は時代劇の女性スターでした。その松山さん主演の女股旅ものが「旅がらす くれないお仙」です。
 本作は、松山さんもいいのですけど、どちらかと言えば松山さん演じるお仙と一緒に旅をする大信田礼子さんの若いピチピチした魅力に目を奪われた作品でしたね。
 
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 大信田礼子さんはその後、東映の「ずべ公番長シリーズ」などで大活躍します。
 
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 セクシーで素敵だったなぁ、若い頃の大信田礼子さんは。
 
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 で、この「旅がらす くれないお仙」や同じく松山さん主演の「めくらのお市」の原作者が松山容子さんの夫である棚下照生氏。その棚下さん原作で、珍しく松山さん主演じゃないドラマが、「女殺し屋 花笠お竜」です。このドラマが私は大好きでした。
 
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 久保菜穂子さん演じる女渡世人お竜は赤い三味線を持っていて、その三味線が仕込み刀になっている。それで敵と戦う前に三味線の弦を1本1本バチで切ってゆき(その度にビン!と音がする)
「三度鳴ったら斬るよ!」
 と言って3本目の弦を切り、目にも止まらぬ早業で刀を抜くや、座頭市のように敵を斬るのがお約束でした。
 
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 このドラマで「旅がらす くれないお仙」の大信田礼子さんに相当する役を演じていたのが、カルーセル麻紀さんです。日本のニューハーフの元祖みたいな人ですね。当時はとてもお美しかったです。
 
 大好きなドラマだったのですけど、主演の久保菜穂子さんにイマイチ色気が足りなかったせいか、もうひとつ人気が出ず、その後ソフト化もされていないのではないでしょうか? でも、好きでした、花笠お竜。
 
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 新選組を題材にしたドラマは数多いですけど、その中で私がいちばん好きだったのが、1977年にTBSが放送した「新選組始末記」。平幹二朗さんが近藤勇を、古谷一行さんが土方歳三を、草刈正雄さんが沖田総司を演じました。草刈さんは、この時期、映画でも沖田総司を演じていましたね。
 
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 この年のNHK大河ドラマは「花神」でしたので、NHKが明治維新を薩長側から描くのなら、おれたちは幕府側からだという民放の対抗意識が感じられたドラマでした。
 
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 池田屋事件の回には興奮したのですけど、いま改めて観るとなぜか昼間の設定なんですよね。池田屋の変は祇園祭の夜に決まってるだろうが。変なの。あはは。
 
 さて、少しは新しめのドラマも。それでも1990年代の作品ですけど(私にはこれでも新しい)。
 
 まずは杉良太郎さん主演の「喧嘩屋右近」。
 杉さんはたくさんの時代劇に出演なさっていますけど、これが私はいちばん好きです。萬田久子さん演じる女房との掛け合いが楽しくて。
 
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 本作にはニューハーフの矢木沢まりさんが出演していました(「女殺し屋 花笠お竜」にはカルーセル麻紀さんが出ていましたし、時代劇とオカマは相性がいいのでしょうか?)。
 矢木沢まりと言っても今の人はご存知ないでしょうけど、当時は美人ニューハーフとして、現在のはるな愛さんみたいに、テレビや映画で大活躍だったんですよ。でも、いつしか消えてしまいましたね。今どうしているんでしょうか? ただのオヤジと化しているのでしょうか?
 
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 美人ニューハーフといえば、映画「蔵の中」(1981)に出演した松原留美子さんという方もいらっしゃいましたけど、この方も見かけませんね。やはりすっかりオヤジ化していらっしゃるのでしょうか?
 
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 松平健さん主演の大人気時代劇「暴れん坊将軍」がインターバル休憩の間、様々な時代劇の別番組が放送されていましたが、その中で三田村邦彦さんと西岡徳馬さんのW主演による「殿さま風来坊隠れ旅」という作品が、私は好きでした。あまり語られる事はありませんけど。
 
 これは、次期将軍候補である紀州大納言・徳川治貞(演じるのは三田村さん)と尾張大納言・徳川宗睦(演じるのは西岡さん)が共に窮屈な殿さま稼業を嫌がり、それぞれ城を抜け出して浪人と商人に化け、自由気ままな旅の道中で出会った悪人どもを退治するというお話でした。
 
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 悪人を退治する段になると、それまでの浪人・商人姿から三つ葉葵の家紋が入った大名服姿に変身し(髪型も変わる)、各々「紀州大納言・徳川治貞」、「尾張大納言・徳川宗睦」と名乗るのですが、それがあまりにもありえなくって、笑っちゃうほど奇想天外で、バカバカしいほど大胆でしたので、私は大好きでした。
 
 それから、このドラマには近ごろ再ブレイクした岡本夏生さんが出ていらっしゃいましたね。
 
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 最後は2000年以降に放送された時代劇で「逃亡者(のがれもの)おりん」。
 青山倫子さんがセクシーで好きでした。
 
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 他にも「水戸黄門」や「大江戸捜査網」や「大岡越前」や「銭形平次」や・・・時代劇はどれも面白いです。また復活していただきたいものです、時代劇に。

ルイス・ブニュエル

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 50年に1度という前触れの台風8号は、確かに一部地域に甚大な被害をもたらしましたけど、こちら関東へやって来た頃にはほとんど消えておりました。
 ちょっと拍子抜けです。
 もちろん被害が少くて良かったに違いないのですけど・・・
 
 Wカップサッカー。ブラジルがドイツにボロ負けしたのにはビックリしましたね。サッカー王国ブラジルが、負けるにしても、7点も取られて負けるなんて・・・ちょっと考えられない事態です。
 確か南米で開催されたWカップでヨーロッパ勢が優勝した例は無いんですよね。
 でも、今回は、そのジンクスを破ってドイツが優勝でしょうか?・・・
 
 さて、このところ映画の話題では芸術性・作家性の高い作品をご紹介しておりますけど、今回もその流れでいかせていただきます。
 ルイス・ブニュエル監督の映画です。
 この監督の作品も、私は大好きなんですよ。
 
 スペイン生まれのルイス・ブニュエルは、学生時代に詩人ロルカや画家のサルバドール・ダリと親交を結び、その後シュールレアリスム運動に参加します。
 そして、親友ダリと二人で作った映画が「アンダルシアの犬」(1928)です。冒頭のカミソリで女性の眼球を切るショッキングなシーン(もちろん本当に切っているわけではありませんよ)が有名なサイレント映画の名作です。
 
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 ところで、話は少しそれますけど、ダリの絵というのも最初見たとき(たぶん小学生の時)は衝撃でしたね。「何じゃこりゃ?」って感じで。
 「内乱の予感」というタイトルの絵は、特に強烈な印象を私に残しました。
 
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 すごい絵ですよね。素晴らしいイマジネーション力と画力です。雲のかかった青空が効いてますね。
 
 また、馬や象の足がひょろひょろーっと長く伸びた蜃気楼のような絵も大好きです。
 
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 皆さんも図書館あたりでダリの画集を探して、解説まで全部読んでくださいね。よろしくです♪
 
 ブニュエルはダリとのコンビでもう一本「黄金時代」(1930)を撮った後、色々あってスペインにいずらくなり、メキシコへ渡って、そこで何本も映画を撮ります。
 メキシコ時代の作品「忘れられた人々」(1950)が世界的に評価されたことにより、ブニュエルは次にフランスで映画を撮ります。
 そして、私なんぞは、このフランス時代以降のブニュエル作品を、特に愛しているのであります。
 
 まずは、ジャンヌ・モロー主演の「小間使いの日記」(1963)。
 
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 昔いちど観たきりなので細かい部分は忘れてしまいましたけど、上流階級の虚妄を暴くというブニュエルお得意の内容で、清潔感溢れる白黒の画面がとても美しく、突然石が投げ込まれたり、戸棚を開けると意外にも女性用のブーツが並んでいたりと、ブニュエルらしいシュールな感性が光る佳作でした。
 
 続いてブニュエルは、映画「フレンチ・コネクション」(1971)の記事でご紹介した通り、カトリーヌ・ドヌーヴ主演で「昼顔」(1967)と「哀しみのトリスターナ」(1970)を撮ります。
 
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 ドヌーヴはたくさんの映画に出演しておりますけど、ブニュエルほど彼女を美しく妖艶に撮った映画監督は他におりません。
 
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 まさに魔性の貴婦人という風情ですよね、ドヌーヴは。たまりませんです。じゅる(よだれの音)。
 
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 シュールレアリストであるブニュエルの真骨頂は、既存の価値観や常識をひっくり返し、ものごとを相対化するところにあります。通常その作業はユーモアを伴い、そしてしばしばそれは悪趣味で低俗なブラックユーモアに陥りがちです。ところが、ブニュエルの場合、彼一流の優れた感性によって、ブラックユーモアが下品にならずに済んでいます。
 しかも、普通の映画監督は晩年になるにつれ作品の質が落ちていくものなのに対し、ブニュエルは逆にどんどん良くなっていく。そこが素晴らしいところです。
 
 それではブニュエルが、とても爺さんとは思えない若々しいキレキレの感性で作った晩年の3作品を、ご紹介いたしますね。
 
 
 1本目は「ブルジョアジーの秘かな愉しみ」(1972)です。
 
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 皆で集まって食事をしようとするブルジョワの一行。ところが、なぜかいつも邪魔が入って食事が出来ない・・・というだけのわけの分からないお話です、これは。
 でも、ブニュエルの映画はストーリーなんかどうでもいいんです。これは彼の鋭い感性を味わう作品なのですから。
 レストランのテーブルについたら、なぜかそこがお芝居の舞台になっていたり・・・と、そのシュールな感性がたまりません。
 
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 主演は映画「フレンチ・コネクション」でポパイ刑事の宿敵シャルニエを演じたフェルナンド・レイ。彼はブニュエル作品の常連です。
 また、本作には「去年マリエンバートで」(1960)や「ジャッカルの日」(1973)に出演したデルフィーヌ・セイリグが出演しています。
 好きだわぁ、デルフィーヌ。上品で美しい女性ですよね。
 
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 次に「自由の幻想」(1974)。
 
 これも「ブルジョアジーの秘かな愉しみ」同様、特にストーリーらしいものも無く、シュールなブラックユーモアが続く作品です。しかし、堪能させてくれます。
 
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 私はブニュエル作品の中で本作がいちばん好きです。
 
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 本作には「赤い砂漠」(1964)のモニカ・ヴィッティが出演しています。随分と肉付きが良くなってグラマーになりましたけど、相変わらずセクシーです。
 
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 また、「ジャッカルの日」や「007 ムーンレイカー」(1979)に出演したマイケル・ロンズデールも出演しています。ロンズデールがSMの女王に裸のお尻を鞭でペンペンされますよ(笑)。
 
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 それから、本作では警察署長を演じ、また「ブルジョアジーの秘かな愉しみ」では牧師に扮したジュリアン・ベルトーという俳優さんが、私は特に気に入っています。いい味を出しているんですよ、このおじさんが。
 
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 最後は「欲望のあいまいな対象」(1977)です。
 
 これは、あるお金持ちの老人(演じるのはフェルナンド・レイ)が、年甲斐も無く恋をしたコンチータという若い娘に翻弄されるお話です。
 
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 ブニュエルはコンチータをキャロル・ブーケとアンヘラ・モリーナの2人1役で制作しました。この試みが成功しているかどうかは微妙ですけど、新しい事にチャレンジする実験精神は大いに評価したいですね。
 
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 そういえば、昔、松本コンチータという人気AV女優さんがいらっしゃいましたけど、彼女は今どうしているのでしょうか?
 
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 楽しくて、遊び心いっぱいで、観ているこちらの感性とイマジネーションを刺激するルイス・ブニュエル監督の作品群・・・まだ観たことの無い方は、ぜひ一度ご覧になってくださいね。感性が磨かれますよ。

気になる女性たち4(昔のいい女篇2)

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 Wカップサッカーはやはりドイツの優勝でしたね。強いし、弱点がありませんでしたものね、ドイツは。それに比べて日本のサッカーはまだまだ・・・まだ子供レベル・・・それを痛感させられた今大会でした。
 
 オスプレイが厚木基地へ飛来したら、またぞろ地元の住民が「危険物体が飛んで来た」と騒いでおりましたけど、オスプレイに対する誤解が根強いようですね。
 「タブーすぎるトンデモ本の世界」(株式会社サイゾー刊)という本に《と学会》会長・山本弘氏が書いているように、試作段階では事故の多かったオスプレイですが、現在の完成品の事故率は平均以下なんですよ。
 そもそも本当に危険な代物なら、アメリカ軍が正式採用するわけないじゃないですか。それともアメリカ人はアホやからオスプレイの危険性を理解できないとでも言うつもりなの?
 でもね、もし日本上空を飛ぶオスプレイが墜落したら、確かに日本人に被害が及ぶ可能性は高いでしょうけど、それ以上に乗組員であるアメリカ兵はもっとずっと重大な危険にさらされるのですよ。そんな特攻隊みたいな飛行機にアメリカ兵が乗るわけありません。
 オスプレイといえども所詮は人間の作った機械ですから、時には事故や故障に見舞われる事もあるでしょうけど、その確率は普通の戦闘機よりも低いのだという点を踏まえた上で反対運動をして頂きたいものです。「何だかよく分からないけど、とにかく反対」という態度でいたら、そのうち中国に侵略されちゃいますよ。
 
 さて、1ヶ月ほど前に「気になる女性たち3(昔のいい女篇)」という記事を書きましたけど、考えてみれば《昔のいい女》は、まだまだ他にもおりました。そこで今回は続編をお送り致します。
 ちなみに、私のこのブログでは昔の女優やアイドルの紹介をしておりますけど、最近の週刊誌をパラパラめくりますと、60年代70年代のアイドルや女優を特集したグラビアページがやたら多いですよね。世間には同じ趣味嗜好の人が多いのね。むふふ・・・
 
 トップバッターは白都真理さんです。
 完璧な美女というわけではないのですよね。ちょっとアンバランスな美女です。でも、その微妙なところが実にいいんですわ。映画「人魚伝説」(1984)を、私は忘れません。
 
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 山口いづみさんも好きでした。テレビドラマ「雑居時代」の時のいづみさんは可愛かったなぁ。おしゃれな女子大生役で。今でも大好きです。
 
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 夏樹陽子さんも色っぽかったですよね。最近のフェラーリをかっ飛ばしているお姿も素敵です。
 
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 色っぽいといえば、日活ロマンポルノ初期の大スター、田中真理さんが忘れられません。
 当時、彼女は反体制運動のシンボル的な存在になっておりましたね(でも、ポルノって反体制なのでしょうか?)。
 
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 色っぽい女性ならこの人も外せません。「11PM」の司会をしていたかたせ梨乃さんです。
 彼女は後に女優として「幻の湖」(1982)と映画評論家・水野晴郎氏渾身の一作「シベリア超特急」(1996)という日本映画界を代表する2大カルト作品に出演いたします。
 
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 烏丸せつこさんも同時期にセクシー女優として活躍していらっしゃいましたね。五木寛之先生原作の映画「四季・奈津子」(1980)で主演をなさっていました。むっちりと肉厚なところが好きでした。
 
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 かたせ梨乃さん、烏丸せつこさんと続くと、久しぶりに「気になる女性たち2(外人さん篇)」でご紹介した我らがアグネス・ラムちゃんの写真も出したくなります。
 ラムちゃんが好きだっちゃ!(え? しつこいって? うるうる)
 
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 日本のアグネス・ラムといえば麻田奈美さんです。
 清純派美少女の豊満ボディが世の男性を悩殺いたしました。彼女の林檎ヌードは今や伝説です。そのうち切手になるのではないでしょうか? 私が総務大臣なら絶対にそうします(キッパリ!)。
 
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 麻田奈美さん的な清純派といえば手塚さとみさんがいらっしゃいましたよね。
 ユニチカ・マスコットガール時代のさとみさんは可愛すぎました。
 
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 しかしながら、さとみさんはご主人だった真田広之さんと離婚しちゃったんですよね。やっぱ真田さんが葉月里緒奈さんの色香に狂ったのがいけなかったのでしょうか?
 でも、当時の葉月さんの美しさは尋常じゃありませんでしたからねぇ・・・
 
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 アイドルといえば久しぶりに河合奈保子ちゃんの写真も1枚・・・
 
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 うわ、可愛い! なおこちゃああああああんん!
 
 ・・・えー、話を元に戻しまして、緒川たまきさんも好きでした。知性派の美女で。
 彼女が司会していたテレビ番組「新日曜美術館」や「真珠の小箱・奈良大和路をゆく」を、私はよく観ておりました。
 
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 知性派の美女というと山口美江さんが忘れられません。晩年は急激に老化していかれましたけど(遺伝子は恐ろしい)、美人で楽しい方でしたよね。
 ビートたけしさんの番組の催眠術師同士が催眠術を掛け合い相手を猫にするというコーナーで、その様子を見ていた司会の美江さんが催眠術にかかり猫になったのには笑いました。
 ユニークな方でした。
 
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 テレビドラマ「怨み屋本舗」の木下あゆ美さんも好きです。こういう切れ長の眼に弱いんですよね、ワタクシは。あはは。
 
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 切れ長の眼の美女といえば星遥子さんもそうでした。
 
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 何となく性格が悪そうな人なのですけど(あくまでも私の主観ではですよ)、彼女が主演した映画「不貞の季節」(2000)のポスターに私はビビッとと言うかピクンと来たのです。後ろ手に縛られた着物姿の遥子さんのお尻がまる出しになっていて、そこに付けられたセリフが
 「お願い・・・うしろから、して・・・」ですって。
 くうーっ、辛抱たまりませんですう・・・
 
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 この方もあまり評判が芳しく無いのですけど・・・
 山咲千里さん・・・
 やはり切れ長の眼の美女です。
 NHK朝の連続小説「鮎のうた」の時は地味で素朴な美少女というイメージだったのですけどね。
 
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 それが1980年代後半、バブル経済の盛り上がりとシンクロするかのように、はっちゃけます。
 
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 黒々とした腋毛に萌えますなぁ・・・あはは・・・
 
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 で、最後に、切れ長の眼の美女の決定版という事で、この方を・・・山口小夜子さんです。
 
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 ミステリアスな美女でしたね。
 
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 彼女の存在そのものがアート、まさに絵になる女性でした。
 
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 早世されたのは誠に残念ですが、美しいうちに消えてゆくというスターの運命が、彼女を足早に旅立たせたのでしょう。
 素晴らしい女性でした。大好きです。

「ディア・ハンター」と「地獄の黙示録」

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 上海福喜食品による期限切れの肉の使い回し問題・・・チキンマックナゲットも一部が福喜食品製のものだったそうですね・・・美味しかったのに残念です・・・けっこう好きなんですよ、チキンマックナゲット・・・でも、あれだけひどい肉を使っておきながら、不思議な事にこれまで大規模な食中毒が発生したわけではないんですよね・・・今回の件も上海のテレビ局がスクープしなければ表に出なかったし・・・そう考えると人間の体って思った以上に丈夫なんですね・・・もちろん福喜食品がいけない事に変わりはないのですけど・・・
 
 17日に発生したマレーシア機撃墜事件・・・おそらくロシアから地対空ミサイルの提供を受けたウクライナの親ロシア派兵士が誤って民間機を撃墜しちゃったのでしょうけど、ああいう紛争地帯の上空を飛ぶのは、やはり避けた方が良かったですね・・・今回のように誤ってミサイルが飛んで来ることがありえますからね・・・
 パレスチナでもイラクでも中国でも紛争が起きて人がたくさん死んでいます。核兵器が抑止力となり大国間での全面戦争は起きずらくなっていますが、その代わり民族問題や宗教問題に端を発した局地的な紛争はこれからますます増え、泥沼化していくことでしょう。恐ろしい事です。
 
 紛争の泥沼化といえば、私の若い頃はベトナム戦争が、まさにそうでした。アメリカはベトナムという泥沼にはまり、多くの若者を犠牲にした上に、国の威信を失ったのです。
 そんなアメリカ人にとっては悪夢のようなベトナム戦争は、映画の世界では長いあいだ題材にされる事がありませんでした。しかし、ようやく1970年代末になって、ベトナム戦争を正面から描く作品が登場してきます。
 それが「ゴッドファーザー」(1972)のフランシス・フォード・コッポラ監督による「地獄の黙示録」(1979)です。
 
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 原作はコンラットの小説「闇の奥」。かってオーソン・ウェルズが映画化しようとした作品です。
 軍の命令に背きジャングルの奥地で自分の帝国を作っているカーツ大佐。そのカーツ大佐の暗殺を命じられたウィラード大尉は、ベトナム戦争真っ最中のジャングルの奥地へ、闇の奥へと向かう・・・というお話です。
 
 カーツ大佐を演じるのは、マーロン・ブランド。本来は痩せている設定のカーツ大佐ですが、ブランドは丸々と太り、しかもスキンヘッドなので、まるでプロレスラーみたいです(笑)。
 
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 カーツ大佐を追うウィラード大尉を演じるのは、マーティン・シーン。主役としてはちょっとキャラが弱いかな? 当初はハーヴェイ・カイテルを起用する予定だったそうですけど、確かにハーヴェイの方が良かったですね。
 
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 他にはロバート・デュヴァル、ハリソン・フォード、デニス・ホッパーらが出演しています。
 
 私はこの映画を公開時に劇場で観ました。当時は社会現象とも言えるくらいたいへんな話題作・問題作で、これを観ずに済まされるかといった雰囲気でした。
 で、実際に観たところ・・・何じゃこりゃ?・・・さっぱり意味が分からないんですけど・・・たいして面白くもないしさ・・・という感想でしたね・・・トホホ・・・
 2001年になってコッポラが本作の「特別完全版」というのを発表しましたけど、新たなシーンが加わったぶん余計に間延びして、さらに面白さが薄まった印象でした。
 
 全体としては極めてつまらない映画なのですけど、部分的にはハッとするほど素晴らしいシーンがいくつかあります。
 まずはベトコンの根拠地である村をアメリカ軍の戦闘ヘリが急襲するシーン。
 
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 海の彼方からワーグナーの「ワルキューレの騎行」を響かせてやって来たヘリがナパーム弾で村を焼き払います。ダイナミックで美しい名シーンです。
 
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 この作戦の指揮を執っていた隊長がたいへんなサーフィン狂で、戦闘中にも関わらずサーフィンをするシーンが可笑しかったです。
 
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 また、ジャングルの奥地で開かれるプレイメイトによる慰問ショーのシーンもとても印象的でした。
 
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 カーボーイハット姿のお姉ちゃんがそそりますよね・・・あはは・・・
 
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 それから、ザ・ドアーズの「ジ・エンド」をテーマソングに使うところが、また素晴らしいセンスでした。
 
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 ザ・ドアーズというロックバンドをご存知ですかね? 映画「ウッドストック/愛と平和と音楽の三日間」(1970)の記事でご紹介したジミ・ヘンドリックスやジャニス・ジョプリンと並ぶ60年代ロックの大スターなのですけど。
 とりわけボーカル担当のジム・モリソンの書く詩的・文学的・象徴的な歌詞が評判でした。現代のランボーと呼ばれていたのではないでしょうか? 確かに不思議なテイストの詩を書く人でした。
 どんな詩だったかですって?
 それでは当ブログの記事「スタインベックの怒りの葡萄」でいちどご紹介した高校時代の私の友人M君が訳したモリソンの詩をひとつご紹介いたしましょう。タイトルは「とかげの儀式」です。
 
   脳の奥への道をつたい
   苦悩の果てる地へもどる
   雨がやさしく街に降り注ぐ
   小川の迷路
   その下に あの世の静かな方かな
   岡のまわりに神経質な村人が住む
   爬虫類の闊歩
   化石と洞窟と冷気の高原
   全ての家にかびがまたはえ
   風はうず巻き
   朝の中に封じ込められたいかした車
   全てが眠っている
   絨毯の沈黙 鏡の真空
   義理の夫婦のベッドの下の盲目のほこり
   椅子の中をのたうち
   娘たちは高慢
   乳首の瞳に精液がたまっている
   待ち 給え
   ここで虐殺があったのだ
 
 ちなみにコッポラとモリソンはUCLAの映画学科の同級生だったそうです。
 
 こんな風に素晴らしいシーンがいくつかありますし、またキレのいいセンスが随所に垣間見れるので、もっと面白い作品になってもよかったはずなのに、なぜか総合点は低いんですよね、この映画。
 でも、妙な魅力があって、私はこの作品を嫌いにはなれません。
 
 「地獄の黙示録」と同じ時期に、もう一本ベトナム戦争を描いた大作映画が公開されました。
 それが、マイケル・チミノ監督の「ディア・ハンター」(1978)です。
 
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 ペンシルベニア州の田舎町の製鉄所で働く青年たち。彼らの趣味は山での鹿狩りである。そんな仲良しグループの中の3人、マイケルとニックとスティーブンがベトナム戦争に招集された。その結果、3人は心も体もボロボロになって・・・というお話です。
 
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 すなわち、本作は映画「我等の生涯の最良の年」(1946)や、
 
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 当ブログの記事「カルメン故郷に帰る」でご紹介した木下恵介監督の「二十四の瞳」(1954)に通じる内容の作品です。
 
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 もっとも迫力がぜんぜん違いますけど。
 
 捕虜となった3人はベトナム兵にロシアン・ルーレットを強制されます。このロシアン・ルーレットのシーンは息が詰まる程の迫力です。ニックを演じるこの時のクリストファー・ウォーケンは、少し千原ジュニアさんに雰囲気が似ていますね。
 
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 そしてマイケルを演じるロバート・デ・ニーロの鬼気迫る名演技。すごすぎます。デ・ニーロ最高の演技ですね。これが役者というものです。
 
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 また、本作には当時売り出し中の若手演技派女優だったメリル・ストリープが出ています。すごい美人というわけではありませんけど、いい表情を見せてくれますよね、彼女は。
 
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 前半の壮行会のシーンで流れるのが、フランキー・ヴァリの「君の瞳に恋してる」。この作品の時代設定である1967年当時の大ヒットナンバーです。
 後にボーイズ・タウン・ギャングがこの曲をディスコ調にアレンジして再び大ヒットさせました。
 
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 ベトナム兵がアメリカ人捕虜にロシアン・ルーレットをやらせた事実はありませんし、ロシアン・ルーレットのシーンは事実に基づかない完全な創作なのですけど、でもこれほどベトナム戦争という狂気を的確に表現したシーンは他に無いと思います。
 「地獄の黙示録」がある意味ファンタジックにベトナム戦争を描いたのに対し、本作はもっとストレートに生々しく、それでいてあくまでもドキュメンタリーではなく物語として戦争の狂気を描いています。
 大好きな映画です。まだ観ていらっしゃらない方はぜひご覧になってみてください。デ・ニーロとウォーケンの演技に圧倒されますよ。
 
 さて、この他にベトナム戦争を題材にした映画では、オリバー・ストーン監督の「プラトーン」(1986)が良かったです。
 
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 主演は「地獄の黙示録」で主演を務めたマーティン・シーンの息子、チャーリー・シーン。
 ところで、このチャーリーさん、本作の当時は「ウォール街」(1987)、「メジャーリーグ」(1989)、「ホット・ショット」(1991)と大活躍だったのに、その後のドラッグ漬けの日々で精神がぶっ飛び、仰天発言ばかりがクローズアップされるようになりました。
 
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 曰く
 「俺にはトラの血が流れている」
 だの
 「俺は生まれついての勝利者。毎秒ごとに勝っている。居眠りしていてもジェット戦闘機並みの性能だ」
 ですと。
 ジム・モリソンも羨む詩的センスですな。あはは。

記憶に残る本(日本文学篇)

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 また痛ましい事件が起きました・・・長崎県佐世保市の女子高校生による同級生の殺害・・・ショッキングですね・・・加害者にとっても被害者にとっても不幸な事件です・・・
 報道によれば、犯人の女の子は以前から小動物を殺しては解剖するという問題行動を続け、さらに小学生時代には何と学校給食に毒物を混入するという事件を起こしていたとか・・・
 もっと以前に何らかの措置を施しておけば今回の事件は防げたのではないでしょうか?
 それなのにマンションで一人暮らし? まだ16歳の女子高校生なのに? 父親は地元の名士らしいですけど、いささか疑問ですよね、子供の育て方が・・・それとも娘と一緒に暮らしたら自分たちが殺されると怯えていたのでしょうか?・・・まさかね・・・
 
 いずれにしても思春期の人間には、何をしでかすか分からない、とても不安定なところがあります。
 
 思春期といえば、前回の記事の中で高校時代の私の友人M君が訳したザ・ドアーズのジム・モリソンの詩をひとつご紹介いたしましたけど、そのM君が大学受験に失敗して浪人していた私に、一篇の詩を捧げてくれた事がありました。今回はまずその詩をご覧いただきますね。
 タイトルは「無題(浪人生ふじまるに贈る)」です。
 
   ファインマン時計は
   今夜も
   相対的な時間を与え
 
   大気のくしゃみで何も見えない
 
   茂みの向うで
   車のエンジンをふかす音がする
 
   aetherの座標系に
   はりついた
   女の乳首達が
   天の川に
   黄色いうみを流す
 
 ま、私にはさっぱり意味の分からない詩ですけど、こんな風に意味不明な言葉を書き連ねられる才能はたいしたものだと思います。
 M君はその後も詩を書き続けたのでしょうか? それとも彼の詩は単なる思春期の戯れで終わってしまったのでしょうか? 私はその後のM君を知りませんから何とも言えませんけど、彼には確かに文学の才能があった、と私は思っております。
 
 ・・・という事で本日は文学のお話を・・・単独で取り上げる程の知識は持ち合わせていないのですけど、大好きで記憶に残る日本文学作品を、いくつかまとめてご紹介させていただきます。
 
 
 ☆ 上田敏「海潮音」
 
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 言わずと知れた、西洋詩を見事な日本語の詩に変え、その後の日本文学の発展に大きく寄与した、翻訳詩集の大傑作です。
 カール・ブッセの「山のあなた」が特に有名ですよね。落語家の三遊亭円歌師匠が昔「山のあな、あな・・・」とネタにしていらっしゃいました。
 
 私はシャルル・ボードレールの「信天翁(おきのたゆう=アホウドリ)」という詩が気に入っています。俗世間における詩人(もしくは芸術家)の悲哀をアホウドリに譬えて歌った詩です。私は詩人でも芸術家でもありませんけど、それでも身につまされます。
 
   波路(なみじ)遥けき徒然の慰草(なぐさめぐさ)と船人は
   八重の潮路の海鳥(うみどり)の
   沖の太夫(おきのたゆう)を生取りぬ
   舵の枕のよき友よ 心のどけき飛鳥かな
   津潮騒(おきつしおさい)すべりゆく 舷(ふなばた)近くむれ集う
   ただ甲板に据えぬれば げにや笑止の極みなる
   この青雲の帝王も足どりふらら拙くも
   あはれ真白き双翼はただ徒に広ごりて
   今は身の仇 益(よう)も無き二つの櫂と曳きぬらむ
   天飛ぶ鳥も降(くだ)りては やつれ醜き痩せ姿
   昨日の羽根のたかぶりも 今はた鈍(おぞ)に痛はしく
   煙管(キセル)に嘴(はし)をつつかれて 心無しには嘲けられ
   しどろの足を模(ま)ねされて 飛行(ひぎょう)の空に憧るる
   雲居の君のこのさまよ 世の歌人(うたびと)に似たらずや
   暴風雨(あらし)を笑い 風凌(しの)ぎ 猟男(さつお)の弓をあざみしも
   地(つち)の下界にやらはれて 勢子(せこ)の叫びに煩へば
   太しき双(そう)の羽根さへも起居(たちい)妨ぐ足まとひ

 
 
 ☆ 吉行淳之介「砂の上の植物群」
 
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 ある中年男がひとりの少女と出会い肉体関係を結ぶところから物語が始まり、やがて父と息子の相克が浮かび上がってくる吉行淳之介の傑作小説です。
 細かい破片が集まってきて最後に形が出来上がるような技巧的な構成が大好きでした。
 
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 吉行淳之介って、ダンディでカッコいい人でしたよね。これぞ作家という雰囲気がありました。
 大学生の時に所属していた文学サークルにも吉行文学のファンがたくさんいて、みんな吉行先生の作品・・・本書や「暗室」や「夕暮れまで」を愛読していました。
 私は村上龍セリーヌでしたけどね。あはは。
 
 「砂の上の植物群」というステキなタイトル(「植物群」というところが効いている)は、パウル・クレーの絵から借用されています。
 吉行先生は他にも「疾走する都会」や「まだそこにある黒」といったクレーの絵のタイトルがお気に入りだったようです。確かに詩的で、いい響きの言葉ですよね。
 
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 本書は1964年に仲谷昇さん主演で映画化されています。私は観ておりませんけど。
 
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 ヒロイン役は西尾三枝子さんという女優さんでした。きれいで清純そうな方ですね。
 
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 ☆ 大江健三郎「人間の羊」
 
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 川端康成に続く日本人2人目のノーベル文学賞作家・大江健三郎の初期の傑作です。新潮文庫に「死者の奢り」や「飼育」と共に収録されています。
 
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 満員バスの中で進駐軍のアメリカ兵からひどい侮辱を受けた主人公。他の乗客たちは見て見ぬふりを決めこんでいたくせに、アメリカ兵が立ち去るや口々に文句を言い始め、終いにその怒りはアメリカ兵を訴えようとしない主人公へ向かうという人間の弱さや卑怯さを見事に描き出しています。大好きな作品です。ぜひご一読を。
 
 
 ☆ 泉鏡花
 
 鏡花は真の文章家です。日本語の魔術師です。三島由紀夫が「文章読本」に引用した「日本橋」の冒頭部分をお読みください。
 
 「お客に舐めさせるんだとよ」
 「何を」
 「その飴をよ」
 腕白ものの十ゥ九ッ、十一二なのを頭(かしら)に七八人。春の日永(ひなが)に生欠伸(なまあくび)で鼻の下を伸ばして居る、四辻の飴屋の前に、押競饅頭で集まった。手に手に紅だの、萌黄(もえぎ)だの、紫だの、彩った螺貝(ばい)の独楽(こま)。日本橋に手の届く、通一つの裏町ながら、撒水(まきみず)の跡も夢のように白く乾いて、薄い陽炎(かげろう)の立つ長閑(のどか)さに、彩色した貝は一枚一枚、甘い蜂、香しき蝶に成って舞ひそうなのに、ブンブンと唸るは虻(あぶ)よ、口々に喧(やかま)しい。
 
 どうです? 文章に色彩が氾濫していますでしょう? お見事です。こんな華麗な文章が書ける作家は鏡花以外にはおりません。
 
 鏡花の作品はいくつか映画化されておりますけど、傑作は鈴木清順監督の「ツィゴイネルワイゼン」(1980)の記事でご紹介した「陽炎座」(1981)と、そして寺山修司が監督した「草迷宮」(1978)です。
 
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 寺山修司の映画って、タイトルやスチール写真を見る分には面白そうなのに実際に観るとガッカリというのが多いのですけど、この「草迷宮」だけは別。これは傑作。素晴らしい。
 
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 特に鏡花の小説ではお馴染みの妖怪たちを寺山修司お得意の見世物小屋キャラクターで表現したところが秀逸です。関取姿の女妖怪が可愛くて好きだわぁ。
 
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 また、寺山作品の常連で彼の愛人だった新高恵子さんの妖艶な魅力がたまりません。
 
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 「高野聖」でも「草迷宮」でも「陽炎座」でも「夜叉ヶ池」でも鏡花の作品に登場する妖怪たちは、みな心優しい奴らばかりなんですよね。そこがまた好きです
 
 
 ☆ 夢野久作「ドクラ・マグラ」
 
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 一応これは推理小説のジャンルに含まれるのですかね? 学生時代に一度読んだものの、よく意味が理解できませんでしたので、私には判断できないのですけど・・・何となく映画「カリガリ博士」(1920)に似た感じだったような印象があるのですが・・・
 
 日本の推理小説には本書のようなおどろおどろしい作品が多いですよね。江戸川乱歩の「屋根裏の散歩者」とか横溝正史の「八つ墓村」とか小栗虫太郎の「黒死館殺人事件」とか。ポーの作品から純粋推理の部分よりも怪奇趣味の部分をより多く受け継いだのでしょうね。それが日本人の気質に合っていたのでしょうか?
 
 本書は1988年に映画化されておりますけど、私は観ておりません。
 
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 おススメの小説というわけではないのですけど、有名な作品ですし、なぜかファンも多いので、いちど挑戦してみるのもいいかもしれませんよ。私が本書を読み返す事はありませんけどね。あはは。
 
 
 ☆ 坂口安吾
 
 「ドグラ・マグラ」のところでご紹介した横溝正史等おどろおどろしい日本の推理小説作家・・・さしずめ坂口安吾もその一人に加えられるのでしょうね。
 
 坂口安吾・・・私のいちばん好きな日本人作家です。
 下の写真は仕事部屋での安吾ですけど、迫力がありますよね。雑然とちらかった部屋も、いかにも安吾らしくてステキ♡
 
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 とは言うものの、私は作家としての安吾をそれほど買っているわけではありません。作家としては太宰治の方が遥かに上でしょう。
 ただし、太宰があくまでも純文学作家であったのに対し、安吾は純文学のみならず歴史小説、推理小説の世界でも活躍します。純文学作家としては太宰に劣り、歴史小説作家としては吉川英治や司馬遼太郎に劣り、推理小説作家としては江戸川乱歩や横溝正史に劣るものの、トータルではトップという感じです。
 
 そして、「堕落論」を初めとする安吾の評論やエッセイ、こちらの方により安吾の本領があるように私は思います。私なんぞは安吾の語り口に魅了され、夢中になって彼の評論やエッセイを読み漁ったクチです。
 「堕落論」、「青春論」、「日本文化私観」、「安吾巷談」、「風と光と二十の私と」、「我が人生観」etc・・・小林秀雄を論じた「教祖の文学」という評論も好きでした。
 
 安吾の純文学作品としては「白痴」や「青鬼の褌を洗う女」でしょうか? 「桜の森の満開の下」という残酷童話も有名です。
 
 歴史小説には、「信長」、「家康」、「道鏡」、司馬遼太郎の「国盗り物語」の前に斉藤道三を描いた「梟雄」、今年のNHK大河ドラマの主人公である黒田官兵衛を描いた「二流の人」などがあります。
 
 また、安吾は「安吾の新日本地理」や「安吾の新日本風土記」などのエッセイで、日本の古代史に関する大胆な仮説を展開しています。たとえば蘇我入鹿は天皇だったとか(飛鳥の幻)。これらもたいへんに興味深いです。
 
 推理小説では勝海舟が探偵として事件の謎解きをする「明治開花 安吾捕物帖」が面白かったです。いつも海舟の推理が外れて。
 本書の海舟は日常ナイフで頭の後ろを少し切って汚れた血をしぼり出す健康法を実践しているのですけど、そのシーンも強く印象に残りましたね。
 
 で、安吾の推理小説の代表作といえば、やはり何と言ってもこれ。「不連続殺人事件」です。本書は1977年に映画化されました。
 
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 映画自体は内田裕也さんがやたらにギャーギャー騒ぐ凡作でしたけど、当ブログの記事「(秘)色情めす市場その1」でご紹介した泉じゅんさんが出ていたのが良かったです。「犬神の悪霊」(1977)とか、当時この手のカルト映画には欠かせない美女でしたね、じゅんさんは。
 
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 それから、映画「金環蝕」(1975)や「喜劇女売出します」(1972)、テレビドラマ「シルバー仮面」に出演していた夏純子お姉さまも出演していました。色っぽいわぁ、純子お姉さま。
 
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 安吾原作の映画化作品といえば他に今村昌平監督の「カンゾー先生」(1998)が面白かったです。
 
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 母親が娼婦で自分も時おり売春してお金を稼いでは弟に食べ物を与える麻生久美子さん演じる娘がいじらしくて可愛くて好きでした。
 いい女優さんですよね、麻生さんは。
 
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 麻生さんは映画「RED SHADOW 赤影」(2001)の女忍者役も可愛かったですね。
 
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 坂口安吾・・・日本文学界の巨人です。日本のブコウスキーです。彼の文章からは父親的な頼もしさが感じられます。まずは「堕落論」あたりから読んでみてください。
 引き込まれますよ、安吾の文章に。

セクシーな歌謡曲

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 台湾の高雄市で起きた大規模なガス爆発事故の映像にはビックリしましたね。大通りがずらーっと陥没して無くなっていましたからね。
 何でも1990年代の急速な工業化のせいで、高雄市の地下の至る所に有毒な化学物質の流れるパイプが埋めてあるとか。今回はそのパイプから漏れたガスに引火して爆発したようですけど、パイプは年月と共に老朽化する一方ですから、早急に必要な措置を講じないと、また同じ事故が起きますよ。恐ろしい話です。
 
 恐ろしいと言えば、西東京市の村山という41歳の男(無職だとよ)が、妻の連れ子である中学生の男の子をさんざん虐待した上に、最後に「24時間以内に首でもつって死んでくれ」と言ったところ、本当にその子が自殺しちゃったものだから傷害の容疑で逮捕されましたけど、こういうクズはどうにかできないものですかね?
 こいつは普段からボクシンググローブをはめて自殺した中学生を殴っていたそうですけど、てめえこそが24時間以内に自殺すりゃいいんだ。でも、こういうゴミ野郎に限って、自分では怖くて自殺も出来ないんですよね。
 また、こんなクソみたいな男と結婚し、息子への暴力を見て見ぬふりをしていた母親も、責任を取って一緒に死ね。でも、このバカ女も、自分は怖くて死ねないんだろう? カスめが。
 この種の事件が起きるたびに、犠牲になった子供には自分を守ってくれるお爺ちゃんやお婆ちゃんやその他の親戚がいなかったのかと思ってしまいますけど、こういうダメな親にはまともな親戚もいないんでしょうね。
 でも、子供を助ける方法はあったはずなのにね・・・残念です・・・
 
 さて、いよいよ8月、夏本番です(その割には天気がいまいちパっとしませんけど・・・)。
 で、夏は様々な刺激で体がムラムラと疼いちゃう季節ですので、そんな季節に相応しいセクシーな歌謡曲をご紹介したいと思います。すでに一度ご紹介した曲も復習を兼ねて再び登場しますからね。
 では、どどっとどうぞ(今回も長くなりそうな・・・w)。
 
 セクシーな歌謡曲と言ってまず思い浮かぶのは、古いところでは、青江三奈さんの「伊勢佐木町ブルース」(作詞・川内康範、作曲・鈴木庸一)です。
 今では当たり前の金髪ヘアーですが、私が小学生の頃、公の場でそんな頭をしているのは青江さんしかいらっしゃいませんでした。
 「ドゥドゥビジュビドゥビジュビドゥヴァ、灯がともる♪」
 ですもの。セクシーですよね(笑)。
 
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 また、五月みどりさんの「おひまなら来てね」(作詞・枯野迅一郎、作曲・遠藤実)もありました。
 「おひまなら来てよね。わたし淋しいのぉ♪」
 
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 さすがにこの2曲は古すぎましたね。
 私の世代のセクシーな歌謡曲の代表は、当ブログの記事「NHK大河ドラマを彩る女優たち」で一度ご紹介した松坂慶子さんの「愛の水中花」(作詞・五木寛之、作曲・小松原まさし)です。
 私が考えるところの1970年代三大美女の一人、松坂慶子さん(ちなみにあとの二人は中野良子さんと島田陽子さんです)。この曲を歌っていた頃はホントお美しかった。ちょっと寄り目気味なところがたまらなく可愛かったです。
 
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 「これも愛 あれも愛 たぶん愛 きっと愛♪」
 バニーガール姿もバッチリ決まっていらっしゃいました。
 
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 当ブログの記事「気になる女性たち3(昔のいい女篇)」でご紹介した多岐川裕美さんの「酸っぱい経験」(作詞・三浦徳子、作曲・小笠原寛)も忘れられません。
 「シャツのボタン、二つ外しただけで他のひとの視線気にしてる♪」
 多岐川さんの下手クソな歌声が逆に癒してくれました。
 
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 他にすでにご紹介済みの曲では、サーカスの「愛で殺したい」。
 
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 当ブログの記事「ユーチューブでよく聴く曲(カオス篇その2)」でご紹介した山本リンダさんの「どうにもとまらない」。
 
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 私にとって永遠の歌姫、門あさ美さん
 
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 実力派シンガーの前野曜子さん
 
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 彼女たちの曲も忘れないでいただきたいです。
 
 
 それでは初登場曲へと移りますね。
 まずは畑中葉子さんの「後ろから前から」(作詞・荒木とよひさ、作曲・佐瀬寿一)です。
 
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 レコードのジャケット写真からしてすでに過激ですよね(笑)。
 1978年に平尾昌晃さんとのデュエット曲「カナダからの手紙」を歌っていた時から怪しいと睨んでおりましたが、2年後、この曲で畑中さんは淫靡な本性を現したのでした。あはは。
 「後ろから前からどうぞ いつでも抱きしめていいの♪」
 この曲は、畑中さん主演で、1980年に日活ロマンポルノ映画となりました。
 
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 当ブログの記事「ルパン三世」と「ブルース・リーが大好き」でご紹介した目黒祐樹さん主演の名作(?)カルト映画「ルパン三世 念力珍作戦」(1974)。
 
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 この作品に女殺し屋軍団「ドラゴン・シスターズ」役で出演していたのがポピーズです。彼女たちの「恋は気分」(作詞・なかにし礼、作曲・井上忠夫)という曲が私は気に入っています。
 「気分なの 気分が大事♪」
 
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 桑江知子さんの「私のハートはストップモーション」(作詞・竜真知子、作曲・都倉俊一)も、ほのかにセクシーな名曲ですよね。
 
   ああ 私のハートはストップモーション
   あなたに出逢ったときめきに
   ああ 私のハートはストップモーション
   こんなショック初めてよ
   春と一緒に舞い込んできた恋
   私 あなたを離さないわ
 
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 ちなみに、ものまねタレントの松村邦洋さんが2009年の東京マラソン中に急性心筋梗塞で倒れ入院していた時、友達のお笑い芸人がお見舞いに持ってきたCDがこの曲だったそうです。さすがお笑いの人ですね。洒落が効いています。
 
 
 当ブログの記事「ユーチューブでよく聴く曲(カオス篇)」で「気まぐれでいいのに」をご紹介した八神純子さん。彼女の「サマー・イン・サマー」(作詞・山川啓介)もセクシーな名曲です。
 
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   カフェ・オ・レ色に心まで灼いてしまいたい
   あなたという名の激しく優しい太陽で
   サマー・イン・ミー
   けだるい都会の日々が素肌に溶けてく
 
 この曲は1982年のJAL沖縄キャンペーンのCMソングであり、そのCMに出演したモデルが斉藤慶子さんでした。
 
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 私の大好きなファラ・フォーセットや当ブログの記事「懐かしの海外ドラマ」でご紹介した可愛い魔女ジニーの声の吹き替えを担当したのが、女優の中村晃子さんです。
 中村さんには「虹色の湖」という大ヒット曲がありますけど、
 
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 私なんぞの記憶に残っているのは、映画「レッド・サン」(1971)の記事で一度ご紹介したアラン・ドロンとダリダの名曲「あまい囁き」を細川俊之さんとカバーした作品です。細川さんの甘い低音と中村さんの気の強そうな歌声が妙にマッチしていましたw
 
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 当ブログの記事「時代劇が大好き」でちょっこし言及した大信田礼子さんの「同棲時代」(作詞・上村一夫、作曲・都倉俊一)も忘れられないセクシーな名曲です。
 
   二人はいつも傷つけ合って暮らした
   それが二人の愛の形だと信じた
 
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 「同棲時代」は1973年に由美かおるさん主演で映画化されました。それなら由美かおるさんに歌ってもらっても良かったのにね。やはり作曲者が後に大信田さんと結婚した都倉俊一さんだったからでしょうか? べつに大信田さんがこの曲を歌ったことに文句があるわけではありませんけど・・・大信田さんのハスキーな声がこの曲にピッタリ合っていましたから・・・
 
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 由美かおるさんは「炎の女」ですね。大胆に前の開いた衣装がたまりませんでした。じゅる(よだれの音)。
 
 
 大学1年の時、夕方のキャンパスを歩いていますとね、たまたま「××時から××号教室で××レコードの新人・山下久美子の無料コンサートがあります」という張り紙を見つけたんですよ。新人歌手の「久美子」と聞き大場久美子さんや相本久美子さんのようなカワイ子ちゃんを連想したワタクシがさっそく教室へ行ってみると、そこに待っていたのは何だか老けた感じのお姉さん。それが3年後に「学園祭の女王」とか「総立ちの久美子」と呼ばれることになる山下久美子さんでした。
 山下さんは、私を含めて8人くらいしかいない観客の前でも、一生懸命歌っていらっしゃいましたよ、デビュー曲の「バスルームより愛をこめて」(作詞・康珍化、作曲・亀井登志夫)を。
 その姿を見て私は不遜にも「この人は根性があるからビッグになるかもしれないなぁ」と思ったのですけど、本当にそうなってしまいましたね(苦笑)。
 
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   男なんてシャボン玉
   きつく抱いたら壊れて消えた
 
 
 私が子供の頃、寺山修司作詞の「時には母のない子のように」という曲を大ヒットさせたカルメン・マキさん。
 そのマキさんが、高校生の時、ロックンローラーとなって帰ってきました、「私は風」(作詞・Maki Annette Lovelace、作曲・春日博文)を引っさげて。セクシーでカッコいい名曲です。
 
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   目を閉じて 心も閉じて
   開いた本も閉じてしまえ
   ああ 私は風 私は風
   終わりのない旅を続けるの
 
 
 今や大女優の風格漂う夏木マリさん。
 彼女の大ヒット曲「絹の靴下」(作詞・阿久悠、作曲・川口真)では、男を誘うようなフィンガーアクションがそそりました。
 
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   もう嫌 絹の靴下は私を駄目にする
   ああ 抱いて 獣のように
   裸の私に火をつけて
 
 
 夏木マリさんの「絹の靴下」同様に、しばたはつみさんの「マイ・ラグジュアリー・ナイト」(作詞・来生えつこ、作曲・来生たかお)も、大人の女性のエロスを感じさせてくれる名曲です。
 
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   恋はゲームじゃなく生きることね
   答えて愛しいひと
   いま確かめたい
   言葉より大事なこと
 
 
 そして最後は、当ブログの記事「大好きなアニメソングその2」で一度ご紹介した、ジュディ・オングさんの「魅せられて」(作詞・阿木燿子、作曲・筒美京平)です。セクシーな歌謡曲の決定番と言えばこれでしょう。
 
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 この曲は1979年のワコールのCMソングでした。
 
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 で、ワコールがCMでタイアップしていたのが、世界的な版画家で芥川賞作家でもあった池田満寿夫さんが監督した映画「エーゲ海に捧ぐ」(1979)です。
 
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 本作にはエンリオ・モリコーネ作曲のテーマソングがあったのに、ジュディさんの「魅せられて」の方が有名になりすぎて、終いには「魅せられて」が映画のテーマソングだと勘違いされる始末でした。
 
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 映画「エーゲ海に捧ぐ」の主演はイロナ・スターラ。
 後に彼女はチチョリーナという名前のハードコア・ポルノ女優に転身し、さらにはイタリアの国会議員選挙に打って出てます。そして有権者におっぱいを触らせるという独自(?)の選挙運動で見事当選。
 どてらい女性です(笑)。
 
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 ま、チチョリーナもいいですけど、私の好みは断然ジュディさんです。知的で上品なお美しい方ですよね。大好きですう♡
 
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サザンオールスターズ

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 理研の笹井副センター長の自殺には驚きましたね。STAP細胞騒動のせいで学者としての未来が絶たれた以上、彼のプライドは死を選ぶ他なかったのでしょうか?
 
 安倍内閣改造で菊池桃子さんが大臣に? 一部でそういう報道が流れたところ菊池さんご本人が懸命に否定していらっしゃいましたけど、実現すれば面白いのにね。最近、安倍内閣の人気が低迷していますから、人気回復の為にはそれくらいのカンフル剤を打つ必要があるのではないでしょうか。
 これで、もし石破茂さんが総理大臣だったら、元キャンディーズの伊藤蘭さんを大臣にするのでしょうけどね、迷う事なく、すぐに、即決で。それもいいかも。あはは。
 
 タイで9人(全部合わせると14人か?)もの子供を代理出産させていた日本人男性。何とこいつは24歳だそうじゃないですか。24歳の若造が将来の跡継ぎ確保のために代理出産? いっぺんに9人もの子供を? そんなバカなと思っていたら、このあんちゃんは資産70億円の大金持ちなんですって? ますます訳が分からない話ですな。お金が余っているのなら、私にちょーだいよ、お兄さま♡
 
 さて、夏本番を迎え、夏はサザンだということで、今回はサザンオールスターズを取り上げます。
 
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 とは言っても台風11号の襲来で天気がよろしくありませんけど。そういえばサザンの曲にも「夏をあきらめて」という研ナオコさんがカバーした名曲がありましたな。
 
   波音が響けば雨雲が近づく
   二人で思いきり駆け込むパシフィックホテル
 
 以前、「懐かしいポップ・ミュージック」という記事を書きましたけど、それを読んだ人の中には「あれ、なぜサザンが抜けているんだ?」と疑問に思った方がいらっしゃったかと思います。
 もちろんわざと外したのですよ。サザンオールスターズは別格ですからね、私の世代にとっては。
 
 サザンオールスターズは1978年に「勝手にシンドバッド」でデビューしました。
 
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 当時、日本の音楽シーンは、男性アーティストでは原田真二さん、ゴダイゴ、世良公則&ツイスト、アリス、松山千春さんらが活躍し、女性アーティストでは八神純子さんや中島みゆきさんらが活躍していらっしゃいました。
 そこへ、突然ランニングシャツに短パンという貧相な恰好で現れ、歌詞がよく聞き取れない、やたら早口で騒がしい曲を歌うサザン・・・当初、学生バンドまるだしのサザンは、完全に色物扱いでした。
 
 ちなみに「勝手にシンドバッド」の冒頭の歌詞は「砂まじりの茅ヶ崎、人も波も消えて」というものですけど、そのころ北海道にいた私は茅ヶ崎という地名を知りませんでしたので、「砂まじりの地傘? 何だそりゃ?」という感じで、砂浜に番傘みたいな傘が突き刺さっている風景を勝手にイメージしておりました。あはは(汗)。
 
 だいたいが「勝手にシンドバッド」という曲名からして、当時ヒットしていた沢田研二さんの「勝手にしやがれ」とピンクレディーの「渚のシンドバッド」を組み合わせた安直なものですし、本来デビュー曲に予定していたのが「女呼んでブギ」ですもの。
 
   女呼んで もんで 抱いて いい気持ち
 
 その上、「ザ・ベストテン」や「夜のヒットスタジオ」という当時の人気歌番組に出演した際は、リーダーの桑田佳祐さんが様々なおもしろパフォーマンスを演じてくれていましたので、どうしたって私を含めた世間一般の意識は「サザンは典型的な一発屋」、「意味不明な曲を歌うコミックバンド」、「お調子者の学生が集まって騒いでいるだけ」というものでした。
 
 そこらへんの事は桑田さんもよく理解なさっていたらしく、同じように最初は色物扱いされながらも次第に実力派と認められていったダウン・タウン・ブギウギバンドの宇崎竜童さんに捧げるかのような「Hey! Ryudo!」なる曲を発表しております。
 
   何するにせよ互いに夢中な頃のがいいじゃない
   醒めた瞳の人には何も出来ない
 
 サザンに対する一発屋という世間の認識を変えたのが、シングル3枚目の「いとしのエリー」でした。
 
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 この曲で世間の人々は「おや? サザンというのはただ者じゃないぞ」と思ったのでした。当時すでに大御所だったユーミンがラジオで「あたし、この曲好きなんだよねぇ・・・」と少し不思議そうな口調でおっしゃっていたのを、よく憶えております。たぶんユーミンにも「あの素人に毛の生えた程度のバンドがこんないい曲を作るなんて」という戸惑いがあったのでしょうね。
 
 確かに「いとしのエリー」は美しい名曲ですが、それでもまだ私には信じられませんでした。偉そうな物言いで恐縮(汗)ですけど「まぐれだろう、これは」と思って。
 ところが、シングル4作目の「思い過ごしも恋のうち」を聴いて、私は素人ながらに確信したのです、サザンは本物だと。
 
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 普通の曲はサビの部分が一つなのに対し、「思い過ごしも恋のうち」の場合は
 
   思い過ごしも恋 それでもいい 今のうち
   思い込んだらもう夢見るようでいたいから
 
 という一つ目のサビの後に
 
   別れ話はMisery
   昔話はHistory
   次の日も思いっきり
   しゃぶりつくようにPatiently
 
 なる2番目のサビが出て来るのです。
 これはすごいなと思い、横で一緒にテレビを観ていた父に
 「この桑田佳祐という人は戦後最も才能のあるミュージシャンじゃないのかなぁ?」
 と言ったところ、父は鼻でせせら笑っておりました。
 しかし、今となっては、まだ10代で、しかも音楽に何の素養も無い私の直感の方が正しかった、という事になるのでしょうね。
 
 サザンオールスターズは、日本のビートルズ、日本音楽界の革命児だったのです。
 今の若い人たちがサザンの曲を聴いて新しさを感じるかどうか分かりませんけど、当時は画期的な存在でした。サザン以前と以降では日本の音楽の質が変わったと言えるでしょう。
 それくらいサザンは新しいものを我々にもたらしてくれたのです。
 
 では、その新しいものとは何か?
 それはロックのリズムに日本語を乗せる手法でした。それ以前の日本のポップ・ミュージックの歌詞はマシンガンのようなロックのリズムに乗りきれず、どうしてもダサさが付きまとっていました。それを桑田佳祐さんが、英語混りの日本語で、しかもその日本語が「つれない」とか「なにゆえ」とか「そげなこと」など必ずしも今風のおしゃれな言葉ではなく、どちらかと言えば古臭い単語を駆使して、見事にロックのリズムに乗せました。
 その結果、私たちは初めて洋楽に対抗できる和製ロックを手に入れたのです。
 
 「模倣は創造の母である」とよく言われますけど、ひとつのものを模倣していちゃダメなんですね。たくさんのものを模倣しなくちゃ。好きなものが一つという事はないでしょうから。必ず複数あるはずですから。
 桑田さんの場合も、大好きなビートルズやローリングストーンズ、エリック・クラプトン、ボブ・ディラン、レッドツェッペリン、さらには前川清さんや植木等さんら日本の歌謡曲を自分の中でごちゃ混ぜにして、そこから絞り取ったエキスを曲にしているのだと思います。
 こんな風に今あるものをハイブリッドして新しいものを生み出す人が天才なのです。天才といえども完全なゼロから創造するわけではないのです。その意味で桑田さんはまさに天才でした。
 
 桑田佳祐さんの歌声の最初の印象は・・・場末の水商売の雰囲気・・・当ブログの記事「ユーチューブでよく聴く曲(カオスその3)」でご紹介したニック・ニューサーみたいなイメージで、ぜんぜんおしゃれでもトレンディでもありませんでした。
 また、奥さんの原由子さんの歌声も、ボーイッシュな時もあれば、おばさんっぽい時(妙に色っぽくなる)もありますけど、いずれにせよトレンディではありませんよね。
 ところが、こんなふうに一般的にはダサい二人の声が曲の中でハモり、それが桑田さんの書いた歌詞と共にビートに乗るや否や、たちまちおしゃれに輝き始めるのですから、ホント不思議ですよね。
 
 桑田さんと原さんの声は実に相性が良くて、あたかもポール・マッカートニー&ウィングスのポールとリンダのコンビみたいです。
 1980年の三ツ矢サイダーCMソングに使われた「青い空の心(No me? More no!)」などは、特に二人のハーモニーが冴えわたっていますね。
 
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   あの娘を感じさせてる
   スキャバドゥヴァシュヴァダドゥヴァ
   思う間も無く愛しい気持ち Woo
   勝手な俺の気持ちをサイダー
   夢を見るようで冷たくてもアンタちょっとlovely
 
 また、桑田さんと原さんのデュエット曲「シャ・ラ・ラ」も素敵です。
 
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   何するにせよそっと耳元で語ろう
   たとえば言葉が無くても心は
   不思議な期待など持てるこの頃
   Let me try to be back to this place anyday
 
 サザンオールスターズのアルバム第1弾は「熱い胸騒ぎ」。
 
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 「勝手にシンドバッド」、「女呼んでブギ」、「当たって砕けろ」、「恋はお熱く」など、パワフルな名曲の詰まったアルバムです。
 
 第2弾の「10ナンバーズ・からっと」は、桑田さんご本人が《駄作》と嫌っているアルバムですけど、それでも「いとしのエリー」、「ラチエン通りのシスター」、「思い過ごしも恋のうち」などの名曲が収録されています。私は好きなんですけどね、このアルバム。
 
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 ちなみに「いとしのエリー」は英語版でレイ・チャールズがカバーしていますけど、私はたまたまユーチューブで見つけたBENIによるカバーが気に入っています。歌が上手いし可愛いですね、BENIちゃんは。
 
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 「10ナンバーズ・からっと」に桑田さんが不満な理由は、その頃テレビ出演等が忙しくて、じっくりアルバム作りの時間が取れなかったからだそうです。
 そこで、桑田さんは半年ばかり休業してアルバム作りに専念しました。そうして完成したアルバムが「タイニイ・バブルズ」です。サザンオールスターズの最高傑作ですね。
 
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 「Hey! Ryudo!」、高田みずえさんがカバーした「私はピアノ」、「涙のアベニュー」、「C調言葉に御用心」など名曲満載です。
 「涙のアベニュー」なんかしびれましたね。
 
   いつか二人で流したGarden path
   人並み混りでForeign touch
   泣くなら言葉でそう言いな
   夜風身に滲みて胸を焦がすまで
 
 当時、それまで詩人や小説家のものだったはずの言葉が、コピーライターやシンガーソングライターに奪われつつある傾向がありましたけど、こういう歌詞を読むと完全にやられた気がしましたね、自称・小説家のワタクシといたしましては。あはは(汗)。
 
 また、このアルバムには「働けロックバンド(Workin'for T.V.)」というテレビでこき使われる辛さを歌った曲が収録されています。これも名曲です。
 
   Workin'for T.V そりゃしんどいもんでんねん
   胸につかえたままで眠るだけのHard Day's Nightだから
   Darlin can't you see me? こりゃどうもしゃあないね
   悲しくなるどころじゃないよ
 
 ところで、サザンはデビュー当初からテレビにガンガン出まくっていましたけど、真の実力者は「俺たちの音楽はテレビでは伝わらない」などとカッコつけてテレビ出演を拒否したりせず、平気でテレビに出ておちゃらけるものなんですね。あはは。
 
 で、私にとってのサザンオールスターズは、以上の「熱い胸騒ぎ」、「10ナンバーズ・からっと」、「タイニイ・バブルズ」までです。
 もちろん、これ以降のアルバムにも好きな曲はありますよ。
 たとえば、「ステレオ太陽族」収録の「栞のテーマ」。
 
   彼女が髪を指で分けただけ
   それがシビれる仕草
 
 あるいは「NUDE MAN」収録の「Oh! クラウディア」。
 
   恋をしていたのは去年の夏の頃さ
   いつまでもこの胸にOh!
   クラウディア憶えてる
 
 また「人気者で行こう」収録の「海」。
 
   移り気なあなたにOh!
   抱かれて しびれた ほんのチョットだけで
 
 しかし、全体としては初期の3枚のアルバムに見られた純粋さ、透明感みたいなものは感じられなくなってしまいましたね。それはしょうがないんでしょうけどね。
 
 では最後に、アルバム未収録の名曲「いなせなロコモーション」の歌詞を引用しておしまいとさせていただきます。
 歌詞に自分の好きなアーティスト名をバンバンぶち込む手法に教えられました。他にもコニー・フランシス、フランキー・ヴァリ、ビーチボーイズといった名前が登場するのですよ。小説家でこんな事をしているのは村上龍さんくらいのものでした。作品は自分の好きなものだけを凝縮させて作り上げるものなのだ、と教わった気がします。
 
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   あなたとドリス・ディ
   踊ろうよ マッシュポテト
   お父ちゃんもお母ちゃんもお出かけ二人きりなの
   あのころシュープリームス
   誰かれポニー・テール
   女になるのが嬉しや悲しやTeen Age Dream

戦場にかける橋

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 今日は終戦記念日。終戦記念日がちょうどお盆というのは、何だか意味深いですよね。ご先祖さまたちは無事に帰って来れたでしょうか?
 
 俳優のロビン・ウィリアムズさんが自殺しました。私は彼が出演した映画をほとんど観ておりませんし、何本か観た作品も特に好きではありませんでしたけど、これだけ多くの人が彼の死を残念がっているところをみると、やはり素晴らしい俳優だったのでしょうね。ご冥福をお祈り申し上げます。
 
 4月から6月のGDPが6,8%マイナスでした。デフレだというのに消費税率を上げるから、こういう事になっちゃうんですよね。アベノミクス効果でせっかくデフレから脱却しつつあった日本は、またデフレに逆戻りです。しかも、今年の夏は天気の悪い日が多いですから、行楽地へ出かける人が減り、ますます消費が落ち込むことでしょう。
 ここで安倍総理が消費税を10%にするのではなく、逆に5%に戻すという大胆な政策を実行すれば、たちまちGDPは回復するんですけどね。でも、安倍さんにそんな指導力は無いでしょうね。
 
 いま申し上げました通り、今年の夏は天候に恵まれず雨ばかりですので、海や川やプールへお出かけになる人が少ないでしょうから、私がネットで拾ったカワイ子ちゃんの水着写真を貼っておきますね。
 まずは岡崎友紀さんです。
 
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 私が小学生の頃、「おくさまは18歳」などのテレビドラマで、友紀さんはトップアイドルだったのですよ。当時は友紀さんが主演で松坂慶子さんが脇役でした。それくらい友紀さんは人気者でした。
 え? 話が古すぎるって?
 では、もう少し新しい人を・・・石川秀美さんです。
 
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 現在は薬丸裕英さんの奥さまですね。健康的なムチムチボディ(特に太腿あたり)が人気でした。
 当ブログの記事「スーパーマンⅡ 冒険篇」でご紹介した「スーパーガール」(1984)の主人公ヘレン・スレイターちゃんの声の吹き替えも良かったです。
 可愛かったですよね、秀美ちゃん・・・え? この人も知らないですって? うるうる。
 
 ・・・えー、ということで、今日の本題に入らせていただきます。終戦記念日にちなんでというわけではありませんけど、本日は映画「戦場にかける橋」(1957)を取り上げます。
 
 戦争映画といえば、先日ご紹介した「地獄の黙示録」(1979)と「ディア・ハンター」(1978)がありますし、以前ご紹介した作品では「大脱走」(1963)や「トラ・トラ・トラ」(1970)もあります。他には「史上最大の作戦」(1962)や「パットン大戦車軍団」(1970)も有名です。
 これら戦争映画の中で、私が最も好きな作品が、今回の「戦場にかける橋」なのです。
 
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 原作はピエール・ブール。
 彼は第二次世界大戦中、インドシナで日本軍の捕虜になった経験を基に、この物語を書き上げました。
 このピエールさんは、当ブログの記事「黒い絨毯」でご紹介した「猿の惑星」(1968)の原作者でもあります。ということは、あのお猿さんたちは、日本人の事だったのね。ぐっすん。
 
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 で、このピエール・ブールの原作を「アラビアのロレンス」(1962)の巨匠デヴィッド・リーン監督が映画化したのが、本作なのです。
 とても見ごたえのある人間ドラマに仕上がっております。
 
 第二次世界大戦中、タイとビルマの国境付近のジャングルで、日本軍の捕虜となった多数の連合国軍兵士たちが、クワイ川に橋をかけて鉄道を通す工事に従事させられていた。
 アメリカ兵捕虜のシアーズ中佐を始めほとんどの兵士は、当然の事ながら、真面目に働く気は無い。仮病を使ったり、その他の理由をでっちあげて、さぼってばかりいる。そのため工事は大幅に遅れていた。
 
 そこへニコルソン大佐率いるイギリス軍捕虜が到着する。
 ニコルソン大佐は徹底して規律と秩序を重んじる兵士であり、捕虜収容所の所長である斉藤大佐の「将校も工事に従事せよ」という命令を、ジュネーブ協定を楯に取って断固拒否する。そのため斉藤大佐に殺されそうになるが、たとえ殺されようとも己の主義主張を絶対に曲げない頑固さである。
 
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 このニコルソン大佐を演じるのは、アレック・ギネス。「アラビアのロレンス」ではファイサル王子を演じ、「スターウォーズ」(1977)ではジェダイの騎士の生き残りオビ・ワン・ケノービを演じた名優です。
 知的な風貌の素敵な俳優さんですよね。
 
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 シアーズ中佐を演じるのは、ウィリアム・ホールデン。
 
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 彼もたくさんの映画に出演している名優ですけど、特に印象深いのは「タワーリング・インフェルノ」(1974)の記事でご紹介した「慕情」(1955)です。ジェニファー・ジョーンズとの悲しい恋物語。古いですけど、この作品も必見です。ぜひご覧になってくださいね。
 
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 斉藤大佐を演じるのは、早川雪州。
 サイレント映画時代に、二枚目俳優としてハリウッドで活躍した人らしいですけど、もちろん私はそんな古い時代の事は知りません。なにしろ私はヤングですから。あはは(汗)。
 
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 私が知っている早川雪州は本作に尽きるのですけど、でもいいですよね、このカミナリ親父みたいな風貌が。大好きです。
 このような怖い顔のおじさんはもう絶滅してしまいましたね、日本では。昔はたくさんいたのにね。テレビドラマ「あぶない刑事」で近藤課長を演じた中条静夫さんあたりが、こういう磯野波平さんタイプの最後の存在でしたでしょうか?
 
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 ちなみに、撮影現場で、相手役とのバランスを取るために背の低い男優が乗る台をセッシュと呼びますけど、これは早川雪州さんに由来するそうです。
 
 また、本作には、「大脱走」や「火星人地球大襲撃」(1967)のジェームズ・ドナルドが軍医役で出演しています。
 
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 シアーズ中佐は収容所からの脱走に成功し無事アメリカ軍基地へ帰り着くも、本当は二等兵なのに死んだ中佐になりすましていたのがバレて、ウォーデン少佐と共にジャングルへ戻り、日本軍がクワイ川にかける橋の破壊作戦を命じられる。
 このウォーデン少佐を演じるジャック・ホーキンスも私の好きな俳優さんです。「アラビアのロレンス」や「ベン・ハー」(1959)にも出演していて、とても味のある演技をする方でした。
 
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 一方、収容所では、これ以上工期を遅らせるわけにはいかない斉藤大佐がついにニコルソン大佐に屈服し、ニコルソン大佐主導の下に工事を進めることになる。
 ニコルソン大佐は、無能な日本人どもにイギリス軍の優秀さを見せつけてやろうと橋作りに専念し、時間が足りなくなると最初はあれほど拒んでいたくせに将校にも現場作業をさせ、あげくの果てには病人たちにも協力を求める始末。
 そんなニコルソン大佐に部下の一人が「敵のためになぜ我々が橋をかけてやらなければならないのですか?」と質問すると、大佐は「そういう小さい問題じゃないんだ、これは」と言うのですから、ホント困ったおじさんです。
 
 軍人としての主義を貫くべく敵のための橋作りに邁進するニコルソン大佐。イギリス人捕虜の主導で橋が完成することを恥じ、工事完成のあかつきには切腹して果てるつもりでいる斉藤大佐。嫌々ながらも橋の爆破に命を懸けるシアーズ中佐。
 この三者三様の思惑が交差しながら、ついにクライマックスを迎えます。ラストは思わず息を飲む大迫力ですよ。
 
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 登場人物の矛盾した行動が矛盾と思えず自然な行動に思えてくるほど、観客をグイグイと物語の世界へ引っ張り込んでゆくリーン監督の演出力。素晴らしいです。
 日本人がやたら無能に描かれている点には少し閉口しますけど、それも物語だと思えば納得できますし、何よりこんなに見ごたえのある人間ドラマは他にありません。
 名作です。ぜひご覧になってください。深い感銘を受けますよ。

スター・ウォーズ

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 今日でお盆休みも終わりだというのに、見上げればどんよりした曇り空。夏はどこへ行ったんだ?
 
 さて、しかしながら学生はまだ夏休み中でしょうから、残り少なくなった夏休みの間に観ていただきたい映画ということで、今回は「スター・ウォーズ」を取り上げます。
 「スター・ウォーズ」といっても何作もありますけど、私が言うのは1977年に制作され、日本では1978年の夏に公開された、いちばん最初の「スター・ウォーズ」、いわゆる「エピソード4 新たなる希望」というやつです。はっきり言って私は本作以外の「スター・ウォーズ」は認めません。
 
 ちなみに、いま申しました通り、なぜか日本では「スター・ウォーズ」の公開が1年遅れました。ですから、テレビ「11PM」の映画コーナーや雑誌「ポパイ」などで「いまアメリカですごいSF映画が大ヒットしている」という情報は得ていましたが、本作は実物を拝見できない幻の映画となっていたのです、しばらくの間。
 
 この「スター・ウォーズ」と、同時期に公開されたスピルバーグ監督の「未知との遭遇」(1978)の大ヒットによって世界的なSFX映画ブームが起きたのですけど、実は日本ではそれ以前から《宇宙もの》がブームになっていたんですよね。
 そう、アニメ「宇宙戦艦ヤマト」の大ヒットによってです。
 
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 ヤマトのお陰で《宇宙もの》には慣れっこになっていたはずでしたが、本場ハリウッドからやって来た映像は、そんな我々の度胆を抜きましたね。
 特に冒頭に登場する帝国軍の宇宙戦艦スター・デストロイヤーの巨大さに息を飲みました。
 
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 また、宇宙戦艦ヤマト等の日本のアニメでは、光線やらミサイルが出る場所(主砲など)が決まっているのに、スター・ウォーズの戦艦の場合、色んなところからピュンピュンピュンと弾が発射されるところが新鮮でした。
 
 ストーリーはあらためて私が説明する必要もありませんわな。
 遠い昔、銀河の彼方で起きた帝国側と自由を求めてそれに抵抗する共和国側の闘いを描いたドラマです。
 ここで言う銀河というのは我々のいる太陽系がある天の川銀河のことでしょうか? それとも他の架空の銀河でしょうか? どうでもいい話ではありますけど。
 
 監督はジョージ・ルーカス。
 「アメリカン・グラフィティ」(1973)のヒットによりメジャー監督となったルーカスが、古き良きアメリカ娯楽映画の復活を願って制作したのが本作です。
 結果的には、本作のあと量産された多数のSFX映画によって、パニック映画ブームが去って以降元気の無かったハリウッド映画が息を吹き返したのですから、まさにルーカスの思惑通りでした。
 お陰様で映画全体がガキっぽくなってしまいましたけどね。
 
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 主要登場人物は上の写真の3人。
 左からルーク・スカイウォーカー役のマーク・ハミル、レイア姫役のキャリー・フィッシャー、ハン・ソロ役のハリソン・フォードです。
 このうちマーク・ハミルとハリソン・フォードはいいのですけど、レイア姫役のキャリー・フィッシャーに関して(?)マークが付くのは世界的な傾向です。私も同じ思いです。もう少し可愛い女の子はおらんかったのかい、ルーカスさん?
 
 その他の登場人物としては、上記の三人を助けるジェダイの騎士の生き残り、オビ・ワン・ケノービを演じるのが、前回ご紹介した「戦場にかける橋」(1957)の名優アレック・ギネスです。彼が出演してくれたお陰で本作は安っぽくならずに済んでいます。
 
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 帝国軍の惑星型要塞デス・スターの司令官ターキン役は「妖女ゴーゴン」(1964)等ハマー・プロ制作のホラー映画でお馴染みのピーター・カッシング。
 げろっと痩せていて、病的で、不気味で・・・いい味だしてますよね。さすが往年の怪奇スターです。
 
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 ハン・ソロの相棒の宇宙飛行士が身長2メートルを超すチューバッカです。
 
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 C-3POとR2-D2という仲良しロボットコンビも登場します。
 
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 ここらへんのキャラクター設定は、ジュディ・ガーランド主演のミュージカル映画「オズの魔法使」(1939)からヒントを得ています。
 
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 そして、日本の鎧兜とナチス・ドイツ軍のフリッツ・ヘルメットを合わせて作ったようなデザインの暗黒卿、ダース・ベイダー。
 独特の呼吸音が特徴的でした。
 
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 帝国軍の兵士たちのコスチュームもイカしていました。
 アメリカでいち早く本作を観てきた大橋巨泉さんが、彼の司会するテレビ「11PM」で、アメリカから買ってきた帝国軍兵士のマスクを披露していたのを、よく憶えております。
 私も欲しかったです、そのマスク。
 
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 先程、本作は「オズの魔法使」にヒントを得ていると申しましたけど、ストーリー的には黒澤明監督の「隠し砦の三悪人」(1958)ほとんどそのままです。
 なにしろルーカスは黒澤明の大ファンですからね。
 
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 「隠し砦の三悪人」を観るとよく分かるのですけど、ルークは三船敏郎さん、レイア姫は上原美佐さん、ハン・ソロは藤田進さん、そしてC-3POとR2-D2は千秋実さんと藤原釜足さんなんですね。もー、ビックリです。
 ですから、オビ・ワン役は最初、三船敏郎さんにオファーがあったとか。ところが、三船さんは断っちゃったんですね、子供向き映画の話だと思って。これは失敗でしたね。三船敏郎のオビ・ワン・ケノービ・・・うーん、観てみたかった・・・
 
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 また、宇宙酒場のシーン(色んな宇宙人がお酒を飲んでいるこのシーン好き!)で、
 
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 ヤクザ者の宇宙人がルークに因縁をふっかけ銃を抜くや否やオビ・ワンにライト・セーバーで腕を斬り落とされるくだりがありますけど、ここは当ブログの記事「続・荒野の用心棒」でご紹介した黒澤監督の「用心棒」(1961)の1シーンからのいただきです。
 ということは、あの腕を斬られた宇宙人はジェリー藤尾さんだったのか? そういえば顔が少し似ていたような・・・
 
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 話を「スター・ウォーズ」に戻しますね。
 
 オビ・ワンたちジェダイの騎士(なんでも《ジェダイ》というのは日本語の《時代劇》からとったそうです)は、ライト・セーバーなるレーザー剣を武器とし、フォース(初公開時は《理力》と訳されていた)と呼ばれる超能力(なのか?)を持っています。
 SFを極めると最後はフォースのような神秘的なパワーに行きつくものなのでしょうかね?
 ちなみに、日本のアニメ「機動戦士ガンダム」は、早速ライト・セーバーをパクり、またニュータイプなるフォースに通じる神秘的な設定を登場させました。
 
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 ラストは共和国軍による帝国軍の惑星型要塞デス・スターへの総攻撃となります。
 このデス・スター、とても巨大で近づくと表面は都市みたいになっているのに、なぜか上下の区別があり、宇宙船を収容する際は横から入れるんですよね。普通に考えたら、月面着陸のように、上から地表へ降りてくる形になるのではないでしょうか?
 それから、もうひとつ、敵の宇宙船を引き寄せるトラクター・ビームのスイッチのところに「POWER」という英語の表記が付いていたのには閉口しました。ここは銀河の果てなんでしょう? 地球のお話ではないんですよ(後でこの部分は訂正されました)。
 
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 ルークの乗るXウィング・ファイターなどの戦闘機がデス・スターに襲いかかるのですけど、宇宙空間にウィングなんかいらないんですけどね。
 しかし、このXウィング型の戦闘機は、さっそく日本のアニメ「ガッチャマン」の続編で、主人公のケンが乗る新型G1号にパクられておりました。いやーねぇ、もう。パクリばかりだわ(涙)。
 また、これらの戦闘機は、なんと地上から直接宇宙空間まで飛んで行けるのですよね。すごいなぁ(笑)。
 
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 ・・・と、さんざん悪口めいた事ばかり書いておりますけど、それでも狭い溝みたいなところを通ってXウィング・ファイターがデス・スターを攻撃するシーンには、手に汗を握りましたね。だって、そのような映像をそれまで観たことがありませんでしたので、当時の私たちは。思わず手に持っていたチョコ棒をかじるのを忘れて画面に見入っておりました。
 
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 「スター・ウォーズ」は世界じゅうで大ヒットしましたので、日本でもさっそく「宇宙からのメッセージ」(1978)という便乗SF映画が作られました。でも、東映で、しかも監督が《ミスター・ヤクザ映画》深作欣二ですもの、SF的センスのかけらも無い駄作でしたね。
 
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 本家「スター・ウォーズ」にも続編が作られます。
 2作目「エピソード5 帝国の逆襲」(1980)、3作目「エピソード6 ジェダイの復讐(今は帰還に変わっている)」(1983)と回を追うごとに製作費はアップしていったのでしょうけど、それに反して内容はしょぼくなる一方でした。
 そもそも、最初の「スター・ウォーズ」には、ピーター・カッシングを初めとする渋いおじさんたちがたくさん登場して、大人がおとぎ話を真面目にリアリスティックに演じているところが良かったのに、それをだんだんディズニー的な子供向けのファンタジー作品にしていったところが、まったくダメでしたね。
 何を勘違いしたんだ、ルーカス親父は。
 
 また、ルーカスは1997年、本作に新しい映像を付け加えた「特別篇」を発表しましたけど、これもダメ。ぜんぜんダメ。元のままの方が百倍良かったです。
 
 そして、1999年以降に公開された「エピソード1 ファントム・メナス」以降の「新スター・ウォーズ」シリーズ。
 すっかりお子ちゃま映画と化した「スター・ウォーズ」に憤慨した私は、本当の「スター・ウォーズ」、名付けて「アナザー・エピソード1」を書き上げました。
 日本の映画会社は、ルーカスの許可をもらって、私の「アナザー・エピソード1」を映画化してくれないかなァ?・・・絶対に面白いんだけどなぁ・・・父と子の問題がテーマになっていてさ・・・結局、後にダース・ベイダーとなるアナキン・スカイウォーカーは、エミリー・ブロンテの小説「嵐が丘」のヒースクリフなのよね・・・

未知との遭遇

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 今年の夏は雨ばかりでちっとも日焼け出来ないと嘆いておりましたところ、広島で大雨による大規模な土砂崩れが起き、多くの方がお亡くなりになりました。
 広島のニュース映像を観て、東日本大震災以降、何度も同じような光景ばかり観ている気になるのは、私だけでしょうか?
 これも地球温暖化のせいなのでしょうかね? 最近、日本の天候が変ですよね。
 
 ジャッキー・チェンの息子が麻薬使用で逮捕。
 中国において麻薬の使用は死刑になる可能性のある大罪ですから、ジャッキーは息子が死刑になるんじゃないかと心配して習近平国家主席に泣きついたそうですけど、こうなる前にどうにかすべきでしたね、バカ親ジャッキーは。
 
 さて、前回、ジョージ・ルーカス監督の「スター・ウォーズ」(1977)を取り上げましたけど、ルーカスと来れば次はこの人を取り上げないわけにはまいりません。
 そう、ルーカスの盟友であり、ライバルでもある、スティーヴン・スピルバーグ監督です。
 
 スピルバーグは、まずテレビドラマの監督からスタートいたしました。
 1971年に始まったNBCミステリー・ムービーシリーズ「刑事コロンボ」の記念すべきシリーズ第1作「構想の死角」をスピルバーグが演出していたというのは有名な話です。
 
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 同じ「刑事コロンボ」の「愛情の計算」に登場する天才少年がスティーヴン・スピルバーグと名付けられた事からも分かるように、スピルバーグ青年は当時から周囲に天才と称されるほど抜きんでた才能を発揮していたのでしょうね。
 この「構想の死角」も、なかなか凝った映像でしたものね。
 
 そんなスピルバーグ青年がテレビ用に作った作品が「激突!」(1971)です。
 これは日本等では劇場公開されましたので、事実上スピルバーグの劇場公開映画第1作目ということになります。
 
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 あるセールスマンが車を運転中、ノロノロ運転で道を塞いでいる大型トレーラーをうまく抜き去ったところ、そのトレーラーから執拗に追いかけ回される事になるというお話です。
 このようにストーリーは極めて単純なのですけど、猛スピードで迫いかけて来る大型トレーラーが不気味で、すごい迫力で、テレビでこの作品を初めて観た時、私は思わず画面に釘づけになってしまいました。
 
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 原作は、私の大好きな「ある日どこかで」(1980)の原作者でもあるホラー作家、リチャード・マシスンです。
 私はむかしハヤカワ文庫版の原作本を持っていたのですが、長い歳月の間に失われましたので、もういちど買い直そうと思ってアマゾン等を検索いたしましたところ、ものすごく高い古書価格が付いておりました。1円というわけにはいかないのね、この本は。ガックリw
 
 主演は(と言うよりエキストラの他には主人公ひとりしか登場しないようなドラマなのですけど)、やはりNBCミステリー・ムービーつながりでしょうか、「警部マクロード」のデニス・ウィーバーです。
 
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 「激突!」はスピルバーグの才気が思う存分に発揮された名作です。ぜひご覧になってください。
 
 で、「刑事コロンボ」も「激突!」も、私はテレビで観ました。
 初めて私が劇場で観たスピルバーグ監督作品は、劇場公開作品第2作目となる「続・激突! カージャック」(1974)です。私が中学生の時に公開されました。
 
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 タイトルが「続・激突!」となっておりますが「激突!」とは何ら関係がありません。原題を直訳すると「シュガーランド急行」ですもの。
 単に日本の配給会社が、あざといだけで何のセンスも無いバカだったというお話です。
 
 内容は刑務所に入っている夫を脱獄させた妻が、夫と共にパトカーをジャックし、里子に出された自分たちの子供を奪い返すために、シュガーランドという町へ向かうというお話です。
 
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 主演はゴールディ・ホーン。
 私は本作で初めてゴールディという女優の存在を知りました。後に彼女は、私の大好きな映画「潮風のいたずら」(1987)等、多数の作品で活躍する大女優となります。
 もちろん私は彼女の大ファンです。
 
 正直申しまして「続・激突! カージャック」は、たいした作品ではありません。「激突!」の方が百倍面白かったです。これはスピルバーグの失敗作ですね。
 
 ところが、次の作品でスピルバーグは世界じゅうをあっと驚かせる事になります。
 それが「ジョーズ」(1975)です。
 
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 夏の海水浴場に巨大なサメが現れ、次々と人を襲い、最後はそのサメを退治するという、これまた単純なお話です。
 しかし、例によってスピルバーグは、この単純なお話を、一寸の隙も無い、全編に緊張感が途絶えることの無い演出で組み立てています。お見事です。本当に映画作りが上手な監督ですね、スピルバーグは。
 
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 サメ退治に出かけるのは、上の写真の3人。
 このうちロイ・シャイダーは、「フレンチ・コネクション」(1971)や当ブログの記事「マッドマックス2」でご紹介した「重犯罪特捜班 ザ・セブン・アップス」(1973)の後、本作で世界的なスターとなり、これ以降はお亡くなりになるまで多くの作品で大活躍でした。
 
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 リチャード・ドレイファスは、本作以降、スピルバーグのお気に入りの俳優となります。
 
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 そして、ロバート・ショウ。
 古くは「007 ロシアより愛をこめて」(1963)、そして「スティング」(1973)・・・1970年代のハリウッドでショウは大活躍でしたね。
 渋くていい俳優さんでした。早世されたのが誠に残念です。
 
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 「ジョーズ」の大ヒットにより世界的な映画監督となったスピルバーグが次に選んだのはSFでした。
 スピルバーグと言えば宇宙人や恐竜が登場するSF映画を思い浮かべる人が多いでしょうけど、最初の頃は特にSFにこだわりは無かったようです。そんなスピルバーグをどっぷりSFの世界に漬け込むきっかけとなったのが、劇場公開作品第4作目「未知との遭遇」(1977)です。
 
 この作品から私たちはスピルバーグという名前を意識するようになります。「ジョーズ」ではまだそういうレベルには達しておりませんでした。「未知との遭遇」からです。
 
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 内容は特に無く、とにかく宇宙人と人間の接触(第三種接近遭遇と呼ぶんでしたっけ?)を描いた、スピルバーグらしい単純な作品です。
 主演は「ジョーズ」に続いての出演となるリチャード・ドレイファス。UFOと接近遭遇して以来、UFOに憑りつかれる電力会社社員を演じます。
 
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 宇宙人問題のエキスパートであるフランス人学者を、ヌーベルヴァーグの映画監督フランソワ・トリュフォーが演じています。彼が関わった映画の中の最高傑作ですね、本作が。監督した作品にはロクなものがありませんからね。あはは。
 
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 それから、主人公の妻役で、これまたNBCミステリー・ムービーつながりでしょうか、「警部マクロード」の記事でご紹介したテリー・ガーが出演しています。
 キュートで大好きでした、テリー・ガー♡
 
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 あと、UFOに幼い息子をさらわれた母親役でリンダ・ディロンという女優さんが出演していますけど、彼女の顔は完全にゴールディ・ホーン系ですよね。スピルバーグは本当はゴールディに出演してもらいたかったんじゃないの? でも、ということは、マザコン・スピルバーグが思い描く理想の母親の姿がゴールディなのでしょうか?
 
 赤や青に輝くアイスクリームのような(登場する幼児のセリフ)、はたまたネオンサインのようなUFOが、クルクル回転しながら道路上にとつぜん現れ、パトカーの追跡を振り切って飛び去っていく(最後に可愛い火の玉みたいなのが付いてくる)シーンが好きです。
 
 また、ラストに現れる豪華なシャンデリアみたいな、あるいはモン・サン・ミシェルみたいなUFOには驚きました。このようなイメージのUFOを見たのは初めてでしたので。UFOはこうでなくちゃいかんな、と深く深く感心したものです。
 さっそく翌年に公開されたアニメ映画「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」(1978)が、劇中に登場する白色彗星帝国の要塞で、本作のUFOをパクっておりましたね。情けなや。
 
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 音楽担当は、「ジョーズ」に引き続きジョン・ウィリアムズ。
 ジョン・ウィリアムズは「おしゃれ泥棒」(1966)、「タワーリング・インフェルノ」(1974)、「スター・ウォーズ」(1977)、「スーパーマン」(1978)、「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」(1981)、「E.T.」(1982)・・・と、私の時代には大活躍の作曲家でした。
 
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 本作を観た手塚治虫先生が「宇宙人と音楽で会話するところが素晴らしい」とテレビでおっしゃっていたのを、よく憶えております。
 
 「スター・ウォーズ」もそうでしたけど、本作はそれまで私たちが見たことの無い世界を見せてくれる作品でした。
 そういう特別な映画が、映画史上、何本かありますよね。
 単なる映画を超えて、社会現象になるような、これだけは今どうしても観ておかなければならないと思わせてくれる、そういう画期的な作品が・・・私たちに新しい何かを運んでくれる作品が・・・「2001年宇宙の旅」(1968)がそうでしたでしょうし、「ゴッドファーザー」(1972)もそうです。他には「燃えよドラゴン」(1973)や「エクソシスト」(1973)、期待外れでしたけど「地獄の黙示録」(1979)・・・
 最近、どうしても観なければならないと思わせてくれる映画が無いですね。
 ですから私は新作映画を観ないのですけどね。あはは。
 
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 本作の公開時、宇宙人の姿はトップシークレットでした。
 しかし、私は宇宙人が登場するシーンでガッカリしましたね。それまで極めてリアリスティックに物語が進んできたのに、最後に宇宙人を出しちゃダメだろう・・・出すのはUFOまでだろう・・・宇宙人まで出しちゃったら、たちまちリアリティが無くなっちゃうじゃないか・・・謎めいたまま終わらせるべきだろうが・・・そう思って・・・
 
 ちなみに、宇宙人が実在するか否かですけど、宇宙は広いので地球以外にも生命は存在し、中には地球人以上の知的生命体がいるかもしれませんけど、そいつらが地球へやって来ることはありえません。ですからUFOも存在しません。説明は長くなるから省きますけど。
 百歩譲って地球へやって来る宇宙人が存在するとしても、本作に登場する奇形児のような姿ではないでしょうね。あんな連中が巨大な宇宙船を作ること自体が不自然ですしね。
 
 本作の後、スピルバーグは「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」、「E.T.」、「ジュラシック・パーク」(1993)・・・と、ジョージ・ルーカス同様に、どんどんガキっぽくなっていきます。
 ま、「レイダース」くらいまではかろうじて観れましたけど、それ以降の作品はぜんぶダメ。インディ・ジョーンズ・シリーズなんか最悪。スピルバーグは映画の見せ方は誰よりも上手いですけど、しょせん中身の無い人ですから、特撮映像が見事なだけの空虚でからっぽなマンガみたいな作品が出来上がっちゃうんですね。
 そこがヒッチコックとの大きな違いです。ヒッチコックには深い人間洞察に基づく中身がありました。
 
 前回、「スター・ウォーズ」に影響を受けて日本では「宇宙からのメッセージ」(1978)なる三流映画が作られたと申しましたけど、本作に影響を受けた作品も、もちろん作られたのですよ。
 それが以前にも一度ご紹介した倉本聰・脚本、岡本喜八・監督の「ブルークリスマス」(1978)です。
 
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 作品はともかく当時の竹下景子さんは可愛かったですよね。ポワンとした表情が特に。
 
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 以前ご紹介した人気テレビ番組「みごろ!たべごろ!笑いごろ!!」の「悪ガキ一家の鬼かあちゃん」コーナーで、キャンディーズ解散後は女優に転身する予定の伊藤蘭さんが
 「わたし、のーしたらいいの?」
 と言って家の柱にすがりつき、そこに付いている小さな垂れ幕を下ろすと「打倒! 竹下景子」と書いてあり、それを見た蘭ちゃんが狼狽するという場面があったのを思い出します。
 可愛くて演技派で若手女優の憧れ・・・それが当時の竹下景子さんでした。

タツノコプロのアニメ2

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 今日で8月も終わり。それにしても今年の夏は天気がパッとしませんでしたね。雨ばかりでしたので消費も伸びなかったでしょう。また景気が悪くなりますね。こんな状況で消費税率を10%に上げるとしたら、それは自殺行為です。
 
 昨日から日本テレビが「24時間テレビ」を放送していますけど、私は観ておりません。でも、さっきたまたまチャンネルを合わせましたところ、病気療養中の林家こん平さんが出演なさっておりました。病気のせいでしょうけど、ずいぶん老けられましたね。私が高校生の頃は、「笑点」メンバーの中で、一番の元気者だったんですけどね。
 
 俳優の米倉斉加年さんがお亡くなりになりました。
 
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 米倉さんといえば、私のブログではお馴染みの俳優さんでして、古くはNHKのテレビドラマ「明智探偵事務所」での怪人二十面相役。
 また、歴代NHK大河ドラマの中で私が最も愛する作品「花神」の桂小五郎役が印象深いです。
 
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 渥美清さん主演の「男はつらいよ」シリーズにも何度かゲスト出演なさっていましたね。
 
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 また、当ブログの記事「セクシーな絵画」でご紹介しましたように、俳優としてだけではなく画家としても活躍なさいました。
 
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 ちょいとアゴがしゃくれた独特の風貌が印象的な素晴らしい演技派の俳優さんでした。私は米倉さんの大ファンです。心よりご冥福をお祈り申し上げます。
 
 ところで、エロティックな米倉さんの絵画を見ていたら急に連想したのですけど、このブログを毎回お読みくださっている方は、私が単なるスケベな中年男だという事を、よくご存知かと思います。
 そんな私は、ネットでしばしばエッチな画像や映像を観ております。さすがに真剣に観るわけではありませんけど、それでも「最近はどんなのがあるのかな?」と暇つぶしに色んなサイトをクリックしております。
 それにしても現在は便利ですね。昔はエッチな映像を観ようと思ったら、レンタル店でアダルトDVDを借りたり、ネット通販で裏DVDを買ったりしなければならなかったのに、今はネット上に無修正作品を含む様々なエロ動画が大量にアップされていて、それらがタダで観れるのですから。
 ホントFC2やX-VIDEO様さまです(苦笑)。
 
 そういえば、当ブログの記事「溝口健二」でFC2ライブチャットの話をして、その中で《ラムちゃん》のファンだと書きましたけど、こういうものは移り変わりが激しくて、現在《ラムちゃん》はもう配信をしておりません。
 最近の私のお気に入りは、18歳の専門学校生《ねねちゃん》です。興味のある方はご覧になってみてください。可愛いですよ。あはは(汗)。
 
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 でね、いま申しました通り、スケベなワタクシはネットで数多くのエロ動画を観ておるわけなのですけど、はっきり言ってどれも似たり寄ったりの、見飽きた内容の作品ばかりでして、いまいちピンと(あるいはピクンとw)来ないんですけど、先日、久しぶりにすごい人を見つけちゃいました。
 中澤チュリンちゃんです。
 
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 このチュリンちゃん、スレンダーな体型で、一見するとSKE48の松井珠理奈ちゃん似の女子高校生みたいですけど、実は男なんですよね、この人。
 ですからタマもサオも付いております。
 しかも、これがまた大きいのよ、我々ノンケの男性が思わず引いちゃうくらい。
 こういうシーメールというかニューハーフというか、とにかくオカマさんは本来、女性になりたいわけなんでしょう? それなら持ち物だって小さくていいはずなのに、このような方に限ってマグナム級のどでかい一物をお持ちなんですよね。私なんぞはチ○コがでかいのがオカマになる条件じゃないかと疑っちゃうくらいです。
 
 で、チュリンちゃんは見事にピンコ立ちした(ちょっと羨ましい・・・)特大サイズのチ○コで男のアナルを犯し、逆に自らのアナルに男のチ○コを受け入れて・・・と、何でもありの大人のバーリトゥードを闘います。
 昔、アメリカのポルノ界にスルカ(SULKA)という有名なシーメールがおりましたけど、いつの間にか日本もそういう時代になっていたのね。
 普通のポルノは見飽きて何とも感じませんけど、チュリンちゃんの作品のような異常なものを観ると、やはりドキッとしますね。
 色に枯れた私のような人間をも興奮させる中澤チュリンちゃんの作品・・・ネットで検索すれば誰でも無料で観れますから、興味のある方はご覧になってみてくださいね・・・案外ハマるかもしれませんよ・・・むふふ・・・
 
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 さて、今日の本題に移らせていただきます。
 本日は以前ご紹介した「タツノコプロのアニメ」の続編です。約1年ぶりですかね。けっこう時間が空きました。今回はギャグアニメ中心にご紹介いたします。
 
 
 まず最初は「おらぁグズラだぞ」。
 
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 ある家庭に鉄を食べる怪獣グズラがやって来て大騒ぎする物語です。細かい内容はまったく憶えておりませんけど、谷啓さんが歌う主題歌(作詞・青島幸男、作曲・馬渡誠一)だけは現在も耳に残っていて、ときどき口ずさみます。
 
   おらぁグズラだどヒヒヒヒ
   力は千人力リキキ
   口から火を吹くブヒヒヒヒ
   鉄だって食べるよムシャシャシャシャ
   だけど ちょっぴり泣き虫 ドホホホホ
   ドッタドタドンドン ドッタドタドン
 
 
 次は「ハクション大魔王」。
 
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 これは皆さんよくご存知ですよね? 
 「呼ばれて、飛び出て、ジャジャジャーン!」や「アラビン、ドビン、ハゲチャビン」というハクション大魔王を演じた大平透さんの声が今も耳に残ります。
 私なんぞは日曜日の朝に再放送されていた印象が強いです。
 ハクション大魔王の娘アクビ姫の声を演じていたのは、「サザエさん」でタラちゃんの声を担当している貴家堂子さんでした。
 主題歌(作詞・丘灯至夫、作曲・市川昭介、唄・しまざき由理)も忘れられません。
 
   くっしゃみひとつで呼ばれたからは
   それが私のご主人様よ
   ハ ハ ハクショーン大魔王
   壺の中から ハ 飛んで来る
 
 
 「昆虫物語 みなしごハッチ」
 
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 「ゆけゆけハッチ みつばちハッチ 飛べ飛べハッチ みなしごハッチ♪」
 という主題歌(作詞・丘灯至夫、作曲・越部信義、唄・しまざき由理)が忘れられない名作アニメです。
 観ていてこんなに泣いたアニメは他にありません。
 
 
 このようにタツノコプロのアニメには主題歌が印象深い作品が多いのですけど、「けろっこデメタン」もそうでした。
 
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 この作品、内容はまったく憶えておりませんけど(ハッチの二番煎じみたいな感じだったでしょうか?)、主題歌(作詞・丘灯至夫、作曲・越部信義、唄・堀江美都子)は、不思議とよく憶えております。
 
   けろっこデメタン
   おまえが泣けば
   虹のお池が雨になる
 
 主題歌を歌った堀江美都子さんは、当時《アニソンの女王》として、私たちオタクどもの間で大人気のアイドルでした。
 
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 その堀江美都子さんが主題歌を歌ったタツノコ作品をもうひとつ。
 「てんとう虫の歌」です。
 
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 これは飛行機事故で両親を失った七人兄弟(月美、火児、水男、木介、金太郎、土丸、日曜子・・・アニメとはいえ見事な出産計画だわw)が、力を合わせて自分たちだけで生きていく、川崎のぼる原作の物語です。
 タツノコプロでは「いなかっぺ大将」に続く川崎作品のアニメ化でした。
 堀江美都子さんが歌う本作の主題歌(作詞・川崎のぼる、作曲・菊池俊輔)が、私は大好きです。元気が出る名曲ですね。
 
   ぼくらは七つの星なのさ
   夜空に輝く星じゃなく
   てんとう虫の羽根の上
   仲良く並ぶ星なのさ
 
 
 ラストは「ヤッターマン」です。タツノコプロのギャグアニメの代表は、やはりタイムボカンシリーズ第2弾の本作ですよね。
 
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 本作では、未来少年コナンの声を担当した小原乃梨子さんが声を演じるドロンジョ様が、最後のやられた時にお約束のポロリをするシーンが大人気でした。
 「あたしゃ今日は脱がないよ」とか言いながらも、結局は脱いじゃうんだから・・・もうドロンジョ様、たまりませんですう・・・ハァ、ハァ・・・
 
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 このドロンジョ様を、2009年公開の実写版映画では深田恭子さんが演じておりましたけど、何かちょっと違いますよね。
 
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 今、ドロンジョ様を演じるとしたら、やっぱ檀蜜さんでしょうか?
 
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 私といたしましては中澤チュリンちゃんでもいいのですけど・・・あはは(汗)・・・

記憶に残る本(海外文学篇)

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 小栗旬さん主演で「ルパン三世」が実写映画化されたそうですけど、誰が観るんでしょうね? そんなもの。
 このテの作品が作られるたびにいつも思うのですけど、発想が安易ですよね。なぜ小栗旬がルパンなの? とりあえず人気スター(私は小栗旬が大嫌いですけど)を主演にもってくれば客が入るだろうという考えなのでしょうけど、私には映画をバカにしているとしか思えません。
 私が今もしルパンを映画化するとしたら、ルパン役は大泉洋さんにお願いするでしょうね。だってイメージがいちばんピッタリですから。
 でも、映画会社が大泉さんを選ばなかったということは、大泉さんでは客を、特に若い女性の客を呼べないと考えたわけでしょうけど、それなら小栗旬でどれだけヒットするか、プロのキャスティングの成果が今から楽しみですな・・・むふふ・・・
 
 今週の一番のニュースはデング熱でしたね。私は最初デング熱という言葉を知らなくて「え? 天狗熱?」と言っておりましたけど・・・あはは(汗)・・・
 大好きな紗綾ちゃんが、テレビ番組のロケ中、蚊に刺されてデング熱に感染したそうですけど、早く良くなっていただきたいものです。紗綾ちゃん、大好きどす♡
 
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 さて、以前「記憶に残る本(日本文学篇)」という記事を書きましたけど、いくつか漏れがありましたので、ここでちょっと追加させてもらいますね。
 
 大学生の時に読んだ古井由吉の「杳子」という小説が好きでした。ブコウスキーの「町でいちばんの美女」や村上春樹の「ノルウェーの森」みたいな感じの作品で。
 
 筒井康隆の作品も全般的に大好きなのですけど、特に「関節話法」という作品には笑いました。筒井先生の作品では他に「時をかける少女」や「万延元年のラグビー」が忘れ難いですし、小学生の時に読んだ「かいじゅうゴミイ」も懐かしいです。
 
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 「かいじゅうゴミイ」の表紙絵を見ていて思い出したのですけど、「ちからたろう」という童話も好きだったなぁ・・・田島征三さんの挿絵が素晴らしくて・・・
 
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 田島先生の挿絵では「ふるやのもり」も大好きでした。
 
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 以上、追加が終了いたしましたので、引き続き今回は「記憶に残る本」の海外文学篇をお送りいたします。
 例によってとりとめの無い話がダラダラと続きますけど、我慢してお付き合いくださいね。あはは。
 
 
 ☆ オコナー短編集
 
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 顔の骨が溶ける難病に侵されながらも、死ぬまで作品を書き続けたアメリカの女流作家フラナリー・オコナー。私は彼女の作品が大好きです。フォークナーもそうでしたけど、アメリカ南部を舞台にした作品特有の暴力的で殺伐とした模写が、われわれ読者の魂を揺さぶります。強烈な作品ばかりですけど、ぜひ読んでいただきたいです。
 
 翻訳者の須山静夫氏の解説によれば、「あなたはなぜ書くのですか?」と問われたオコナーは「上手に書けるからです」と答えたそうです。シビれるセリフですね♪
 
 また、オコナーはこうも述べています。
 
 ・・・人々は常に、現代作家には希望がない、現代作家の描く世界像は耐えがたい、と不平をこぼす。これに対する唯一の答えは、希望のない人間は小説を書かないということである。
 小説を書くのは恐ろしい体験であり、書いているあいだに髪はばらばらに抜けおち、歯はぼろぼろになる。
 小説を書くのは現実からの逃避であるといった意味のことを口にする人々に私はいつもひどく腹が立つ。小説を書くことは現実のなかに突入することであって、全身に強烈な衝撃を受ける・・・
 希望のない人間は、小説を書かないだけでなく、小説を読みもしない。そういう人たちはどんなものでも長いあいだ見つめることをしない。勇気が欠如しているからだ。
 絶望に至る道とは、いかなる種類の体験を持つことも拒絶することである。そして、もちろん、小説は体験を持つことに至る一つの道である・・・
 
 
 ☆ マンスフィールド短編集
 
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 キャサリン・マンスフィールドも、オコナー同様、幸薄い実生活を送りながら小説を書いた女流作家です。「園遊会」など日常生活の中の人間心理の機微を描いた短編小説を多数残しました。
 「祭日小景」という作品のラストが印象的でしたので引用しておきますね(安藤一郎訳)。
 
 ・・・丘を上へ、上へと、人々が登ってくる、くすぐり道具やお化け人形や薔薇や羽根をもって。明るい、暑いほうへ、上へ上へと、彼らは、叫びながら、笑いながら、金きり声をたてながら、入りこんでくる、あたかもはるか下の何かに、また彼らのはるか前にある太陽に押されて・・・みちあふれた、きらきらと目もまばゆい光輝にひきずりこまれるかのように・・・それも、いったい何にむかって?・・・
 
 
 ☆ うたかたの日々
 
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 ボリス・ヴィアンのこの作品は「日々の泡」という邦題でも紹介されています。
 恋人同士であるコランとクロエ。ところが、クロエが肺の中に睡蓮の蕾ができる難病に侵されてしまう・・・
 レイモン・クノーによると本作は「現代における最も悲痛な恋愛小説」なんだそうです。私は大学生のとき本書を読みました。悲しくも美しい物語でした。ぜひ御一読を。
 
 
 ☆ 木曜の男
 
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 ブラウン神父シリーズで有名なチェスタトンの作品。最近の新訳では「木曜日だった男」という邦題がつけられておりますね。
 ある無政府主義者の幹部になりすました刑事。彼は《木曜日》と名付けられる。他の幹部にも曜日の名前が付いており、委員長である《日曜日》は体の各パーツが異様に大きい男だった・・・
 
 この不気味な《日曜日》の描写を読んだ時、私はオーソン・ウェルズの傑作映画「市民ケーン」(1941)の主人公のモデルとなったアメリカの新聞王ハーストを連想いたしました。
 
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 神話的な雰囲気さえもする傑作です。面白いですよ。
 
 
 ☆ 老人と海
 
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 ご存知ヘミングウェイの傑作です。私はこの作品の乾いたタッチが好きです。
 
 ・・・この男に関する限り、なにもかも古かった。ただ眼だけがちがう。それは海と同じ色をたたえ、不屈な生気をみなぎらせていた(福田恆存訳)・・・
 
 見事な文章ですよね。「老人はライオンの夢を見ていた」というラストの一文も好きです。
 
 
 ☆ 夜間飛行
 
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 童話「星の王子さま」で有名な、自身パイロットだったサン・テグジュペリによる、当時はレーダーが無い為とても危険だった夜間の郵便飛行開拓時代の物語です。
 内容はヘミングウェイ的なハードボイルド小説ですけど、とにかく美しい詩的な文章がたまりません。「百年の孤独」のガルシア・マルケスが、好きで読み返す小説はコンラッドとサン・テグジュペリの作品だと申しておりましたけど、まったく同感でございます。
 
 
 ☆ モリエールの作品
 
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 モリエールの戯曲が大好きです。日本でいえば江戸時代の人なのに、いま読んでもちっとも古さを感じません。古典落語の味わいですね。「女房学校」、「病は気から」、「タルチュフ」、「いやいやながら医者にされ」、「スカパンの悪だくみ」etc・・・と、どれも傑作ばかりです。
 
 哲学者ニーチェが「この人を見よ」(手塚富雄訳)の中でモリエールについて書いております。
 
 ・・・わたしの芸術家的趣味は、モリエール、コルネイユ、そしてラシーヌなどの名を、シェイクスピアのような野性的天才の猛威に対する防御として、多少腹立たしくは思いながら擁護する・・・
 
 やっぱりシェイクスピアが一番なんスね(笑)。
 
 シェイクスピアについてもニーチェは同書でこう言及しています。
 
 ・・・わたしがシェイクスピアの偉大さを表すべきわたし自身の表現を探すとき、わたしが見つけるのはいつもきまって次の言い方だ、すなわち彼はシーザーというタイプを心にやどしたのだ。ああいうタイプは、推測で書けるものではない・・・作家自身がそれであるか、ないか、それだけである。
 偉大な作家は、ただ自分自身の現実から汲んで書くのである・・・あとになってかれが自分の作品を担いきれなくなるほどに・・・
 
 ・・・わたしはシェイクスピア以上に悲痛な読み物を知らない。ひとりの人間が、こんなにまで道化になる必要があったからには、どんなにかれは苦渋の道をあゆんできたことか!
 ・・・世の人はハムレットを理解しているだろうか? 狂気の原因は、疑惑ではなくて、確かさを確保したいということなのだ・・・しかし、そういう感情をもつことができるためには、ひとは深くなければならない。深淵でなければならない。哲学者でなければならない・・・われわれはみな、真実に当面することを恐れている・・・
 
 
 ☆ さかしま
 
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 《デカダンの聖書》と呼ばれるユイスマンスの「さかしま」。学生時代、桃源社刊「世界異端の文学」シリーズで読みました。世界異端の文学ですよ、あーた。何だかワクワクしますでしょう? 翻訳は澁澤龍彦ですしね。
 
 内容は、実人生に厭いた貴族が屋敷の中に閉じこもり、そこで自分の趣味嗜好に合った芸術作品に囲まれた人工楽園を作るというお話です。
 
 退廃主義者である彼の嗜好は、文学ならボードレール、絵画ならルドンのこんな絵。あら、幻想的だわ(笑)。
 
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 あるいはモローのこんな絵。
 これはオスカー・ワイルドの戯曲でも有名な、洗礼者ヨハネの首を求めたヘロデ王の王女サロメですね。
 
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 サロメの絵を見ていたら、関係ありませんけど、マジシャンのデビッド&ダニアを思い出しました。私は彼らの早着替えマジックが大好きです。
 
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 ま、こんなふうに、主人公は今で言うオタクなわけです。
 ですから、今わたしが同じ事をするとすれば、ガメラや鉄人28号のフィギアや日活ロマンポルノのポスターに囲まれて暮らすんでしょうな。あはは(汗)。
 
 
 ☆ 快盗ルビイ
 
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 アメリカのミステリー作家・ヘンリー・スレッサーの作品です。日本ではハヤカワ・ミステリー文庫と論創社刊「ダーク・ファンタジー・コレクション」の中の一冊で翻訳されています。
 
 ルビイ・マーチンスンは公認会計士としてたくさんの収入を得ているくせに、自分はほんらい大犯罪者になるべき人間だと思いこんでいて、従弟のプー太郎である「ぼく」を巻き込んで完全犯罪を計画する。
 その計画はお約束のように毎回かならず失敗するのですが、とにかくルビイに振り回される「ぼく」が可笑しくて、読むたびに笑ってしまいます。大好きなシリーズです。
 
 本作は1988年に小泉今日子さん主演で映画化されました。クソつまらない作品でした。冒頭の話に戻るのですけど、スターさえ出しときゃ何とかなる的な安易な考えはやめていただきたいです。せっかくの素晴らしい原作が台無しになってしまいますから。だいたい原作のルビイは男性じゃないのよ。なぜそれをわざわざ女性に変えてまで小泉さん主演にしなければならないの?
 
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 とはいうものの、当時のキョンキョンが可愛かったのは事実です。顔が小さくて、ちょっとアゴがとんがっていて、ホント妖精でしたね、あの頃のキョンキョンは。
 
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ジェームズ・ディーン

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 今週も変な天気でしたね。北海道は大雨でしたし。
 こちら群馬でも、火曜日か水曜日か忘れましたけど、朝方ドカーンというもの凄い音がして「すわ、北朝鮮のミサイル襲来か?」と慌ててはね起きましたところ、これがカミナリなんですよね。でも、カミナリって大きなのが来る前にゴロゴロという予兆があるものじゃないですか。そういうのが無くていきなりドカーンですもの。いよいよおへそが盗られるのかと、おっかなかったです(笑)。
 
 テレビで放送された「エヴァンゲリヲン新劇場版:Q」(2012)を観たのですけど、何でしょうね、これは。どんどん意味不明になっていくんですけど。
 大概の作品がそうですけど、エヴァも最初のテレビ放映版がいちばん面白かったですね。続編が出るたびに変てこりんになっていく・・・
 
 水原希子さんが出ているスズキワゴンRスティングレーのCMがカッコいいですね。バックに流れる曲は「ウッドストック」の記事の中でご紹介したジャニス・ジョプリンの「Move Over」。しびれます。
 
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 リチャード・キールさんがお亡くなりになりました。
 私の世代にとっては「007 私を愛したスパイ」(1977)と「007 ムーンレイカー」(1979)のジョーズ役でお馴染みの俳優さんです。ジャッキー・チェンと一緒に「キャノンボール2」(1984)にも出演なさっていましたね。
 大好きな俳優さんでした。心よりご冥福をお祈り申し上げます。
 
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 しかしながら、今週もっとも注目を集めたニュースは、何といっても錦織圭選手の全米オープン決勝進出でしたね。
 残念ながら決勝戦では敗れてしまいましたけど、テニスの4大大会(グランドスラム)の決勝に日本人選手が残るなんて、快挙もいいとこです。
 それにしても、錦織選手と共に名前の挙がった世界のトップ選手たち・・・ジョゴビッチ、ツォンガ、フェデラー、マレー、チリッチ・・・みなさん有名な方たちばかりなんでしょうけど、私はまったく知りませんでした・・・私にとってテニス選手といえば、今でもボルグとマッケンローですからね・・・我ながら古いなぁ・・・あはは(汗)・・・
 
 いずれにせよ錦織選手がこれから野球のイチロー選手のように世界的なスーパースター選手になることを期待するばかりです。
 ところで、そのイチロー選手ですけど、かねてから彼を見るたびに風貌がジェームズ・ディーンに似ていると私は思っておりました。
 ということで、いささか強引ですけど(汗)、今回はジェームズ・ディーン主演の映画をご紹介したいと思います。
 
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 24歳で事故死したジェームズ・ディーンのまともな出演作は3本しかありません。
 まずは「理由なき反抗」(1955)です。
 
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 ジミー(ジェームズ・ディーンの愛称)は街の不良少年を演じます。大きな瓶に入った牛乳をごくごく飲むシーンが印象的でした。
 相手役は「ウエストサイド物語」(1961)のナタリー・ウッド。彼女は「刑事コロンボ」の記事でご紹介した「グレート・レース」(1965)にも出ていました。きれいなお姉さんですね。
 
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 次に「エデンの東」(1955)。
 
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 原作はジョン・スタインベック。私のブログでは小説「怒りの葡萄」と「朝めし」をご紹介したアメリカの文豪です。
 しかしながら、この映画を観たあとスタインベックの原作を読むと(ん?)という気持ちになりますよ。なぜなら原作は映画の中でジョー・ヴァン・フリートが演じた主人公の母親ケイト(原作ではキャシー)の話が大半を占めるからです。
 
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 この母親(キャシー)の部分から原作をちゃんと描いたのが、「ジョニーは戦場へ行った」(1971)のティシモー・ボトムズ主演のテレビドラマ「エデンの東」(1981)です。
 
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 キャシーを演じたのは、私が愛して止まない映画「ある日どこかで」(1980)のジェーン・シーモアでした。
 
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 好きだわぁ、ジェーン・シーモア。このドラマを私は観ていないのですけど、観てみたいです、ジェーンが出ているのなら。うっとりするほど美しいですものね、ジェーンは。大好きです。
 
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 映画の方に話を戻しますね。
 ジミーは父親の愛に飢えたナイーヴな青年を演じます。
 
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 ジミーが列車の屋根に無断乗車し、母親のいる町へ行くシーンが印象的でした。
 
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 また、レナード・ローゼンマン作曲のテーマ曲が秀逸です。歴代映画音楽中、最高の1曲と評価する人が多い美しい名曲です。ぜひヴィクター・ヤング・オーケストラ版で聴いてみてくださいね、ユーチューブにアップされていますから。
 
 本作の欠点はヒロインを演じたジュリー・ハリスでしょうね。だってあまり可愛くないんですもの。彼女は当ブログの記事「シャーリイ・ジャクスンのくじ」でご紹介した「たたり」(1963)の女霊媒師役が適役でしたね。
 
 そして、ジミー最後の出演作が「ジァイアンツ」(1956)です。
 
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 これは、テキサスの大牧場主が、新しい時代の波に翻弄されながらも、誇り高く生きてゆく物語です。
 原作者はエドナ・ファーバー。彼女は1931年と1960年に映画化された「シマロン」の原作者でもあります。このうち1931年度版で主役を演じたのは「ママの思い出」(1948)のアイリーン・ダンでした。
 「シマロン」も名作です。ぜひご覧になってみてください。
 
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 監督は、その「ママの思い出」や「シェーン」(1953)で有名な巨匠ジョージ・スティーヴンスです。
 
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 主人公の牧場主を演じるのは、ロック・ハドソン。
 
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 甘いマスクとマッチョな肉体が売りの、日本でいえば小林旭的な、昔風のハリウッド二枚目俳優です。
 彼の出演作では、他にドイツ軍の要塞を破壊するイギリス兵を描いた「トブルク戦線」(1967)が面白かったです。
 
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 ジーナ・ロロブリジーダと共演した「9月になれば」(1961)という楽しい作品もありましたね。ロロ(ジーナ・ロロブリジーダの愛称)も大好きです。
 
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 それにしても、本作で男の中の男を演じたハドソンが実はホモ太郎侍で、最後はエイズでお亡くなりになるとは・・・世の中わからんもんですなぁ・・・しみじみ・・・
 
 ハドソンのところへ嫁に来た東部の名門一族の娘を演じたのが、エリザベス・テイラー。この当時のリズ(エリザベス・テイラーの愛称)はホントきれいでした。
 
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 リズの出演作で最も有名なのが「クレオパトラ」(1963)です。
 この「クレオパトラ」は、20世紀フォックス社を倒産の危機に追い込んだ《映画史上空前の失敗作》として有名ですけど、そんなに悪い映画でしょうか? 私はそれほど悪い作品だと思わないのですけどね。シーザー役のレックス・ハリソンに風格があって素敵でしたしね。
 
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 そして、人妻リズに密かに想いを寄せているひねくれ者の牧童ジェット・リンクを演じるのが、我等がジミーです。
 
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 ハドソンの姉から遺言で僅かな土地を譲り受けたジミー。ところが、その土地から石油が出たから、さあ大変。次第に衰退していくハドソンとは逆にジミーは栄華を極めてゆく。しかし・・・というのが、おおまかなストーリーです。
 
 他の出演者では、メキシコ人女性と結婚するハドソンの息子を演じたのが、「イージー・ライダー」(1969)のデニス・ホッパー。この頃は真面目な若手俳優でした(苦笑)。
 
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 ハドソンの娘を演じたのが、キャロル・ベイカー。特に美人だと私は思わないのですけど、このヤフーブログには彼女の熱狂的なファンがいるみたいです(微笑)。
 
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 ジミーはスピード狂でした。下の写真はジミーが愛車ポルシェ・スピードスターを洗車しているところです。
 
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 そして、本作の撮影中、ジミーはポルシェ・550スパイダーで事故死します。自身が出場するレース会場へ行く途中の事故でした。
 
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 しかしながら、ブルース・リー同様、若くして死んだことによりジミーは伝説の人となります。
 三島由紀夫はジミーを「夭折の資格に生きた男」と呼びました。
 
 そんなジミーの魅力・・・それは新しさだと思います。だって、ロック・ハドソンを見ると、いかにも昔の二枚目だなと思いますけど、ジミーをいま見てもそれほど古さを感じませんものね。存在が新しいんですよね、ジミーは。
 伝説となる人物は必ず新しい何かをもたらします。当時の若者は、まだ潜在的であったかもしれませんけど、確実に顕在化しつつあった新しい時代の青年像を先取りして示してくれたジミーに熱狂したのです。
 
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 また、三島由紀夫は「不道徳教育講座」の中で、ジミーに関するこのような逸話を紹介しております。
 
 ・・・一体、見かけはヤクザっぽく、目つきもすごく、ひねくれているけど、内心は純情、気がやさしく、非常に心持ちがきれい・・・というような流行の青年像は、どこから出て来たのかと考えてみるに、結局「エデンの東」のジェームズ・ディーンに帰着するようである。こういうタイプは、女性の中の母親性を無類に刺激するらしく、映画評論家のK・K女史(※注・たぶん小森和子さん)のごときは、ディーンの死をきいてさめざめと泣き、ごはんもノドをとおらず、ディーンの一周忌にはJ・Dと頭文字を焼き込んだ葬式饅頭を知友に配り、私をつかまえては
「あなた、ニューヨークで、ディーンのよく行くレストランで、ディーンのいつも坐っていた席でごはんをたべてたって言ってたけど、そのときあなた、どんなズボンはいてた?」
 と訊くから
「さァ忘れちゃった」
 と答えると、
「そのとき穿いてたズボンを私に頂戴。ディーンの坐ってた場所に坐ったズボンを」
 と、おどろくべき要求を出し、つい先だって、ついにディーンの墓参のためアメリカへ旅立ちました・・・
 
 それでは最後にジェームズ・ディーンについてジャン・コクトーが書いた文章(梁木靖弘訳)を引用して、本日はおしまいにしたいと思います。
 
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 ・・・不服従は青春最高の贅沢だと考えられよう。だから、あまりに青春が自由すぎて、不服従が不可能であるという時代ほど悪いものはない。ジェームズ・ディーンは、私の眼には、習慣に対する不服従の一種の大天使と映る。そして彼の最高に美しい不服従の行為とは、約束された栄光に対して彼の死がつきつけた恐るべき拒絶のことではないか? 彼はいわば教師たちに舌を出して、教室の窓から逃げ出す小学生のように、この世から出ていった・・・
 ・・・ひとつの幻覚・・・一睡の夢・・・ひとりの若者、彼はあまりに速くつっ切ったので、進路の途中のメカニズムをひとつとして汚さない・・・これがジェームズ・ディーンであり、この故に多くの若者たちが、彼を大理石の彫刻より堅い雪像に仕立てあげたのだ・・・
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