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Channel: 行政書士ふじまるの趣味のページ
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ブラック・レイン

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 今年のプロ野球日本シリーズは、東北楽天ゴールデンイーグルスの優勝。
 おめでとうございます。
 北京オリンピック野球日本代表監督の時、さんざん世間のバッシングを浴びた星野さんが、ようやく汚名を挽回いたしましたね。良かったです。
 
 そして、高倉健さんの文化勲章受賞、こちらもおめでとうございます。
 
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 奇しくも高倉さんも星野さんも明治大学出身なんですよね。
 明治大学って、入るのはそれほど難しい学校ではないですけれど、何となくユニークな人材を輩出するイメージがありますよね。
 ビートたけしさんに西田敏行さん、宇崎竜童・阿木燿子夫妻。最近では俳優の向井理さんやサッカーの長友祐都選手、TBSアナウンサーの安住紳一郎さん、山Pこと山下智久さん、そして北川景子さんと井上真央さん、などなど・・・
 OBの末席を汚す者として、私もがんばらなくっちゃ・・・あはは(汗)・・・
 
 さて、明治大学の大先輩、高倉健さんは東映の任侠映画に始まり、様々な映画にご出演なさいましたが、何と言っても素晴らしかったのは「男はつらいよ」シリーズの山田洋次監督の手になる「幸福の黄色いハンカチ」(1977)です。
 
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 ピート・ハミル原作となるこの映画は、健さん演じるところの網走刑務所を出所したばかりの元炭鉱夫の中年男が、当時まだ新人だった武田鉄矢さん・桃井かおりさん扮するヤング二人組と共に、倍賞千恵子さん演じる奥さんの待つ夕張へ旅をするという、言わばロードムービーです。
 
 40代後半の健さんが、そりゃあカッコいいんですわ。背が高くて、精悍で。
 ラストシーンには誰もが思わず涙することでしょう。
 武田さんと桃井さんの演技も絶妙。
 まだご覧になっていない方には絶対に観てもらいたい日本映画の傑作です。
 
 そんな健さんは外国映画にも何本か御出演なさっています。
 シドニー・ポラック監督の「ザ・ヤクザ」(1974)なんて作品もありましたな。ロバート・ミッチャムと共演したやつ。私が中学生のとき公開されました。
 
 で、今回は健さんが出演した外国作品の中から、ちょうどB級映画の特集をしていたところですので、その第6弾としてリドリー・スコット監督作品「ブラック・レイン」(1989)を取り上げようと思います。この作品は松田優作の最後の出演作としても有名です。
 
 リドリー・スコット監督は、「エイリアン」(1979)でゴシック調の暗い世界観を自分のものにした後、フィリップ・K・ディックの小説「アンドロイドは電子羊の夢を見るか?」を原作とする「ブレードランナー」(1982)で世界的な名声を得ます(公開当初は人気ありませんでしたけど)。
 
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 この作品に描かれた、乱立する高層ビルの群れ、炎を吹き上げる高い煙突、降りしきる酸性雨、ビルの壁面いっぱいに映し出された「強力わかもと」や「コカ・コーラ」の広告といった未来社会のイメージは、後のSF映画に決定的な影響を与えます。
 
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 この「ブレードランナー」のイメージを、そっくりそのまま日本の大阪へ移し変えて(本当は東京を舞台にしたかったそうですけど)作ったのが「ブラック・レイン」なのです。
 
 殺人を犯した日本のヤクザ佐藤(演じるのは優作)を日本へ護送してきたニューヨーク警察の二人の刑事(演じるのはマイケル・ダグラスとアンディ・ガルシア)は、ヤクザ一味の策略により空港で佐藤をとり逃がしてしまう。
 仕方なく二人は、見知らぬ日本の地で、逃した佐藤を探し求める・・・というのが大まかなストーリーです。
 ジーン・ハックマン主演の「フレンチ・コネクション2」(1975)や、ジャッキー・チェンとクリス・タッカーが共演した「ラッシュアワー」(1998)のような、いわゆる《異文化に戸惑う刑事もの》ジャンルの作品ですね。
 
 この作品では大阪の街が、まるで「ブレードランナー」の未来都市のように描き出されます。
 道頓堀川に架かる戎橋のわきの巨大なグリコのネオンサインと、そのすぐそばにある《クラブみやこ》ということにされた未来的なデザインのキリンプラザ大阪ビル(現在はもう無い)。
 
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 ステンドグラスが美しい阪急梅田駅構内(こちらも現在は改装されてもう無い)。
 エイリアンの棲家のような新日鉄堺工場。
 なぜかニューヨークのように通りのいたる処から蒸気を噴き出している神戸の元町商店街。
 そして、リドリー・スコット監督が《魔都》と呼んだ、風俗店が建ち並ぶ十三の繁華街。
 
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 サラリーマン時代、大阪に1年ばかりいた経験があり(当時は江坂に住んでいました)、大阪大好き人間の私としては、これらの風景が観られるだけで嬉しくなってしまいます。
 
 松田優作は、もちろん鬼気迫る熱演を見せてくれます。
 
 ヤクザの大親分役の若山富三郎さんは、さすがの貫禄。
 
 前回ご紹介した「コミック雑誌なんかいらない!」(1986)の内田裕也さんが、佐藤の子分役で出演しています。うまいです。
 
 うまいと言えば、ヤクザを演じたガッツ石松さんも非常に演技が上手です。ガッツさんはテレビドラマ「北の国から」でも名演技を見せてくれていましたけど、俳優の才能があるんですね。
 
 また、若山親分の手下役の安岡力也さんは、撃たれて死ぬ場面で手に持った機関銃を上空に乱射しながら倒れていきますが、この演技が評判となり、後に「リキヤ・スタイル」と命名されたそうです。
 
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 高倉健さんは、ニューヨークから来た刑事の通訳兼世話係を命じられた、英語が堪能な松本刑事役です。
 
 この松本刑事、マイケル・ダグラスと一緒にうどんを食べるシーンでは(「ブレードランナー」もそうでしたけど、リドリー・スコット監督は画面に日本食を出すのが大好き)、とぼけた表情で「ペッパー?」とか言ってダグラスのうどんに七味を振ってあげるし、クラブみやこでは、なぜか変てこりんなトロピカルカクテルを飲み(健さんならウィスキーの水割りかロックでしょうに)、さらにはアンディ・ガルシアとステージ上でレイ・チャールズを熱唱します。日本映画では絶対にありえないシーンです。
 でも、こういうお茶目な健さんも、私は大好きよ。
 
 この「ブラック・レイン」、出来としては紛れも無くB級作品ですけど、松田優作や高倉健さんらの熱演が観られる、たいへん面白い作品です。私は大好きです。
 どこのレンタル店にも置いてあるはずですから、まだご覧になっていない方はぜひどうぞ。
 健さんと優作の勇姿を観てくださいね。

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