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ヴィスコンティ「家族の肖像」

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 最近、心臓が苦しくて息が切れます。もう年ですね。そのうちポックリ逝くかもしれません。
 
 CHAGE and ASKAのASKAが覚醒剤所持容疑で逮捕されました。昨年、週刊誌で覚醒剤使用疑惑が報道された時には否定していたのに、やはりやっていたのね。清原さんの方は大丈夫でしょうか?
 
 《秒速で1億円稼ぐ男》与沢翼さんが破産したとか。フェラーリやロールスロイスに乗ってよくテレビにご出演なさっていたのに、一体どうしたんでしょうね? せっかく稼いだお金をぜんぶ浪費しちゃったんですかね? 生まれてから死ぬまで貧乏なワタクシには、こういう人たちの頭の中が理解できません。
 
 小学館発行の漫画雑誌「ビッグコミックスピリッツ」に連載していた人気マンガ「美味しんぼ」(原作・雁屋哲、作画・花咲アキラ)が、福島の原発事故に関連した記述への批判を受けて一時連載を休誌するそうです。
 福島第一原発の取材から戻ってきた主人公たちが体の異常な疲労感を覚えたり、とつぜん鼻血を流したりする記述が「風評被害を助長する」、「あの程度の量の放射線では健康に影響は無い」と批判されているみたいですけど、本当に大丈夫なんでしょうか? 
 放射能の影響は何十年も経たないと結果が出ませんからね。いま福島第一原発に比較的近い地域に住んでいらっしゃる福島県人は、集団で人体実験を受けているようなものです。それで何十年後かに病気や障害が発生しても、もはや誰も責任を取らないのです。いつものやり口です。
 いま「安全だ。心配ない」と声高に主張している連中は家族親戚一同で福島に移り住め・・・私はこう言いたいです。
 
 「ヤクオフ!」のコマーシャルに出ている女の子が気になりまして、調べましたところ「でんぱ組.inc」というグループに所属している夢眠ねむさん(へんな芸名)という方でした。たぶん《不思議ちゃんキャラ》の女の子なんでしょうけど、妙に人を惹きつける顔と表情の持ち主ですよね。好みです。
 
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 さて、前回はパゾリーニ監督の「王女メディア」(1969)についてお話いたしましたけど、芸術的な映画の話はまだまだ続きまして、今回はルキノ・ヴィスコンティ監督の作品を取り上げます。
 
 ヴィスコンティに関してはこれまでも何度か言及しております。たとえばシャーロット・ランプリングの記事の中で「地獄に堕ちた勇者ども」(1969)を、池田昌子さんが吹き替えをしたラウラ・アントネッリ主演の「青い体験」(1973)の記事の中で「イノセント」(1976)を。
 素晴らしい映画監督ですよね。ひとことで言うと美の完全主義者です。その意味では日本の溝口健二監督に近いかもしれません。
 
 ただ溝口監督もそうでしたけど、ヴィスコンティも極端にいい作品と悪い作品に分かれるんですよね。成功作はこの上もなく素晴らしいけど、失敗作は目も当てられないというような・・・
 
 代表作とされている「夏の嵐」(1954)や「山猫」(1963)、アルベール・カミュ原作の「異邦人」(1968)、トーマス・マン原作の「ベニスに死す」(1971)、ディズニーランド城のモデルとなったノイシュヴァンシュタイン城を造ったことで有名なバイエルン国王ルートヴィヒ2世の生涯を描いた「ルートヴィヒ」(1972)などは、正直申しまして、私にはピンと来ませんでした。
 
 初期のヴィスコンティ作品の中で、私の最もお気に入りなのは「熊座の淡き星影」(1965)です。
 姉弟による近親相姦をテーマにしたこの作品は、主演のクラウディア・カルディナーレ(彼女はヴィスコンティ作品の常連でもある)の美しさと相まって、一篇の詩のようなとても美しい作品に仕上がっております。
 
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 他には「若者のすべて」(1960)や「地獄に堕ちた勇者ども」も好きなんですけど、私の最も好きなヴィスコンティ作品が、今回のタイトルになっている「家族の肖像」(1974)なのです。
 
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 古い家族の肖像画をコレクションするのが唯一の趣味である独身の年老いた大学教授がおります。彼は大きな屋敷で家族の肖像画に囲まれながら静かで平穏な日々を過ごしておりました。
 
 大学教授を演じるのは、バート・ランカスター。アメリカの俳優ですけど、ヴィスコンティ監督の「山猫」を初めとしてヨーロッパ映画にも多数出演した名優です。
 そうそう彼は当ブログの記事「さよならミス・ワイコフ」の中でご紹介した「泳ぐひと」(1968)というけったいな映画にも出演していましたね。これなんか今の与沢翼さんに観せてあげたいような・・・
 
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 その教授の屋敷へ、ある日突然、騒がしい大金持ちのマダム母子が闖入してきて、屋敷の今は誰も使っていない上の階の部屋を借りたいと申し出る。教授は固辞するものの、マダムは無理やり部屋を借り受ける。
 
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 借りた部屋をマダムが使うのかと思いきや、マダムはその部屋を自分の愛人に使わせる。愛人の青年は教授の許可なしに勝手に部屋の改装工事を始める。激昂した教授は青年を屋敷から追い出そうとするが、その青年が意外にもクラシック音楽や絵画など古典芸術に造詣の深いインテリだと知るや、急に青年に対する興味が湧いてきて・・・というのが大まかなストーリーです。
 
 愛人の青年を演じるのは、ヘルムート・バーガー。パゾリーニ監督同様ホモで有名だったヴィスコンティ監督の《愛人》でもあった美男子です。現在の俳優さんで言うと、「エド・ウッド」(1994)に出演し、今や大スターとなったジョニー・デップに似たタイプの二枚目です。
 
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 ヴィスコンティ映画でその魅力を存分に発揮したバーガーですが、ヴィスコンティの死後はパッとせず、スペインのB級監督ジェス・フランコの「フェイスレス」(1987)に出演したりしていたのは、当ブログの記事「刑事コジャックと警部マクロード」に書いた通りです。
 
 しかしながら、私がこの作品で強調したいのは、バート・ランカスターでもヘルムート・バーガーでも無く、大金持ちのマダムを演じたシルヴァーナ・マンガーノなのです。
 
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 好きだなぁ、シルヴァーナ・マンガーノ。
 若い頃のシルヴァーナは、「にがい米」(1948)でのように、ムチムチの太腿あらわにマンボを踊る、ジーナ・ロロブリジーダやソフィア・ローレンみたいなセクシー女優でした。
 
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 ところが、この人が本領を発揮するのは中年以降です。
 前回ご紹介したパゾリーニ監督の「アポロンの地獄」(1967)からでしょうか、げっそりと痩せ、すっかり油っけが抜けちゃって、眉毛を剃っちゃうのは。剃った上にペンで眉毛を描いているんですが、それがまた大胆なカーブを描いていて、あんなすごい眉毛を見たのは、ヒッチコック監督の「めまい」(1958)のキム・ノヴァク以来でした。
 
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  とにかく、中年以降のシルヴァーナは、表情の無い、人工的な、無機質的な、彫刻のような姿に変身するのですが、これがまたいいんですわ。そこはかとない色気があって、「心の旅路」(1942)のグリア・ガーソンのような気品を漂わせていて、おびえたような目つきがとても可愛くて。
 そんな彼女の美しさが最もよく出てたのが、同じパゾリーニ監督の「テオレマ」(1968)です。作品自体はどうしようもなく退屈でしたけど、シルヴァーナは最高にきれいでした。
 
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 本作でも、わがままで自己中心的な金持ちマダム役のシルヴァーナが、突然ずかずかと屋敷へ押し入ってきて、静かだった教授の生活をひっちゃかめっちゃかにします。高飛車な態度もカッコ良くて、この作品の彼女はほんと素敵でした。
 噂によると、ヴィスコンティ監督は、最初この役をオードリー・ヘップバーンにやらせようとしたとか。とんでもない話です。シルヴァーナ以外にはありえません、この役は。
 
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 シルヴァーナの魅力爆発のこの作品は、同時にヴィスコンティ監督の最高傑作でもあります。
 ちょい役ですけどドミニク・サンダとクラウディア・カルディナーレも出ています。
 生涯に渡り古き良き貴族社会の気品と格調を追求し続けたヴィスコンティの華麗なる世界。ぜひいちど堪能してみてください。

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