世界陸上モスクワ大会、男子100メートルの優勝はウサイン・ボルト、女子100メートルの優勝はS・A・フレーザー・プライスと、ジャマイカ勢の圧勝でしたね。強い、ジャマイカ!
TBSの「半沢直樹」というドラマが大人気だという噂を聞き、日曜日に観てみました。確かに面白かったです。むかつく支店長に一泡吹かせるシーンは痛快でした。NHKで放送した「ハゲタカ」にちょいと似たドラマですね。
しかし、これが視聴率30パーセントですか? それなら「八重の桜」だって、もう少し数字を取っても良さそうなものですのにね。やはり主演の堺雅人さんの人気が大きいのでしょうか? 管野美穂ちゃんをお嫁さんにしたばかりだし、いま絶好調ですね、彼は。
さて、話はガラリと変わりまして、真夏のホラー特集の第2弾。
もっともホラー特集といっても、根が怖がりな私ですから、本当におっかない作品はご紹介できませんけどね・・・あはは(汗)・・・
今回の作品は映画なのですけど、これも絶叫系のスプラッター・ムービーなどではなくて(そんなものを観たら私は心臓が破裂して死んでしまいますう・・・)、ホラー映画の古典である「カリガリ博士」(1920)というサイレント(無声)映画です。
映画少年だった私は、中学生の時、映画評論家・佐藤忠男氏の「世界映画100選」(秋田書店)という本を買って、そこに紹介されている映画をぜんぶ観てやろうと意気込んでおりました。
しかし、当時はビデオもDVDも無い時代でしたので、北海道の北見市という、道東では大都会ですが日本全体から見たらたいしたことのない小さな市に住んでいた私には、それらの映画を観るチャンスは、ほとんどありませんでした。「カリガリ博士」も佐藤さんの本の中で紹介されていましたけど、北見にいる間は観ることは不可能だろうと半ば諦めておりました。
ところが、当時は北見市にある唯一の大学であった北見工業大学の学園祭で「カリガリ博士」が自主上映されるという内容のチラシが、電信柱に張ってあるじゃあーりませんか。
嬉しかったですねぇ。中坊だった私は勇んで北見工業大学のキャンパスへ乗り込んでいきました。上映場所が分からないので、そこらへんをうろついている大学生に尋ねてみると
「あぁ、ガリガリなんとかというやつね? あれは確か××教室だよ」
と、まったく興味の無い様子。目的地である教室にたどり着いても、観客は私を含めてほんの数名ほど。もちろん中学生なんか私以外にはおりません。というわけで、実に寂しい環境の中、この映画を観たのをよーっく憶えております。
カリガリ博士という謎の人物が、23年間眠り続けているという「眠り男」を見世物にして、各地を巡業して回っていた。ところが、その巡業先では、必ず不可解な殺人事件が起きる・・・カリガリ博士が怪しいと睨んだ青年は、真相を解明すべく、カリガリ博士の見世物小屋へ侵入するが・・・
最初にネタばれして申し訳ないのですが、本作は狂人の妄想を描いた作品です。しかも、それを当時ドイツで盛んだった表現派の美術家たちに描き出させた作品です。ドイツ表現派の美術家たちは、狂人の目に映る世界はかくの如しとばかりに、奇怪に歪んだ壁や道路などのセットを創り上げました。
前衛芸術と結びついたお陰で、それまで娯楽としか考えられていなかった映画が芸術作品の仲間入りした、本作はその記念碑的な作品なのです。
ここに引用した写真を見てもステキでしょう? イマジネーションがくすぐられるでしょう? さすがはドイツ表現派! 素晴らしい!
カリガリ博士の手先となって誘拐や殺人をおこなう「眠り男」も、スタイリッシュで実にいい感じでした。
本作は映画史に残る名作です。ユーチューブでも観れますので、一度はご覧になっていただきたいと思います、教養という点からも。
・・・と、これだけで終わるのはつまらないので、あと2つばかし私の大好きなホラー映画をご紹介しますね。
まずは「フランケンシュタインの花嫁」(1935)
ボリス・カーロフ主演で大ヒットした映画「フランケンシュタイン」(1931)のラストで、フランケンシュタイン博士の造ったモンスターは、炎上する館と共に地上から消え去った・・・
本作は、夫である詩人シェリーや夫の友人である詩人バイロンから、物語の続きを読みたいとせがまれた原作者のメアリーが、二人に話の続きを語りだすシーンから始まります。
それによると、モンスターは、まだ生きていた。
そして、フランケンシュタイン博士は、新たな計画に着手していた。それは女のモンスターを造り、男のモンスターとかけ合わせて、子供を産ませるというものだった。
かくして、女性の死体をかき集め、人造人間造りが始まる。
ようやく完成した女モンスター。上記の写真のように、自分だって充分に奇怪な姿をしているくせに、男のモンスターを怖がり、そばへ寄りつこうとしない。
失恋のショックで自暴自棄になった男モンスターは、すべてを破壊して、今度こそ自分も滅びる・・・というのですけど、何だかなぁ・・・モンスターが悩める思春期の男の子になってもなぁ・・・
本作の最大の魅力は女モンスターです。とにかくこいつが可笑しい。何でこんな髪型になったのか分かりませんけど、カミナリの直撃を受けたようなヘア・スタイルで、ニワトリのように目や首をキョロキョロ動かしながら、時々「ギャー」なんて叫ぶんですもの。見ていて飽きません。大好きなキャラクターです。
演じているのは、エルザ・ランチェスターという女優さん。原作者のメアリー・シェリーも、彼女が二役で演じています。
また、このエルザさんは、当ブログの第1回目にご紹介して、ヒッチコックの「鳥」(1963)の記事においても再びご紹介した、私の大好きな映画「黒ひげ大旋風」(1968)で、占いの得意な黒ひげ旅館の女将さんを演じていらっしゃいました。
若い頃は、人気テレビシリーズ「奥様は魔女」でサマンサを演じたエリザベス・モンゴメリーにちょいと似ていらっしゃいましたね。したがいまして「フランケンシュタインの花嫁」をいまリメイクするとしたら、女モンスター役はニコール・キッドマンで決まりでしょうね。あはは。
最後にご紹介するのは「ローズマリーの赤ちゃん」(1967)。
ニューヨークにある年代モノのアパートに引っ越して来たガイとローズマリーの新婚夫婦。俳優であるガイは、自分の成功と引き換えに、産まれてくる赤ん坊を悪魔に売り渡す・・・という手塚治虫先生の名作「どろろ」のヒントになったようなお話です。
果たしてローズマリーは悪魔の手から赤ちゃんを守れるのか?
(講談社「週刊20世紀シネマ館」43より)
ガイを演じるのは、「グロリア」(1980)の監督でもあるジョン・カサヴェテス。
ローズマリーを演じるのは、ミア・ファロー。70年代に大活躍した演技派女優です。本作でも、最初は可愛いかったミアが、物語の進行と共に病的に痩せ細っていくところは、お見事でした。
物語の舞台となるのは1884年に建てられた歴史的建造物「ダコタ・ハウス」。このアパートの住民だったジョン・レノンが射殺された場所としても有名です。
監督はロマン・ポランスキー。彼はこの作品の後、チャールズ・マンソン率いる狂信家集団に、女優の奥さんシャロン・テートを殺害されます。美人の女優さんでしたのにね、まったく酷い話です。
本作は、「エクソシスト」(1973)と並ぶ都会派ホラー映画の傑作です。ウギャー!という怖さはありませんけど、ゾクゾクする怖さをお楽しみください。
今回ご紹介した映画は、3本とも名作中の名作ですから、必ず観てくださいね。素晴らしい作品ですよ。