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Channel: 行政書士ふじまるの趣味のページ
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イージー・ライダー

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 今日もまた涼しいんですよね。
 西日本は猛暑だそうですけど、こちら群馬は8月に入ってもパッとしない天気が続いております。やはり異常気象なのでしょうね。
 
 異常と言えば、麻生副総理のナチス発言が問題となっていますけど、「またか」という感じですよね。麻生さんってもともと頭があまり良ろしくない方なのですから、周りのスタッフがちゃんとしないとね。いないんでしょうか、しっかりとしたお付きの人間は。麻生さんのファッションを見ただけで、この人がドキュンな人だというのは一目瞭然なわけですから、周りが手厚く、注意深く、念には念を入れてサポートしなければ、何回でも失言しますよ、このお方は。
 
 前半のクライマックスである鶴ヶ城の攻防戦が終わり(それにしてもあまりたいした事がなかったなぁ・・・)、「八重の桜」に対する私の興味は急速に薄れつつあります。そんな中でも、最近気に入っているのが、玉山鉄二さん。彼は映画版「ハゲタカ」(2009)でも素晴らしい演技を見せましたし、もうすっかり演技派俳優ですね。存在感があります。
 
 その「八重の桜」にも出演している生瀬勝久さん主演の深夜ドラマ「警部補・矢部謙三2」。これが面白い。「あまちゃん」と並んで最近わたしが楽しみにしている番組です。
 生瀬さんは、昔「探偵ナイトスクープ」に出ていた頃は槍魔栗三助(やりまくりさんすけ)という芸名でしたけど、この芸名はもう捨てたのでしょうか?
 
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 さて、前フリはこれくらいにして、今日の本題に入りたいと思います。
 
 前回、ヌーヴェルヴァーグの代表作であるゴダール監督の「気狂いピエロ」(1965)をご紹介いたしましたが、ヌーベルヴァーグと来れば、次はアメリカン・ニューシネマですよね。フランスに続き、アメリカでも新しい感性による映画が作られました。
 「俺たちに明日はない」(1967)、「真夜中のカーボーイ」(1969)、「ファイブ・イージー・ピーセズ」(1970)など・・・これらアメリカン・ニューシネマの代表作が、今回ご紹介する「イージー・ライダー」(1969)です。
 
 メキシコからのコカインの密輸入で大金を手に入れたキャプテン・アメリカとビリーの二人が、改造した大型バイク、ハーレー・ダビッドソンに乗ってカリフォルニアからニューオリンズまで気ままな旅をするというお話です。
 いいですよね、バイクでの気ままな旅なんて。憧れますよね、特に若い頃は。実際、この映画の影響で、バイクで旅に出る若者が世界中で続出したそうです。
 旅に出れない奴は、この映画のパネルを部屋に飾っていましたね。私も欲しかったなぁ、「イージー・ライダー」のパネルが・・・
 
 そうじゃなくても、当時は若者が自分探しの旅に出る時代でしたものね・・・大きなリュックをしょって・・・カニ族などと呼ばれて・・・私が住んでいた網走市にもそんな若者たちが大勢来ていました・・・オホーツク海を見に・・・そんな事しても何も変わらないのにね・・・
 
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 また二人の乗るバイクがカッコいいんですわ。特にキャプテン・アメリカの乗る方のバイクは、チョッパーハンドルと言う大きく曲がったハンドルで、反り返るような格好でシートにまたがって・・・あんな姿勢で長時間バイクに乗っていたら確実に腰を悪くすると思うのですが、大丈夫なんでしょうか?
 
 キャプテン・アメリカ(長いので以下はキャプと略す)を演じるのは、ピーター・フォンダ。ビリーを演じるのはデニス・ホッパー。フォンダが製作で、ホッパーが監督、そして二人で脚本を書いています。
 
 最初の空港でのコカインの取引シーンが好きです。ものすごい騒音と共に次々と飛行機が頭上に降りてくる滑走路手前の道路で、ロールスロイスに乗った金持ちにコカインを売り、大金を手に入れるキャプとビリー。見事なシチュエーション。こういう場所をセレクトした感性の鋭さ。素晴らしいです。
 
 その金を持ち帰った二人は、自分たちのヤサでビニールのチューブに金を詰め、バイクのタンク内に隠す。このシーンでかかる音楽が、ステッペン・ウルフの「プッシャー(麻薬の売人の意味)」。いい曲です。
 
 で、すっかり準備の整った二人は、いよいよ謝肉祭を見物しにニューオリンズへと出発します。
 出発前にキャプは腕時計をはずして砂漠へポイ。もう俺たちは時間には縛られねえよ、という意思表明なんでしょうね。ずいぶんカッコいいんですけど、捨てた時計はひどく安そうな代物で、あれがもしロレックスやオメガだったら、絶対に捨てなかったと思います、私は。
 
 砂漠の中を遠くへ消えてゆくバイクに乗った二人。と、ここでタイトルが現れて、おなじみステッペン・ウルフの「ワイルドで行こう」。この映画の中でもっともワクワクするシーンです。
 私はタイトルシークエンスの中でのピーター・フォンダの、片足を折り曲げてシートの上に乗せ、リラックスした感じでバイクを運転している姿が好きです。
 
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 その後、二人はパンクの修理で立ち寄った農家で昼食をごちそうになったり、ヒッチハイクのヒッピー仲間が共同生活をするキャンプに寄ったりするのですが、特に面白い話ではありません。というか本作のストーリー自体がたいして面白くありません。この作品は意味的にストーリーの面白さを追求する映画ではないのです。
 そうじゃなくて、本作は劇中で頻繁に流れるザ・バースやジミー・ヘンドリックスたちの曲を聴きながら、何かを感じる映画なのでしょう。こういうタイプの映画はそれまで存在しませんでしたので、そこに新しさがありました。だから本作は当時の若者たちに熱狂的に受け入れられたのです。自分たちと同じ感性で作られた映画が初めて現れたと思って。同時代性を感じられる映画にやっと出会えたと思って。
 
 ちなみに、ステッペン・ウルフの「ワイルドで行こう」があまりにも有名なので、「イージー・ライダー」の中ではギンギンのロックばかりが流れると思っている方がいらっしゃるかもしれませんが、実際にはフォーク調の曲が多いです。曲を提供しているのが、ザ・バースやザ・バンドですもの、フォークですよね。
 ラストシーンでは、本当はボブ・ディランの曲を使いたかったそうですけど、ディランに断られた為、仕方なくザ・バースのロジャー・マッギンに似たような曲調の「イージー・ライダーのバラード」を書いてもらったそうです。でも、これはいい曲です。
 
 ある町で無断でパレードに参加したために逮捕されたキャプとビリーは、留置場の中で酔っ払いの弁護士ジョージと知り合います。
 ジョージを演じるのは、ジャック・ニコルソン。狂気を演じるのが得意なアメリカを代表する演技派俳優です。
 「俺たち、ここから出られるかね?」
 と尋ねるビリーにジョージはこう答えます。
 「白を殺してさえいなければ何とでもなるさ」
 怖いセリフです。
 ちなみにテレビ版では、ニコルソンの吹き替えを俳優の北村総一郎さんが担当していました。とても上手かったです。
 
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 すっかりジョージと仲良くなったキャプとビリーは、3人でニューオリンズへ向かうことにします。しかし、途中の町で野宿中に、3人の長髪や自由な生き方に反発した町民に襲撃され、ジョージは撲殺されてしまいます。
 
 ようやくニューオリンズに到着したキャプとビリーは、ジョージが行きたがっていた南部一と評判の売春宿へと向かい、そこの売春婦二人と連れ立って四人で夜の街へ謝肉祭の見物に出かけます。
 
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 売春婦の一人を演じるのが、カレン・ブラック(上の写真の向かって右端)。
 ガチャ眼(雑誌「映画秘宝」のライターの表現。うまい!)で決して美人ではありませんが、私が中学生や高校生の頃はなぜか大人気で、ヒッチコックの最後の作品である「ファミリー・プロット」(1976)や「カプリコン1」(1978)などの話題作に次々と出演しておりました。
 
 なかでも「エアポート75」(1974)は忘れられませんね。パニック映画ブームのさなかに公開されたこの映画は、セスナ機と空中衝突して操縦士がいなくなったジャンボ機を、キャビン・アテンダントであるカレン・ブラックが操縦するという、とても面白い娯楽大作でした。「エクソシスト」(1973)のリンダ・ブレアーも出演していましたね。
 なぜこんな大作の主演というかヒロインがカレン・ブラックなのか、今もって私には疑問です。ただし、映画は素晴らしい出来でした。私はこの作品を愛しています。
 
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 さて、「イージー・ライダー」の話に戻りまして・・・謝肉祭を見物に出かけた四人は、墓地でLSDを飲みます。このLSDによる幻覚シーンが素晴らしい。工事現場の地面を叩く音が聞こえるあたりは、やたらリアルな感じがします。
 もっとも実際にLSDを体験したことのある村上龍氏は「あのシーンは最低」と発言しておりましたけど。でも、その村上さんがLSDや他の麻薬による幻覚シーンを映像化したのが、映画版「限りなく透明に近いブルー」(1979)ですもんね。「おまえが言うな、バカ」という感じですよね。あはは。
 
 その村上龍さんの「だいじょうぶマイ・フレンド」(1983)という最低映画に出演して、すっかり俳優としての地位を下げたピーター・フォンダとは対照的に、デニス・ホッパーの方は「ブルーベルベット」(1986)以降、存在感のある俳優として2010年にお亡くなりになるまで第一線で大活躍しましたよね。私は「トゥルー・ロマンス」(1993)での、息子をかばってギャングに殺される父親役が好きでした。いい役者さんでしたね。
 
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 本作のラストシーンは「あの胸にもういちど」(1968)と同じくらいショッキングでした。
 
 アメリカン・ニューシネマの代表作「イージー・ライダー」。
 まだ観ていない方はぜひご覧になってくださいね。すごく面白いというわけではありませんが、やはりいい映画ですよ。

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