昨夜のフィギュアスケート・グランプリシリーズ上海大会で、公式練習中に他の選手と衝突してあごを7針も縫う大怪我をした羽生選手。しかしながら、彼は怪我にもめげず試合に出ました。えらい。立派です。素晴らしい。
ゆるキャラグランプリで群馬県の《ぐんまちゃん》が優勝。おめでとうございます。
最近、テレビで剛力彩芽ちゃんを見かけないのですけど、どうしたのでしょうか? ほんの少し前まではテレビをつければすぐに出てきたのに。飽きられちゃったのでしょうかね? 私は可愛いと思うのですけど。
当ブログの記事「気になる女性たち」でご紹介したファッション評論家の大内順子さんがお亡くなりになりました。知的で上品でミステリアスな素敵な女性でした。心よりご冥福をお祈り申し上げます。
お亡くなりになったといえば、自動車評論家の徳大寺有恒さんも亡くなられたんですよね。徳大寺さんの「間違いだらけのクルマ選び」を、私は愛読しておりました。こちらも心よりご冥福をお祈り申し上げます。
先日、お披露目されたカワサキの新型バイク「NinjaH2R」は、1000ccの4気筒エンジンにスーパーチャージャーがついて、パワーは何と300馬力! ドッヒャー、バイクで300馬力ですよ、あーた。ホンダのスーパーカー「NSX」でさえも280馬力なのに。おっそろしい話です。でも、欲しいなぁ・・・新世紀エヴァンゲリオン初号機みたいなルックスもいけてるし・・・ただ、お金がね・・・あはは(汗)・・・
さて、本日は文化の秋にふさわしく、またまた芸術性の高い映画のお話を・・・フェデリコ・フェリーニです。
日本でも人気の高い映画監督ですから、このブログを読んでくださっている方の中にも、フェリーニのファンがたくさんいらっしゃることでしょう。もちろん私も彼の大ファンです。
フェリーニは脚本家として映画人生をスタートさせ、ロッセリーニ監督の名作「無防備都市」(1945)などの脚本を書きました。
「無防備都市」も良い映画でしたよね。パゾリーニ監督の「マンマ・ローマ」(1962)に出演したアンナ・マニャーニが、ドイツ軍の車を追いかける途中で銃殺されるシーンは、たいへんショッキングでした。
いま名前が出たパゾリーニ監督ですけど、オムニバス映画「ロゴパグ」(1963)の第3話「意志薄弱な男」を、彼は監督しております。
その中に登場するオーソン・ウェルズ(ホント色んな作品に出ているんだから、もう・・・)演じるところの映画監督が、記者から
「フェリーニをどう思われますか?」
そう質問されると
「フェリーニ? あれはただのダンサーだ」
と答えるシーンがあるのですけど・・・何でしょね、これは?・・・とても深いような・・・あるいは単なるおふざけのような・・・よく分かりませんね・・・しかしながら強く印象に残りましたw
フェリーニが映画監督として最初に認められた作品が「青春群像」(1953)です。
海岸沿いの小さな町に暮らす5人の若者の物語で、フェリーニの自伝的作品と呼ばれておりますけど、私には特に面白かった記憶はありません。若者たちが着ていたぶ厚いオーバーコートが印象に残ったくらいでした。
続く「道」(1954)で、フェリーニは世界的な映画監督の仲間入りをします。
自宅でもある幌車を後ろにくっ付けたオートバイで移動する旅芸人のザンパノ(演じるのは「アラビアのロレンス」(1962)でアウダ首長を好演したアンソニー・クイン)は、安い金で親から買ったおつむの弱いジェルソミーナを助手にして、各地を回っている。
ところが、ザンパノが仲の悪い綱渡り芸人(演じるのは当ブログの記事「懐かしの海外ドラマ」でご紹介したテレビドラマ「原子力潜水艦シービュー号」でネルソン提督を演じたリチャード・ベイスハート)を殺しちゃったものだから、そのショックでジェルソミーナは病気になってしまう。
ザンパノは足手纏いになったジェルソミーナを捨てて・・・というのが、大まかなストーリーです。
ジェルソミーナを演じたのは、フェリーニの奥さんであるジュリエッタ・マシーナ。
フェリーニは彼女を主演にして「カビリアの夜」(1957)と「魂のジュリエッタ」(1964)という作品も撮っております。
日本でいえば新藤兼人監督と奥さんで女優の乙羽信子さんみたいなものですね。
本作の音楽を担当したのは、後に「ゴッドファーザー」(1972)の主題歌を作曲することになる、ニーノ・ロータです。
2010年バンクーバー冬季オリンピック、男子フィギュアスケートで高橋大輔選手が銅メダルを取った時のフリー演技の曲が、このニーノ・ロータ作曲となる「道」のテーマ曲でした。哀愁漂う名曲です。
フェリーニの代表作といえば、何といっても「甘い生活」(1959)と「8 1/2」(1963)になります。
この2作は本当に素晴らしいですから、まだ観たことが無い方には絶対に観ていただきたいです。
まずは、当ブログの記事「魅惑の映画音楽その1」の中で「男と女」(1966)に主演したアヌーク・エーメをご紹介した際に少し言及いたしました「甘い生活」から。
フェリーニ映画の主役といえばこの人、マルチェロ・マストロヤンニ演じるところの新聞記者マルチェロは、アヌーク・エーメ演じる金持ちマダムとの情事を楽しんだり、
映画のキャンペーンでイタリアへやって来たハリウッド女優を口説いたり・・・と退廃的な日々を送っていた。
その一方で、ひとりぼっちにされた彼の妻は寂しさのあまり自殺を図り、田舎から出てきた父親は老いた自分にショックを受け、人格者の友人は子供たちと共に無理心中する・・・
このように本作は、華やかな大都会での生活の表と裏、喧噪の陰にある虚しさ、はかなさ、馬鹿騒ぎと笑えない現実・・・それらを見事に描きだした傑作です。
ヘリコプターが大きな十字架をぶら下げて飛んでくる冒頭のシーンもシュールで魅力的でした。
出演者では、アヌーク・エーメはもちろん良いのですが、ハリウッドのグラマー女優を演じたアニタ・エグバーグが光っていました。
フェリーニはオムニバス映画「ボッカチオ70」(1962)の第2話「アントニオ博士の誘惑」でもアニタを使っています。
本作のラスト・・・友人が所有する海辺の別荘で若い男女数人と乱痴気騒ぎをやらかしたマルチェロは、漁師の網に怪物がかかったという話を聞き、みんなと一緒に海岸へ下りてゆく。
そこには網にかかった不気味な生き物。
すると、川の向うの砂浜に、いつぞやの清純無垢な美少女が・・・
少女はマルチェロに手を振り何か言っているが、波の音にかき消されてマルチェロには聞こえない・・・仕方なくマルチェロはその場を立ち去る・・・風の音・・・波の音・・・笑顔で見送る少女・・・名残惜しげに後ろを振り返るマルチェロ・・・いつまでも響き続けるニーノ・ロータの音楽・・・その余韻・・・
心に残る素晴らしいラストシーンでした。
次に「8 1/2」。
「はっかにぶんのいち」ですよ。共同監督作品を1/2と数えると、本作は8 1/2作目の作品だから、こういう題名にしたのですと。ふーん、なるほどね。
マルチェロ・マストロヤンニ演じる映画監督グイドは、田舎の温泉で心と体の療養をしながら、次回作の構想を練っていた。
次回作はSF作品ということになっているものの構想はさっぱり進まず、グイドの頭に思い浮かぶのは子供の頃の情景ばかり・・・両親・・・学校・・・子供たちがお金を渡すとセクシーな踊りを見せてくれた頭の足りない乞食女(当ブログの記事「大好きな日本映画その1」でご紹介した沖山秀子さんを思い出します)・・・
周囲の人間は「グイドはもう使い物にならないな」と思い始める。
仕事がうまくいかない上に、私生活でもグイドは、妻と愛人である女優の板挟みになって苦しんでいる。
グイドの妻を演じるのは、アヌーク・エーメ。ここでは色気ゼロのブスな女の役です。もったいない。実にもったいないなぁ、ファンである私としては。
郊外のだだっ広い空き地に建てられた巨大なロケット発射台のセット。すっかり人生が嫌になったグイドは、ここで拳銃自殺する(?)。
すると、そこへピエロたちが楽器を演奏しながらやって来て・・・というのが、大まかなストーリーです。
みんな仲良く手をつなぎ輪を作って生きてゆけないのか?
自伝的作品であろう本作で、フェリーニはそう訴えかけているように思います。家庭を壊した原因がフェリーニ本人の浮気にあるのなら、それは虫のいい身勝手な願いでしょうけど、一般的には誰もが抱く願望でしょう。
この映画のラストのように、何も無い殺風景な場所に人が集まり、そこに熱気あふれる祝祭的空間を作り出すのが、フェリーニの真骨頂です。それは映画のサーカス。他の人には真似できません。
フェリーニの作品では他に、E・A・ポーの「ヴァルドマアル氏の病症の真相」の記事でご紹介したオムニバス映画「世にも怪奇な物語」(1968)第3話「悪魔の首飾り」が好きです。
また、「フェリーニのアマルコルド」(1973)も良かったです。
日本の映画界にも大きな影響を与えたフェリーニ。寺山修司の映画なんか、もろフェリーニですものね。誰からも愛されるフェリーニ。素晴らしきフェリーニ。
まだご覧になっていない方は、絶対に観てくださいね。必修ですよ、これは(笑)。