Quantcast
Channel: 行政書士ふじまるの趣味のページ
Viewing all articles
Browse latest Browse all 201

エクソシスト

$
0
0
 明日は参議院議員選挙ですね。皆さん、投票へ行きましょうね。もっとも結果はすでに見えていますけどね。あはは・・・
 
 今週、16歳の少女が同じ16歳の友達の少女を殺害するというショッキングなニュースが流れました。
 少女の両親はパニック状態なんでしょうね。きっとこう思っていることでしょう。ついこのあいだまで無邪気で可愛らしい娘だったのに、どうしてこんな事になってしまったのだろう、と。
 両親から見れば、本当についこのあいだまで赤ちゃんみたいなものだったはずです、この少女は。
 
 だって、そうでしょう? 今の私たちにとっては、10年前も現在も、何ら変わらない(ただ年齢の数字が上になったというだけ)じゃないですか。
 でも、16歳の少女にとっては、6歳の自分と現在の自分とでは、もうまるで別人なんですよね。それどころか5年前の自分とでさえも別人です。
 ところが、私たちにとっては、5年前なんか昨日みたいなもの。ぜんぜん何も変わりゃしない。それで同じつもりでいたら、娘はすっかり別人に変わっていてビックリというわけです。
 
 と、そんな事を考えていたら、思いだした映画があります。それが今回ご紹介する「エクソシスト」(1973)です。
 
イメージ 1
 
 この映画を、公開時に北海道北見市の映画館で観たときの様子を、私は今でもはっきり憶えています。
 公開前から「アメリカで失神者続出!」と大評判だったので、どんなに恐ろしい映画なのだろう、これは絶対に観に行かねばならぬぞ、とばかりに勇んで出向いた劇場は超満員。私は椅子に座れず、通路にしゃがみ込んでこの作品を観るハメになりました。
 そうしたら、たいして怖くなくて、いささか拍子抜け。
 え? これがアメリカで失神者が続出した映画なの? 日本公開バージョンでは、本当に怖いシーンをカットしているんじゃないの? 
 誰もがそう思ったんじゃないでしょうか。新作映画のくせにに、やたらとフィルムがボロボロなのも気にかかりました。
 
 こんな風に初見の印象は悪かった「エクソシスト」ですが、その後ビデオやDVDで観返すたびに、私は本作が大好きになってゆきました。たいして怖くないけれど、とてもいい映画だなぁ、これは、と思って。
 
 ワシントンD.C.に住む映画女優の12歳になるひとり娘(演じるのはリンダ・ブレアー)が、奇妙な行動をとり始めるところから物語は始まります。
 突然、人前でオシッコをもらし、性的な事を口走りながら母親に暴力を振るう娘。やがて娘は自分の肉体を傷つけ、顔つきが別人のように変貌していく。
 オロオロするばかりの母親は、慌てて娘を病院へ連れて行き、全身を精密検査してもらうものの、どこにも異常はナシ。そこで、これは悪魔にとり憑かれたとしか考えられないという結論に達し、カトリックの神父に悪魔祓いをお願いする。
 かくして、カトリックの神父と悪魔との闘いが始まる。神父は無事に悪魔から少女を救い出すことが出来るのか、というのがおおまかなストーリーです。
 
 監督はウイリアム・フリードキン。この人は刑事映画の傑作「フレンチコネクション」(1971)を撮った監督です。
 大都会の乾いた情景を撮るのが非常に上手い監督で、本作でもシックで落ち着いたクールな画面作りが、悪魔憑きという非現実的な内容にリアリティ感を与えています。
 
 「映画秘宝・映画懐かし地獄70’s」という本によると、フリードキン監督は異常な方だったらしく、撮影スタジオにライフルやショットガンを持ち込んでは、いきなり出演者の耳元でぶっ放したそうで、カラス神父(演じるのはジェイソン・ミラー)が電話の音にビクッとして振り向くシーンは、本当はショットガンの発射音に驚いているのだそうです。ムチャクチャな話です。もちろんミラーは激怒したそうです。
 
 それにしても、本作は他のホラー映画とは違い、やたらとリアリティ感があります。その理由は登場人物の設定にあると思います。
 母親は女優の仕事ひとすじで、娘にはほとんど構ってやれていない。しかも、別居中の父親と電話で口汚く罵り合っている始末。
 そんな寂しい日々を過ごしていた思春期の娘が、ある日とつぜん親に反抗し始め、髪の毛を染め、ケバい化粧をし、派手な服を着て、男友達と遊び回る・・・酒・・・タバコ・・・セックス・・・自傷行為・・・やがてシンナーや麻薬に手を出し、ますますおかしくなっていく・・・こんなことは悪魔にとり憑かれなくても、そこらじゅうで普通に起きている事じゃないですか。
 
 親は「つい昨日までは素直ないい娘だったのに、どうしてこうなっちゃったのかしら?」と思うかもしれませんが、冒頭でも申しました通り、時間の流れ方が親と子供ではぜんぜん違うのです。
 その意味で、雑誌「映画秘宝」のライターが、俳優の穂積隆信さん原作の「積木くずし」(1983)を、日本版エクソシストであると書いていたのは、極めて卓見でした。
 
イメージ 2
 
 本作についてもう少しフォローすると、悪魔祓いの主任・メリン神父を演じたのは、ベルイマン映画の常連、マックス・フォン・シドー。
 老人を演じていますが、本人はこの時なんと44歳! あら、そんなに若かったの? すっかり騙されていたわ。
 
 殺人事件を追う警部役が、「波止場」(1954)や「十二人の怒れる男」(1957)のリー・J・コップ。渋いです。
 
 悪魔祓いのため娘の部屋へ入っていくメリン神父とカラス神父を見送る時の、母親を演じるエレン・バースティンの、祈るような、今にも泣きだしそうな表情がグッド!
 
 そして、特徴的な主題曲は、マイク・オールドフィールド作曲の「チューブラ・ベルズ」。この作品のイメージにピッタリの名曲でした。
 
 本作は、悪魔憑きという、ありえない物語を、ドキュメンタリータッチで、リアリスティックに、極めて真面目に撮ったホラー映画の傑作です。私はこの作品の真剣さが大好きです。
 まだ観ていない方は、ぜひいちどご覧になってみてください。ただのホラー映画とは違いますよ。
 
 「エクソシスト」の大ヒットにより、世界中でオカルト映画ブームが起き、日本でも「ヘルハウス」(1974)や「オーメン」(1976)、「サスペリア」(1977)等の作品が次々と公開されました。
 
 それにしても、1970年代は、映画にとって熱い時代でしたねぇ。
 オカルト映画ブームの他にも、「ダーティハリー」(1971)と「フレンチ・コネクション」で刑事映画ブーム、「ゴッドファーザー」(1972)でマフィア映画ブーム、「燃えよドラゴン」(1973)でカンフー映画ブーム、「タワーリング・インフェルノ」(1974)や「ジャガーノート」(1974)でパニック映画ブーム、「エマニエル夫人」(1974)でソフト・ポルノ映画ブーム、「ロッキー」(1976)でマッチョ映画ブーム、「サタデー・ナイト・フィーバー」(1977)でディスコ映画ブーム、そして「スター・ウォーズ」(1977)と「未知との遭遇」(1978)でSFX映画ブームが起きたんですから。
 邦画界でも「犬神家の一族」(1976)に始まる角川映画ブームがありましたしね。
 私が映画好きになったのも当然ですよね。あはは。
 
 そういえば先日、「燃えよドラゴン」(今年はブルース・リーの没後40年だそうです)で黒人の空手の達人・ウィリアムスを演じたジム・ケリーさんが、お亡くなりになりました。
 
イメージ 3
 
 背が高くてカッコいい方でしたよね。アフロヘアーと割れた腹筋が印象的でした。大好きです、ウィリアムス!
 心よりご冥福をお祈りいたします。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 201

Trending Articles